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本木雅弘と22年ぶりの大河ドラマ共演に「抱きしめてやろうかと思いました(笑)」堺正章(望月東庵)【「麒麟がくる」インタビュー】

 好評放送中の大河ドラマ「麒麟がくる」。本格的な合戦シーンやくせ者揃いの戦国武将たちが続々と登場する見どころ満載の戦国絵巻に、週末が待ちきれなくなっている視聴者も多いに違いない。9日に放送された第四回「尾張潜入指令」では、堺正章演じる医師・望月東庵が斎藤道三(本木雅弘)、織田信秀(高橋克典)という2人の戦国大名と対峙(たいじ)した。その舞台裏を中心に、堺が作品に懸ける意気込みを語ってくれた。

望月東庵役の堺正章

 数々の英傑たちが波瀾(はらん)万丈の戦国絵巻を繰り広げる本作で、東庵は医師でありながら、朝廷や戦国大名に幅広い人脈を持ち、主人公・明智光秀(長谷川博己)を生涯に渡って導いていく存在だ。

 物語の前半で光秀の主君となる斎藤道三との対峙シーンは、東庵の首を斬るかどうかという命懸けの場面となった。とはいえ堺は、「東庵は心の中で、道三は絶対に首は斬らないと読んでいます」と冷静。その理由を「道三は情報がほしいので、東庵を殺してしまうと何の情報も得られませんから、絶対に首は斬らない」と説明して余裕を見せた。

 一方、大好きな賭け事で借金がかさんでいる東庵にとっても、道三は大切な金づる。この点について、「東庵にしても、借金を返すためには、道三は大事な男ですからね。道三をも手玉にとりつつ、情報を与え、信秀を視察し、また道三に情報を与えていく…。東庵は不思議な役どころです」と語りながらも、オリジナルのキャラクターであり、いつ物語から姿を消すかわからないため、「でも、もしあのとき道三に斬られていたら、あそこで僕は最終回でしたからね(笑)。生き延びることができてよかったです」と、安心した様子だ。

 なお、道三役の本木とは、共に「徳川慶喜」(98)以来の大河出演。「顔の距離がとても近かったです。抱きしめてやろうかと思いました(笑)」と、22年ぶりの再会を喜びつつ、その芝居について「本木雅弘さんは道三をとてもエネルギッシュに演じていますが、それは光秀をどのように盛り立てていくかということの裏返しだと思います。道三はとても豪快で、ずうずうしい男ですが、『静』と『動』のうち、『動』を道三が演じ、そうすることで、そこに動じない光秀の姿がより引き立つような気がします」と分析してみせた。

 続いて、道三と比べて「信秀の方が僕にとっては手強い相手」と評する織田信秀とは、大好きなすごろくで対決。「それは小さな戦のようでした」と語るこの場面について「賭け事をしている時、人はどこか気を許してしまうことがありますので、そこから何か情報を得たり、その得た情報をどう生かしていくのか、今回はその序章に過ぎないのではないかと思います」と、今後に期待を寄せる。さらに、信秀役の高橋については、「迫力のある智将という感じでした」と、その印象を語った。

 東庵はこれからも引き続き活躍するが、「東庵は、僕の中ではまだ謎の人物で、演じるのがとても難しい」と言いながらも、次のように意気込みを語った。

 「武将ではなく庶民ですし、どこか不思議な存在ですから、戦国の世でこれからどう生かされていくのか、これからとても楽しみです。もしかすると宇宙人なんじゃないかと(笑)。武将たちのシーンは本音と建前が交錯しますが、東庵のシーンは、身構えずに少しリラックスしてご覧いただける、ホッとできる時間です。現代にも通じる生活感を、うまく演じることができればと思います」

 百戦錬磨のベテラン俳優がどんなふうに物語を盛り上げてくれるのか。その活躍に注目したい。

(取材・文/井上健一)

望月東庵役の堺正章(左)と明智光秀役の長谷川博己

 

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