【インタビュー】『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』ディーン・デュボア監督「異なる2人が出会い、互いの人生を変えていく物語が子どもの頃から大好きなんです」

2019年12月18日 / 10:00

 『カンフー・パンダ』、『ボス・ベイビー』のドリームワークスが送るアニメーション映画『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』が12月20日から全国公開となる。本作は、バイキングの少年ヒックとドラゴン、トゥースの絆を描いた物語で、大人もうならせる奥深い物語と、迫力満点の美しい映像が世界中の人々の心を動かし、世界54カ国でナンバーワンヒットとなった注目作だ。公開を前に来日したディーン・デュボア監督(脚本も兼任)に、作品に込めた思いや製作の舞台裏を聞いた。

ディーン・デュボア監督

-この『ヒックとドラゴン』3部作や、以前の『リロ&スティッチ』(02)も含め、監督の作品はいずれも異なる種族同士の友情を描いています。その理由は何でしょうか。

 全く異なる2人が出会い、短い時間の中で互いの人生を大きく変えていく物語が子どもの頃から大好きなんです。例えば、ディズニーの『きつねと猟犬』(81)や『E.T.』(82)、『ハロルドとモード/少年は虹を渡る』(71)…。あとは『ロスト・イン・トランスレーション』(03)などもそうですね。これまでいろいろな作品で描かれてきたテーマですが、私にとってそういう関係はとても魅力的で、真実味があります。特に今回の作品は、『野生のエルザ』(65)にインスピレーションを受けています。これは、人間に育てられたライオンを野生に返そうとする人々の物語です。

-この3部作では、第1作『ヒックとドラゴン』(10)でヒックは自分の片足を失い、第2作『ヒックとドラゴン2』(14)では父親を失うなど、「喪失」がテーマの一つとして描かれていますね。

 今まで気付きませんでしたが、おっしゃる通りですね。無意識のうちに、この3部作を通して喪失がテーマになっていたのかもしれません。また逆に、喪失を通して成長や物事を理解していくことを描いてきたと言えるかもしれません。

-そこには、監督自身の経験が反映された部分もあるのでしょうか。

 喪失というのは、文化に関係なく、誰もが普遍的に経験するもので、肉体的、精神的に人を変えるものでもあります。もちろん、私も同じです。私の場合、19歳のときに突然、父を亡くし、家族は心の準備も経済的な準備もできていなかったので、子どもなりに早く成長しなければと思っていました。そういう思いは、ヒックの歩みに多少反映したつもりです。

-奥深い物語に加え、映像的にも美しく、迫力満点のシーンが目白押しで圧倒されました。今回の見どころを教えてください。

 例えば、洞窟の奥を無数のドラゴンが飛んでいる場面などは、前作の時点の技術力ではできなかったものです。今までは、どんなにクリエーティブなものを創造しても、コンピューターのレンダリング作業がボトルネックになり、制限されてしまうという問題がありました。今回はコンピューターの処理能力を上げ、「ムーンレイ」というツールを新たに開発したことで、レンダリングのスピードがグッと向上し、より洗練された照明に仕上げることができるようになりました。おかげで、どんな複雑な処理も可能になりましたが、逆に今では、それを制限するのはアーティストのイマジネーションだけ、という時代になりました。

-この3部作には『ブレードランナー2049』(17)でアカデミー賞撮影賞を受賞し、数々の実写映画で素晴らしい映像を作り上げてきた名カメラマン、ロジャー・ディーキンスさんが、「ビジュアル・コンサルタント」として参加していますね。

 実は、ロジャーが参加することになったのは、彼の勘違いがきっかけなんです。私が最初にお願いしたのは、「数日、スタジオに来て撮影部門と照明部門にワークショップをやってほしい」ということでした。CGアニメーションの場合、撮影部門と照明部門の作業の間には、数カ月の時間差が生じます。しかし、私はそれを問題だと思っていました。撮影で最も大事なのは、光と影の使い方。それは、どんな撮影監督でも知っていることです。そこで、ロジャーのような誰もがリスペクトする著名な撮影監督を招いて、ワークショップ形式で意見交換ができないかと思ったんです。ところが、それを彼が「2年がかりのこのプロジェクトに全面的に参加してほしい」という話だと勘違いして…(笑)。

-そうなんですか(笑)。

 「そうじゃないんだ」と言いましたが、ロジャーは「ぜひやりたい」と。ハプニングから始まった話でしたが、彼は実に素晴らしい仕事をしてくれました。彼の専門的な知識やテイスト、実写映画で培った感性を、イマジネーションあふれるわれわれのアニメーションの世界に少し加えるだけで、ドラゴンが空を飛ぶ世界を、より信ぴょう性を持って皆さんに見ていただくことができるようになりました。その1作目の仕事が実に楽しかったので、続く2作目、3作目にも参加してもらいました。

 
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