【インタビュー】ミュージカル「生きる」村井良大「さらに色濃く『生きるとは何だ』ということを提示できると思います」

2020年9月18日 / 12:00

-ところで、新型コロナウイルスの影響で「デスノート」の一部の公演が中止になったというお話がありましたが、今回の自粛期間は村井さんご自身にも大きな影響がありましたか。

 「デスノート」だけでなく、ドラマの撮影も延期になったりと、仕事面でもいろいろな影響がありました。ただ、ドラマは延期や放送時期をずらすということが可能なのでしょうが、舞台はどうすることもできない。なので、俳優仲間たちが初日の幕を開けることもできずに、(作品を)終えることになってしまっているのを見て、心が痛くなりました。「デスノート」はまだ東京、静岡公演でお客さまの前で公演することができましたが、一度も幕を開けることなく中止になってしまった作品がたくさんありました。それを思うと、やるせない思いと悲しさとで、胸がいっぱいになりました。

-そうしたつらい思いを経て、より舞台への思いも強くなったのでは?

 そうですね。責任感を持って、しっかりとエンターテインメントに取り組んでいかなければいけないと改めて感じました。僕たち表現者は、作品を見ていただかないと意味がないので、その場があることが、こんなにもありがたいことなのだとも思いました。今回、お客さまの前で、ステージ上で演じるのは8カ月ぶりなんです。これほど間が空いたのは初めてで、僕自身もどうなるのか分からないという気持ちもあります。とにかく、今は無事に幕が開いて、公演をやり終えることだけを願っています。

-改めて作品の見どころを。

 渡辺勘治の生き方に、胸を打たれると思います。作品のタイトルでもある「生きる」という言葉を身にしみて感じることができる作品になっていると思いますので、この作品を通して、皆さんの人生を考え直すきっかけになればうれしいです。僕自身は、今は市村さんや鹿賀さんという大先輩方と共演させていただく緊張感よりも、舞台人としてステージに立たせてもらう喜びの方が勝っています。ほかのキャストの皆さんも、このような状況を経て、さらに生き生きと演技をしてくださると思うので、前回よりもさらに色濃く「生きるとは何だ」ということを提示できると思います。

(取材・文・写真/嶋田真己)

黒澤明 生誕110年記念作品「ミュージカル 生きる」

 「黒澤明 生誕110年記念作品『ミュージカル 生きる』」は、10月9日~28日、都内・日生劇場ほか、富山、兵庫、福岡、名古屋で上演。
公式サイト http://www.ikiru-musical.com

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