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この映画には、普段から歌やダンスをやっているダウン症の女の子だけでなく、より重度の障害者の子たちも出ています。そういう子たちが、こうやって映画を通じて社会参加していくことは、どんどんやった方がいい。彼らが「菅田くんに会える!」と喜んだりするところは、本当に普通です。僕としては、障害者の人も健常者の人も、なるべく一緒に生活できることが、国として最も豊かな状態だと思っています。だから、一日も早くそういう社会が実現してほしい。それはもう、ずっと願っていることです。
やりたい気持ちはずっとありましたが、内容的にハードなこともあり、なかなか機会がありませんでした。それがこのところ何本か映画を作る中で、環境が整ってきたので、「やってみようか」と。だから、特にこのタイミングを狙ったわけではありません。ただ、当時とは世の中が大きく変わる中で、僕自身、これを撮りたいのかどうか、心境の変化があるのではないかとも思いました。3.11のような災害が起きた後ですから、「生」に対する日本人の捉え方も、高度経済成長期から続いた豊かな時代とは変わるのではないかと。でも、それほど変わらなかった。それどころか、ものすごい勢いで3.11を忘却していこうとしているようにすら感じられた。であれば、この脚本でまだやれるだろうと。
そんな大それたつもりはありませんが(笑)。ただやっぱり、平成の時代は、あらゆる都合の悪いものを排除しようとする動きが行き過ぎていたのではないかと。その思いは今も変わりません。それに対して、ちょっとやり過ぎではないか、異様な世界になってきてはいないか、という感覚はあります。
どこそこの会社の部長だとか、映画監督だとか、そういう肩書きも生きていく上ではもちろん必要です。でも、人を見るときは、それとは違う、人そのものを見つめる力、人間が「生きている」ということそのものに触れていこうとする姿勢が必要ではないでしょうか。そういう感覚があると、これから問題になっていく高齢化社会などに対して、日本の社会がどう対応するべきかという哲学が持てるのではないかと。この映画が、そういうことを考えるきっかけになってくれたらうれしいです。
(取材・文・写真/井上健一)
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