大河ドラマ「麒麟がくる」松平元康役の風間俊介「桶狭間の戦いに勝った信長は、元康にとって、全てが混ざったまがまがしい存在に」

2020年6月7日 / 20:51

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「麒麟がくる」。物語も中盤を迎え、6月7日放送の第二十一回では、歴史に名高い“桶狭間の戦い”が描かれた。この戦いの主役となった織田信長(染谷将太)と今川義元(片岡愛之助)の間で翻弄されたのが、松平元康(後の徳川家康)だ。演じる風間俊介が、当時の元康の心境を語ってくれた。

松平元康役の風間俊介

 「このたびの家康は、皆さんがよく知る家康になる前の話です。私も、天下人になる家康を忘れて演じていこうと思います。まだ何者でもない家康、元康を見守ってください」と語る風間の言葉通り、今川軍の一員として織田軍と戦うため、桶狭間の戦いに参戦した元康。

 ところが、大高城に入った後、鳴海城、桶狭間へと次々に出陣を命じられ、ついに「本日はここを一歩も動きませぬ!」とたんかを切ることに。このときの元康の心情について風間は「どのような感情なのか、いろいろと考えながら現場に向かったのですが…」と前置きしつつ、「その場で感じたのはシンプルな怒りでした」と打ち明けた。

 続けて、「三河を、そして自分を軽んじられていることに対してなど、ひも解けばいろいろあるのでしょうが、ただただ腹立たしかったので、そのまま演じさせていただきました」と解説。

 さらに「晩年の家康ではそのような対応はしないでしょうが、若さ故なのだと思います」と、後に“家康”を名乗って戦国に幕を引く元康の成長をにおわせる言葉も飛び出した。

 また、「桶狭間の戦いの後、勝者・信長は元康にとってどんな存在になったのか」という問いに対しては、「主君を討った敵であると同時に、母との再会をかなえ、三河をわが元に戻すきっかけを与えてくれた。幼き頃に慕っていたこともあり、一筋縄ではいかない」と複雑な胸中を告白。

 そして、こう結論づけた。「尊敬と畏怖、憎しみと親しみ、全てが混ざったまがまがしい存在になったと思います」。

 戦国時代の大きな転換点・桶狭間の戦いを終えた「麒麟がくる」。ここでいったん、放送休止となるが、信長、元康(家康)が台頭し、さらにヒートアップしていく物語からまだまだ目が離せない。一日も早い放送再開を楽しみに待ちたい。

(取材・文/井上健一)


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 WOWOWで毎週(日)午後10時より放送・配信中の「連続ドラマW シャドウワーク」は、佐野広実の同名小説を原作にしたヒューマンミステリー。  主婦の紀子は、長年にわたる夫の暴力によって自己喪失し、すべて自分が悪いと考えるようになっていた。 … 続きを読む

森下佳子「写楽複数人説は、最初から決めていました」脚本家が明かす制作秘話【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。これまで、いくどとなく視聴者を驚かせてきたが、第4 … 続きを読む

富田望生「とにかく第一に愛を忘れないこと」 村上春樹の人気小説が世界初の舞台化【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月30日

 今期も三谷幸喜の「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」に出演するなどドラマや映画で注目を集め、舞台やさまざまなジャンルでも活躍する富田望生。その富田が、2026年1月10日から上演する舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダ … 続きを読む

【映画コラム】実話を基に映画化した2作『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』『栄光のバックホーム』

映画2025年11月29日

『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』(12月5日公開)  太平洋戦争末期の昭和19年。21歳の日本兵・田丸均(声:板垣李光人)は、南国の美しい島・パラオのペリリュー島にいた。漫画家志望の田丸はその才能を買われ、亡くなった仲間の最期の雄姿を遺族 … 続きを読む

氷川きよし、復帰後初の座長公演に挑む「どの世代の方が見ても『そうだよね』と思っていただけるような舞台を作っていきたい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月29日

 氷川きよしが座長を務める「氷川きよし特別公演」が2026年1月31日に明治座で開幕する。本作は、氷川のヒット曲「白雲の城」をモチーフにした芝居と、劇場ならではの特別構成でお届けするコンサートの豪華2本立てで贈る公演。2022年の座長公演で … 続きを読む

Willfriends

page top