【インタビュー】映画『駅までの道をおしえて』新津ちせ「『オーディションに受かった』と聞いたときは、頭が真っ白でした」笈田ヨシ「『子役だから』と特別なことはなく、一緒に仕事をする相手として接しました」

2019年10月23日 / 15:04

-ルースはどうでしたか?

新津 ルースは、あるご家族の飼い犬だったのですが、撮影のとき、ルーとルースが仲良くじゃれ合って遊んでいたので、終わった後に離れ離れにしたらかわいそうだねという話になって、今は、ルーも、ルースの家で一緒に暮らしています。先日、学校からの帰り道の途中、ルーとルースが待っていてくれたことがありました。その日は私の誕生日で、監督やスタッフさんが、サプライズで2匹を連れてきてくれたんです。すごくうれしかったです。

笈田 僕はルースと過ごす時間が長かったのですが、もともと保護団体から来た犬で、不幸な過去があるらしく、人間に対して不信感を持っているようでした。最初はとても怖がっていたので、危険な人間ではないということを伝えようと、柔らかく、優しく付き合うようにしました。初めは犬と遊んでもらおうと思っていたのに、僕の方が犬の動きに慣れなければならないので、大変でした(笑)。でも、楽しかったですね。

-観客にはこの映画のどんなところを見てほしいですか。

新津 サヤカとフセさんとルーとルースが、年齢や言葉の壁を超えて、心と心を通わせていくところです。撮影の中で、サヤカとして泣いたり笑ったりしたことが、いまも自分の中に残っていて、私がこれからつらい経験をしたときにきっとサヤカが心の支えになってくれると思います。映画を見てくださった方にとっても、この作品がそういう温かい存在になれたらうれしいです。それから、ルーとルースの名演技もぜひ見てほしいです!

笈田 大切な人や動物を失い、その悲しみが重く、深く心に残った経験がある人は多いのではないでしょうか。この映画に登場する2人も同じです。彼らがその悲しみをくぐり抜けていく姿をご覧いただき、ご自身のつらい思い出をどう処理するかという参考にしていただけたらうれしいです。

(取材・文・写真/井上健一)

新津ちせ(左)と笈田ヨシ

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

南沙良「人間関係に悩む人たちに寄り添えたら」井樫彩監督「南さんは陽彩役にぴったり」期待の新鋭2人が挑んだ鮮烈な青春映画『愛されなくても別に』【インタビュー】

映画2025年7月4日

-陽彩はいわゆる“毒親”の母と2人で暮らすうち、自分の人生に期待を持てなくなってしまった人物です。そういう役と向き合うお気持ちはいかがでしたか。 南 陽彩にとって、親や家族は、居場所であると同時に、自分を縛る呪いのようなものでもあったと思う … 続きを読む

紅ゆずる、歌舞伎町の女王役に意欲「女王としてのたたずまいや圧倒的な存在感を作っていけたら」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年7月4日

 2019年に宝塚歌劇団を退団して以降、今も多方面で活躍を続ける紅ゆずる。7月13日から開幕する、ふぉ~ゆ~ meets 梅棒「Only 1,NOT No.1」では初めて全編ノン・バーバル(せりふなし)の作品に挑戦する。  物語の舞台は歌舞 … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】異領域を融合する舞台芸術、演出家イ・インボの挑戦

舞台・ミュージカル2025年7月3日

▽長い時を刻む、大衆文化とは異なる魅力 -Kカルチャーが世界で注目される今、今回のような舞台表現はKカルチャーの中にどう位置づけられると思いますか?  K-POPや映画などの大衆文化も素晴らしいですが、伝統芸術はそれよりもはるか以前から続い … 続きを読む

毎熊克哉「桐島が最後に何で名乗ったのかも観客の皆さんが自由に想像してくれるんじゃないかと思いました」『「桐島です」』【インタビュー】 

映画2025年7月3日

-実際に演じてみて感じたことや、演じる上で心掛けたことや気を付けたことはありましたか。  自分が桐島を演じる上で一番重要だと思ったのは、(偽名の)「ウチダヒロシ」として、1人の部屋で朝を迎えて、窓を開けてコーヒーを飲んでというシーンでした。 … 続きを読む

磯村勇斗&堀田真由、ともにデビュー10年を迎え「挑戦の年になる」 ドラマ「僕達はまだその星の校則を知らない」【インタビュー】

ドラマ2025年7月2日

 磯村勇斗主演、堀田真由、稲垣吾郎が出演するカンテレ・フジテレビ系“月10ドラマ”「僕達はまだその星の校則を知らない」が7月14日から放送スタートする。本作は、独特の感性を持つがゆえに何事にも臆病で不器用な主人公・白鳥健治(磯村勇斗)が、少 … 続きを読む

Willfriends

page top