「初めは全く泳げなかったので、用意された分の3倍ぐらい個人で水泳の練習をしました」大東駿介(鶴田義行)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

2019年8月18日 / 20:50

-その後も水泳は続けているのでしょうか。

 続けています。これまで、休日の過ごし方に、水泳という選択肢はありませんでした。でも、今はそれが自分の息抜きになっている。それも一つの人生観の変化だな…と。水泳は1年も続けたわけではありませんが、その程度の短期間でも、人生を前に進めることはできる。僕は、学生時代からずっと「水泳も球技も苦手」と言っていましたが、今は「どんなものでも、1カ月もらえたら、スタートラインには立てる」という気持ちになっています。そういう意味で、かなり人生の幅が広がる演劇体験をさせてもらっています。

-そんな大東さんから見た「いだてん」の魅力とは?

 あるとき、監督から「このドラマは、みんなが失敗していく。挫折したり、失敗したりしながら、それでも前に進んでいく」という話を伺ったんです。それが、僕にとっても、今の日本にとっても、必要なものではないかな…と。今は失敗にとても厳しい時代です。でも、時代というものは、失敗が築いてきたのではないでしょうか。失敗を繰り返した人たちの残した大きな功績が、今の日本につながっている。だから、「失敗を恐れる選択をしたくない」という気持ちが僕にもあり、今回はいろいろと思い切った決断ができました。人見絹枝さんがオリンピックに出場する回(第26回)は、僕も号泣しましたし…。本当に素晴らしい作品に携わらせてもらったと思っています。

(取材・文/井上健一)

鶴田義行役の大東駿介

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