【インタビュー】ミュージカル「ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~」大貫勇輔&永野亮比己「稽古ができること、踊れること、歌えることは当たり前のことではない」

2020年9月6日 / 06:31

 不況にあえぐ英国北部の炭鉱の町を舞台に、一人の少年と彼を取り巻く大人たちの姿を描いた映画『リトル・ダンサー』をミュージカル化した、ミュージカル「ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~」。2017年7月に日本人キャストによって日本初演され、大きな話題を呼んだ本作が、9月11日から再び上演される。初演に続き、主役のビリー役は、約1年にもわたるオーディションが開催され、応募総数1511名の中から4人の少年が選ばれた。ビリーの未来像として登場する、オールダー・ビリー役をWキャストで演じる大貫勇輔と永野亮比己に、作品への思いを聞いた。

オールダー・ビリー役の大貫勇輔(左)と永野亮比己

-7~8月に上演予定だった本作ですが、新型コロナウイルスの影響により中止に。改めて、9月11日からのオープニング公演、それに続く東京、大阪公演が決定しました。強い思いを持って稽古に臨んでいると思いますが、今の率直な気持ちを聞かせてください。

大貫 稽古が始まって本当によかったというのが正直な気持ちです。こうして稽古ができることが、こんなにも幸せなことなんだと改めて感じました。状況的には、まだまだ不安な日々が続いていますが、無事に幕が開くことを信じて稽古しています。

永野 僕も同じです。稽古ができること、踊れること、歌えること、お芝居ができること、みんなで稽古をやることは、当たり前のことだと思っていたんです。でも、それは決して当たり前のことではなかったということを身に染みて感じました。

-大貫さんは前回に続いての出演で、永野さんは本作には今回が初出演になります。今、どんなことを意識して稽古をしていますか。

永野 見るのとやるのでは、こんなにも違うのかということを実感しながら稽古をしています(苦笑)。特に、(オールダー・ビリーとビリーが一緒に踊る)ドリームバレエのシーンは、ビリー役の子とスタッフさんと共に作り上げるシーンなので、何よりもチームワークが大事になってくるんです。ただ美しい踊りを披露すればいいというわけではないので、チームでの作業の難しさを感じていると同時に、やりがいがあって面白いと日々感じています。

大貫 気持ちとしては、また新たな作品を作るという意識で臨んでいます。ただ、今回は海外のクリエーティブチームが来日できない中、リモートを使っての稽古となっているので、初演のメンバーは「こうするとやりやすくなる」「こうすればより良くなる」という、必要なことをみんなに伝える役目も担っています。それは、「前はこうだったから…」ということではなく、みんなで支え合いながら、自分ができることでは全力でサポートしたいという思いからです。新たなものを生み出そうというエネルギーを持って全員で取り組んでいる稽古場だと感じています。

-海外のスタッフはリモートで対応しているとのことですが、それによる苦労はありますか。

大貫 苦労はないです。むしろ、この形でも問題ないことが分かり、僕自身も驚いています(笑)。稽古は問題なく進んでいますので、科学の進歩はすごいなと感じています。

-振り付けに関しては、お二人のダンスの技術が高いからこそ、リモートで成り立っているのでは?

永野 確かに、僕たちはずっとダンス畑で生きているので、言葉で伝えられたことの意味を察知できる利点はあると思います。それに加えて、日本のスタッフの方々がしっかりとサポートしてくださっているので、僕たちはとてもやりやすい中で稽古できています。個人的には、日本の稽古場にはないブロードウェーだったり、ウエストエンドだったりを拠点にされている方の空気感に接する時間が好きなので、生でそれを感じられないことは残念ではありますが。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】俳優同士の演技合戦が見ものの3作『爆弾』『盤上の向日葵』『てっぺんの向こうにあなたがいる』

映画2025年11月1日

『爆弾』(10月31日公開)  酔った勢いで自販機を壊し店員にも暴行を働き、警察に連行された正体不明の中年男(佐藤二朗)。自らを「スズキタゴサク」と名乗る彼は、霊感が働くとうそぶいて都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告する。  やがてその言葉 … 続きを読む

福本莉⼦「図書館で勉強を教え合うシーンが好き」 なにわ男⼦・⾼橋恭平「僕もあざとかわいいことをしてみたかった」 WOWOW連ドラ「ストロボ・エッジ」【インタビュー】

ドラマ2025年10月31日

 福本莉⼦と⾼橋恭平(なにわ男⼦)がW主演するドラマW-30「ストロボ・エッジ  Season1」が31日午後11時から、WOWOWで放送・配信がスタートする。本作は、咲坂伊緒氏の⼤ヒット⻘春恋愛漫画を初の連続ドラマ化。主人公の2人を軸に、 … 続きを読む

吉沢亮「英語のせりふに苦戦中です(笑)」主人公夫婦と関係を深める英語教師・錦織友一役で出演 連続テレビ小説「ばけばけ」【インタビュー】

ドラマ2025年10月31日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「ばけばけ」。明治初期、松江の没落士族の娘・小泉セツと著書『怪談』で知られるラフカディオ・ハーン(=小泉八雲)夫妻をモデルに、怪談を愛する夫婦、松野トキ(髙石あかり)とレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ) … 続きを読む

阿部サダヲ&松たか子、「本気でののしり合って、バトルをしないといけない」離婚調停中の夫婦役で再び共演 大パルコ人⑤オカタイロックオペラ「雨の傍聴席、おんなは裸足・・・」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年10月31日

 宮藤官九郎が作・演出を手掛ける「大パルコ人」シリーズの第5弾となるオカタイロックオペラ「雨の傍聴席、おんなは裸足・・・」が11月6日から上演される。本作は、「親バカ」をテーマに、離婚を決意しているミュージカル俳優と演歌歌手の夫婦が、親権を … 続きを読む

高杉真宙「見どころは、何よりも坂口健太郎さんと渡辺謙さんの演技だと思います」『盤上の向日葵』【インタビュー】

映画2025年10月30日

 『孤狼の血』で知られる柚月裕子の同名小説を映画化。昭和から平成へと続く激動の時代を背景に、謎に包まれた天才棋士・上条桂介(坂口健太郎)の光と闇を描いたヒューマンミステリー『盤上の向日葵』(配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/松 … 続きを読む

Willfriends

page top