【インタビュー】コロナ禍で生まれたホリプロの新プロジェクトがスタート「芸術活動が止まってしまうことだけは絶対に避けたい」

2020年8月26日 / 12:00

-脚本を募集する企画は舞台に限らず多数ありますが、音楽を募集しているところが興味深いですね。

井川 音楽を作れるということはすごい才能です。ただ残念なことに、私たちはその才能と出会う場がなかなか作れていなくて、これまでご一緒してきた海外の方などに頼むことも多いのが現状です。しかし、きっと私たちが知らないだけで、才能を持った方がたくさんいらっしゃると思います。ぜひ、そういった方たちと出会いたいという思いで、音楽部門も設立しました。今回は、プロ・アマ問わずに募集しているのですが、それはこれまでミュージカルを書いていなかった方にも、書いてみようと思ってもらえるきっかけになればという思いがあったからです。特に海外の作品では、ミュージカル専門の作曲家の方だけでなく、歌手として活躍されている方が曲を作ることは当たり前にあります。日本でも、J-POPなど、他のジャンルを主としている方にも、ぜひ興味を持っていただけたらと思っています。ここで芸術活動が止まってしまうことだけは絶対に避けたいと心から思っているので、このプロジェクトで出会った方と、ぜひ一緒に新しい作品を作れたらいいなと思います。

柳本 自粛期間を経て、やはり芸術やエンターテインメントを必要としている人は絶対にいるということも感じました。ゼロから作り上げ、何かを届けることができる、その力は大きいし、強い。それは、不要不急と言われるものかもしれないですが、その力の大きさにも目を向けてもらえたらうれしいです。

-ホリプロさんとしては、9月11日に開幕するミュージカル「ビリー・エリオット」から舞台公演が再開しますね。

井川 はい。今できる感染予防対策は徹底して行って、なんとか開幕したいという思いで、総力を上げて取り組んでいます。

柳本 どうすればいいのか、一つ一つ考え、その都度、対策を取り…としているので、時間もものすごくかかりますが、お客さまの不安を少しでも減らした状態で生の演劇を楽しんでいただけるよう努力しています。

(取材・文/嶋田真己)

ミュージカル「ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~」2020年公演に出演するビリー・エリオット役の(左から)川口調、利田太一、中村海琉、渡部出日寿

 「ミュージカルクリエイタープロジェクト」では、9月30日まで応募作品を募集中。詳細は公式サイトへ。

 ミュージカル「ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~」は9月11日から都内・TBS赤坂ACTシアターほかで上演。

「ミュージカルクリエイタープロジェクト」公式サイト https://horipro-stage.jp/stage/hp_mcp/

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