【インタビュー】『HUMAN LOST 人間失格』花澤香菜、「役を頂き続けることが難しい…」人気声優の苦悩と希望

2019年11月28日 / 14:02

 役作りは完璧だが、収録では苦戦した模様。というのも、アニメ業界では近年、出来上がった映像に声を当てる「アフレコ」ではなく、先にせりふを収録してから絵を作製する「プレスコ」手法が増えており、本作も「半プレスコ状態」だったとか。

 故に、「難しいことが多かったです。参考になる絵コンテが少なく、ネットワークに入る場面や概念の世界は想像するのが大変で、完成したものを見たときは、こんな世界だったんだ!と圧倒されました」と驚きを隠さない。アクションシーンについても「『ここで殴られます』『首絞められます』と言われても、キツさや苦しさのレベルが視覚で分からないので本当に大変でした」と顔をしかめた。

 その苦労を乗り越えて作り上げた本作。花澤は「登場人物それぞれの名前や雰囲気、せりふなどで、『人間失格』だ!と思えるところがあるけど、まったく新しいSF作品になっているので、とても感動しました」と目を輝かせると、「長寿大国、環境汚染、格差社会などのモチーフは、私たちの世界の延長線上にありそうなので、物語に入りやすいです」とアピール。

 そして、「しっかりしたテーマ、迫力あるアクション、葉藏がもがく姿など、とても充実した内容になっているので、いろんな方に見てほしいです」と呼び掛けた。

 本作でも、その“澄んだ声”で見る者を魅了する花澤。シビアな声優界において輝きを放ち続けることは難しいかもしれないが、美子のように明るい未来を見つめ、努力を惜しまない花澤なら、それはただの夢では終わらない…。

(取材・文・写真/錦怜那)

(C)2019 HUMAN LOST Project

 オリジナルアニメーション映画『HUMAN LOST 人間失格』は11月29日から全国公開。

  • 1
  • 2
 

関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

安田顕「水上くんの目に“本物”を感じた」水上恒司「安田さんのお芝居に強い影響を受けた」 世界が注目するサスペンスで初共演&ダブル主演「連続ドラマW 怪物」【インタビュー】

ドラマ2025年7月5日

-そのほか、撮影を通じて特に印象に残ったことがあれば教えてください。 安田 撮影が終盤に差し掛かった頃、原作者のキム・スジンさんにお目にかかる機会があったんです。キム・スジンさんは、それぞれのキャラクターに、ものすごく細かいバックボーンを作 … 続きを読む

TBS日曜劇場「19番目のカルテ」が7月13日スタート 新米医師・滝野みずき役の小芝風花が作品への思いを語った

ドラマ2025年7月5日

-松本さんとは初共演ですね。現場での印象は?  「はい、行くよ!」って声をかけて引っ張っていってくださる兄貴肌です。スタッフの皆さんとも積極的にコミュニケーションを取っていらっしゃる姿も見ますし、松本さんの存在で撮影現場全体が活気づいている … 続きを読む

南沙良「人間関係に悩む人たちに寄り添えたら」井樫彩監督「南さんは陽彩役にぴったり」期待の新鋭2人が挑んだ鮮烈な青春映画『愛されなくても別に』【インタビュー】

映画2025年7月4日

-陽彩はいわゆる“毒親”の母と2人で暮らすうち、自分の人生に期待を持てなくなってしまった人物です。そういう役と向き合うお気持ちはいかがでしたか。 南 陽彩にとって、親や家族は、居場所であると同時に、自分を縛る呪いのようなものでもあったと思う … 続きを読む

紅ゆずる、歌舞伎町の女王役に意欲「女王としてのたたずまいや圧倒的な存在感を作っていけたら」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年7月4日

 2019年に宝塚歌劇団を退団して以降、今も多方面で活躍を続ける紅ゆずる。7月13日から開幕する、ふぉ~ゆ~ meets 梅棒「Only 1,NOT No.1」では初めて全編ノン・バーバル(せりふなし)の作品に挑戦する。  物語の舞台は歌舞 … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】異領域を融合する舞台芸術、演出家イ・インボの挑戦

舞台・ミュージカル2025年7月3日

▽長い時を刻む、大衆文化とは異なる魅力 -Kカルチャーが世界で注目される今、今回のような舞台表現はKカルチャーの中にどう位置づけられると思いますか?  K-POPや映画などの大衆文化も素晴らしいですが、伝統芸術はそれよりもはるか以前から続い … 続きを読む

Willfriends

page top