【インタビュー】『貞子』中田秀夫監督 14年ぶりの『リング』シリーズ復帰で原点回帰 「クスリとも笑われなくていい」

2019年6月7日 / 18:35

 もう一つの要素は、「恐怖におののいて美しい顔立ちが思い切りゆがむと、その落差に観客も感情移入して一緒に怖がる」という理由から、美貌が重要であることも説明した。池田は、そのヒロイン像を見事に体現しており、中田監督は「撮影中はヒロインの茉優に感情移入して、このゾーンに来てよというところにバシッと来てくれた」と賛辞の言葉を送った。

 オファーを受けてから2年を経て、ついに公開を迎えた本作。中田監督は「ホッとすると同時に見た方のリアクションが気になるけど、受け取る側の感性で見てもらえればいいので気にしないようにしています。複雑ですね…」と胸中を吐露。

 エゴサーチで反応をキャッチすることもあるが、「SNS上での感想より、生の言葉の方が突き刺さるし、劇場で悲鳴を聞いたり、カップルが身を寄せ合ってくれたりするとうれしい」と笑うと、『リング』公開時は10回も劇場に足を運んだことを打ち明けた。

 もちろん好感触だけではなく、ある作品においては、中学生3人組が「このチケット代、『スター・ウォーズ』と同じなんだよ。信じられる!?」と痛烈な言葉を放っていたこともあったとか。しかし、それすらも「自分で自分を笑える」と少し楽しそうな表情をのぞかせると、「今回もせめて1回は見に行きたい」と声を弾ませる。

 時代と共に変わりゆくもの、変わらないもの…。果たして、貞子の恐怖はニュージェネレーションの目にはどう映るのか? ジャパニーズホラーの神髄が試される…。

(取材・文・写真/錦怜那)

(C)2019「貞子」製作委員会

  • 1
  • 2
 

関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

-お芝居に悩んだり、難しさを感じたりすることはありませんでしたか。 前田 たくさんあります。でもその都度、松井監督と相談しながら進めていきました。迷ったときは、松井監督を信じればいい、という信頼関係が出来上がっていたので。 窪塚 松井監督は … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

-ルンメイさん、夫・賢治役の西島秀俊さんの印象はいかがでしたか。 ルンメイ 今回西島さんと一緒にお仕事ができたことはとても光栄でした。西島さんは経験豊かな方なので、私は現場でとても安心して演技をすることができました。西島さんがいろんなエネル … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(3)無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力

舞台・ミュージカル2025年9月12日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力 … 続きを読む

北村匠海 連続テレビ小説「あんぱん」は「とても大きな財産になりました」【インタビュー】

ドラマ2025年9月12日

-小学生の頃、絵画教室に通われていたそうですが、演じる上で役立った部分はありますか。  僕は子どもの頃から、絵画教室に通ったり、自宅では粘土で架空のモンスターを作ったりしていました。そういう創作を楽しむ部分は、嵩に通じるものがありました。前 … 続きを読む

中山優馬「僕にとっての“希望”」 舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~の再始動で見せるきらめき【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年9月11日

-なるほど。そうして前に進んだ先に、どんな未来をイメージしていますか。  先のことはあまり考えていないです。友達たちが家を建てたり、子どもが生まれたりしているのを見ると、そうした未来を自分が持ったらどうなるんだろうなと考えることはありますが … 続きを読む

Willfriends

page top