【インタビュー】『ある町の高い煙突』渡辺大「異なる立場の人々の共生を描くことは、とてもすてきな試みだと思いました」

2019年6月17日 / 10:00

-そのほかの共演者で印象に残った人は?

 社長役の吉川晃司さんはせりふは少ないのですが、その一言一言にとても力を入れて語られているのが分かりました。僕と技師長役の石井(正則)さんが長いせりふをしゃべった後で、吉川さんのうなずきで全部持っていかれるという(笑)。語らずとも存在感で表現するというエネルギーを感じました。

-こうした映画に出演する意義をどう感じていますか。

 こうしたものは後世に語り継ぐべきだと思いますし、学校の教科書のようなものではなく、映画というエンターテインメントの部分で見せることも大切だと思います。例えば、この映画は、煙突を立てる話を通して、自分とは立場の違う人たちと手を組んで、どう乗り越えていくかという、共生を描いた作品なので、そうしたところを感じていただければと思います。

-では、最後に映画の見どころと観客に向けて一言お願いします。

 今はいろいろなものが見え過ぎて、逆に本質が見えにくくなっているところがあると思います。計算の技術が進んで、この映画で関根三郎くんが言う「冷静で合理的」な人が増えたところもある。けれども、この映画の、自分の心に従って生きる人たちの姿を見て、こういう生き方もあるんだ、ということを感じてもらえたらと思います。たまには、冷静で合理的ではなく、熱くなって、人のことを思いやって、という理想を求める生き方をしてもいいと思います。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)2019 Kムーブ

『ある町の高い煙突』
6月22日(土)有楽町スバル座ほか全国ロードショー(ユナイテッド・シネマ水戸、シネプレックスつくば 6月14日(金)先行公開)

  • 1
  • 2
 

関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

ジェイソン・ステイサム ~絶滅危惧種のアクションスター~

映画2025年12月31日

筋肉系スターの最後の生き残り  そう考えると、『エクスペンダブルズ』シリーズの現役の傭兵役というのは、ステイサムにとってはむしろ異色と言っていい。多彩な個性や国籍の寄せ集めチームという設定のおかげで、彼のナチュラルな魅力もしっかり際立ってい … 続きを読む

寺西拓人 声優初挑戦は「とても刺激的で楽しい経験でした」 「マクロス」、「アクエリオン」シリーズの河森正治監督の長編アニメーションに出演『迷宮のしおり』【インタビュー】

映画2025年12月30日

-どんな点が楽しかったのでしょうか。  舞台や実写作品の場合、役を演じていても、どこか自分が残っているんです。でも、アニメーションは外見が自分と全く異なるので、より強い没入感が味わえて。それがすごく楽しかったです。 -そういう意味では、主人 … 続きを読む

織山尚大、芸能活動10周年を迎え「今のこの年齢で演じる意味がある」 舞台「エクウス」で3年ぶりの主演【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月29日

 映画『うちの弟どもがすみません』やドラマ『リベンジ・スパイ』など、数々の映画やドラマ、舞台で活躍する織山尚大の3年ぶりの主演舞台となる「エクウス」が1月29日から上演される。本作は、実際に起きた事件を基に描かれた、ピーター・シェーファーに … 続きを読む

【映画コラム】「2025年映画ベストテン」

映画2025年12月28日

【日本映画】  邦画界は、今年も『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』『チェンソーマン レゼ篇』『名探偵コナン 隻眼の残像』など、アニメーション作品が興行成績の上位を占めたが、実写映画でも大ヒット作が生まれた。歌舞伎を題材とした … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】家族の情緒が国境を越える、俳優ムン・ソリが語る「おつかれさま」ヒットの理由

ドラマ2025年12月26日

 ▽家族を世話する母    ムン・ソリは、「クイーンメーカー」(23年)や「私たちの人生レース」(同)のように、女性の主体性や自分らしさを打ち出す役を担い、エンパワーメントの姿を体現してきた。だが「おつかれさま」では、“肩書きのない母”を真 … 続きを読む

Willfriends

page top