【インタビュー】映画『嘘八百 京町ロワイヤル』武正晴監督「悪いやつを笑い飛ばすことこそ、映画の使命」

2020年1月29日 / 16:35

-劇中で重要な役割を果たす織部の幻の茶器「はたかけ」について教えてください。

 あれはもちろん創作ですが、茶碗をゼロから作らなければいけないので、大変でした。実際にありそうなものにしなければいけないわけですから。実存する安土桃山時代の茶碗を手に取り、参考にしてそれっぽいものを作る。しかも、撮影に使うので、同じものが幾つも必要になります。でも、同じ色のものは簡単には焼けないんです。ものすごく大変な作業ですが、陶芸家の方たちは「織部の茶器を作るのが、いかに難しいか分かって勉強になる」と言って、どんどんのめり込んでいく。プロが必死になって「うまくいかない」と悩んだり、「土が言うことを聞いてくれない」と言ったり…。本当に真剣勝負です。
 

-まさに、劇中の佐輔のようですね。

 そうなんです。物を作っている人たちには、常にそういう苦悩があるんですよね。それは、映画も同じです。だから、茶碗を作ってくれる陶芸家の方たちが、「映画作りも茶碗作りも一緒ですね」と言ってくれたのが、すごくうれしかった。「これだけ茶碗作りをちゃんと見せてくれた映画はない」と言われましたが、やっぱりそこはきちんと見せたくなりましたよね。
 

-そういう思いも、この映画には詰まっていると?

 そうですね。ただ、同じ物作りと言っても、“Make”(メーク)ではなく“Create”(クリエート)です。“Make”は同じものや似たようなものを作り続けるという意味ですが、“Create”は世の中に一つしかないものを作ろうとすること。いくら腕が良くても、一歩間違えると“Create”ではなく“Make”になってしまう。それは、陶芸も映画作りも同じです。そういう自分たちに対する戒めも含めて、という感じです。とはいえ、それは僕らのモチベーションの話なので、お客さんには余計なことを考えず、単純に楽しんでもらいたいですね。
 
(取材・文・写真/井上健一)
 

(C)2020「嘘八百 京町ロワイヤル」製作委員会

 
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