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【インタビュー】映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』マーゴット・ロビー「ハーレイの、ハチャメチャだけど実はいいことと悪いことの区別をちゃんと持っているところに引かれます」

 『スーサイド・スクワッド』(16)のジョーカーの恋人ハーレイ・クインが、彼と別れて独り立ち。モラルのない暴れ方で、ゴッサムシティの悪党たちから次々と恨みを買う。そんな中、ハーレイは謎のダイヤを盗んだ少女を守るため、くせ者だらけの女性たちとチームを結成し、悪の親玉ブラックマスク(ユアン・マクレガー)と全面対決をすることになる。“悪カワ”のヒロインが大活躍する映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』が、3月20日から全国ロードショー公開される。『スーサイド・スクワッド』に続いてハーレイを演じたマーゴット・ロビーに、キャラクターへの思いや、映画の舞台裏について聞いた。

マーゴット・ロビー (c)KaoriSuzuki

-本作では『スーサイド・スクワッド』とは、またひと味違ったハーレイが見られました。

  演じるたびに違うハーレイなのが、彼女を演じる醍醐味(だいごみ)です。ハーレイはいろいろな面を持ったキャラクターなので、それぞれの監督が彼女のどこに目をつけるかで、全く違う面白さが引き出されるんです。今回のキャシー・ヤン監督は、ハーレイの弱い部分や感じやすい部分、いいことを理解できる部分や優しい部分に引かれたのだと思います。だからハーレイは、カサンドラ・ケインが演じた女の子を救ったのです。でも、それはハーレイにとっては、とても居心地が悪い状態なんです。なぜなら、自分の中にある、感じやすく優しい部分を知ってしまったら、思い切り悪事をすることができなくなるからです。

-今回は製作も兼ねていますが、『スーサイド・スクワッド』に続いて、ハーレイを演じたいと思った理由を教えてください。また、ハーレイのどんなところに引かれますか。

 アクターとしては、ハーレイを演じるのは最高に楽しいので、またハーレイを演じたいという思いがありました。彼女の、ハチャメチャだけど実はいいことと悪いことの区別をちゃんと持っているところに引かれます。一方、プロデューサーとしては、今の男性優位の映画業界の状況を是正する一歩に関わりたいという思いがありました。

 例えば、この映画のような、女性のアンサンブルによるアクション映画は、キャメロン・ディアスたちの『チャーリーズ・エンジェル』(00)以来ではないでしょうか。女性のアンサンブルで痛快に悪をやっつけるというストーリーはほとんどないと思います。だから、女性たちが悪を負かすのを見るのは同性としては気持ちがいい。痛快なガールズアクションは見ている人の気分を高揚させてくれると思います。

 私が子どもの頃は、女性だけのアクション映画はほとんどありませんでした。だから、アンサンブルキャストではありませんでしたが、女性ヒーローが活躍する『ワンダーウーマン』(17)を見て映画館から出てきたときは、すっきりして気分がよかったです。自分がとても強くて大きくなったような感じがしました。だから、この映画を見た人たちが、そんなフィーリングを感じてくれたらありがたいと思います。私が感じた「ワオー、強くて大きくなった」というような感覚を体験してほしいと思います。

-このところ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』と『スキャンダル』、そして本作と、全く違うキャラクターを演じていますが、役柄を演じ分けるコツはありますか。

 実は、1~2カ月の間、この映画のハーレイと『スキャンダル』のケイラの間を行ったり来たりしていたことがありましたが、それはかなりクレージーな体験でした(笑)。『スキャンダル』のケイラを1日中楽しく演じた後、オフィスに戻ってハーレイの準備と役作りをしたのです。

 一方、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のシャロン・テートは、他の役とオーバーラップさせることは極力避けました。シャロンには、軽い雰囲気を出すことが必要だったからです。とても性格がよくて汚れがなくて、空気よりも軽い感じがするのがシャロン。だから、ハーレイの暗さや重さ、悪の部分が、少しでもシャロンに影響を与えたら大変なので、シャロンにハーレイは近づけないようにしました。

 また、ケイラにも結構重いところあったので、これもシャロンとは重ならないように気を付けました。シャロンはシャロンだけで演じないとうまくいかないと感じていました。ケイラとハーレイは違うキャラクターですが、両立できると思いました。この三つの全く違う役ができたのは、女優としては夢のような出来事でした。クレージーな何カ月間だったけれど、とてもやりがいのある時間でした。『大当たり!』っていう感じかな(笑)。

 シャロンは別として、ケイラとハーレイを並行して演じることができたのは、ハーレイのメーキャップをし、コスチュームをつけると、即座にハーレイになれるマジックがあったからです。ハーレイはハチャメチャだから、楽しく演じられるし、いい発散材料にもなりますが、とても疲れるキャラクターでもあります。ただ、ハーレイの場合、彼女のイライラや確執は表に出せるものなので、やりやすいところもあります。内に秘めた確執だと、もっと重い感じになるので。

-キャシー・ヤンを監督として起用した理由を教えてください。

 彼女が、一番素晴らしい作品についての提案をしてくれたからです。彼女のアイデアが最高でした。ハーレイをよく分かっていたし、彼女が引き出したいハーレイの要素にも、はっきりとしたビジョンがあって素晴らしかったんです。彼女が中国で作った小さな作品『Dead Pigs』(原題)をサンダンス映画祭で見て、すぐに彼女に「会いたい」と伝えました。そして、実際に会ってみると、さらに監督としての彼女に興味を持ちました。今回はベストな選択だったと思っています。これからも、女性監督がどんどん活躍できるようにしていきたいと思っています。

-ハーレイは強烈なキャラクターですが、撮影中は、家に帰ってからもハーレイが顔を出すようなことはありましたか。

 ハーレイのメーキャップを落として、衣装を脱いで、自分のヘアスタイルに戻ると、自然と自分に戻れました。ただ、時々、私だけが気付くような、ハーレイの登場する場面がありました。「あっ、今ハーレイが顔を出した」と思って一人でニヤっとしたり、あるいは「ハーレイ、今顔を出しちゃ駄目」と心の中で言ったりすることもありました。この映画の撮影が終わった後、すぐに次の『Suicide Squad』 の撮影に入ったので、ほとんど1年間ハーレイを演じ続けたことになります。だから、今はハーレイとの関係が1年ぶりに終わって、ちょっとホッとしています。本当に楽しく、疲れた1年でした(笑)。

(取材・文/田中雄二)

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