【インタビュー】『アリータ:バトル・エンジェル』ロバート・ロドリゲス監督「この映画は、アメリカ人にインスピレーションを与え続けてくれた日本の漫画やアニメに対するラブレターです」

2019年2月21日 / 09:00

 数百年後の未来。スクラップの山の中から脳だけが無傷の状態で発見されたサイボーグの少女アリータ(ローサ・サラザール)は、サイバー医師のイド博士(クリストフ・ヴァルツ)によって新たな体を与えられ、目を覚ますが…。木城ゆきとの漫画「銃夢」を原作に、製作ジェームズ・キャメロンと監督ロバート・ロドリゲスがタッグを組んで映画化した『アリータ: バトル・エンジェル』が2月22日から公開される。公開を前に来日したロドリゲス監督が映画製作の舞台裏を語った。

ロバート・ロドリゲス監督

-今回、製作のジェームズ・キャメロンとタッグを組んだ経緯と、共同作業の感想を。また、過去に組んだクエンティン・タランティーノと比べていかがでしたか。

 キャメロンもタランティーノも、映画を通していろいろなことを達成した巨匠です。ですから、一緒に仕事ができたことはとても光栄なことだと思っています。彼らは、基本的に他の人のためには脚本を書きません。『アリータ~』も、最初はキャメロンが自分で撮ろうと思って脚本を書いたのですが、『アバター2』で忙しくなってしまったので、代わりに私がやったわけです。とてもラッキーでした。ですから、今回は自分では完成させることができなかったキャメロンの映画を、彼のスタイルを引き継いだ形で私が完成させようと思いました。
 また、私と2人は古くからの友人同士であり、とても尊敬しています。私にとっては、いろいろなことを教えてくれるビッグブラザー(=兄貴)のような存在です。彼らと一緒の作業はとてもやりやすくて楽しいです。

-これまでも『スパイ・キッズ』シリーズや『シン・シティ 復讐の女神』(14)など、特撮アクション系の映画を撮っていますが、今回は何か違った点はありましたか。

 これまで、3DやCGは使ったことがありましたが、パフォーマンスキャプチャー(三次元空間における人間の動作に加え、表情の変化もデジタルデータとしてコンピューターに取り込む手法)を使ったのは今回が初めてでした。『アバター2』のセットにキャメロンを訪ねたときに、やり方は見ましたが、自分で使ったことはありませんでした。今回使ってみて驚いたのは、パフォーマンスキャプチャーは演技の邪魔になるどころか、より増強させる効果があるということでした。コスチュームを着けたり、メーキャップをしたり、という気をそらす作業がない分、俳優がキャラクターに成り切れるところがあります。それが、見ていてとても面白く、新しいと思いました。

-今回は、監督がこれまで撮ってきた『デスペラード』(95)『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(96)『グラインドハウス』(07)といったB級テイストの映画とは全く違う印象を受けましたが…。

 キャメロンが書いた脚本を初めて読んだとき、「とてもジェームズ・キャメロン的な世界だ」と思いました。つまり、『タイタニック』(97)や『アバター』(09)のような、あらゆる人々の共感を呼ぶ超大作だと。それに比べて、私がこれまで作ってきた映画は見る人を限定するようなところがあります。あらゆる人に向けて映画を作るというのは大変なことです。ですから、最初はキャメロンに「どうすればいいのか」といろいろ質問をしました。
 彼が教えてくれたのは「SFやファンタジーの大作映画を作る場合は、リアリティーに基本を置くことが重要だ」ということでした。なので、今回は『シン・シティ~』などとは全く違うやり方、つまりブルーバックなしでちゃんとセットを作り、ロケも実際にその場所に行って、本物の俳優を使って撮りました。そうすることで、観客は、よりキャラクターを信じることができるし、ストーリーにも没入できます。それは私にとっては新しくエキサイティングな方法でした。キャメロンはとてもいい先生でした。

-監督はこれまでバイオレンス物とキッズ物という、ある意味対極にある映画を撮ってきましたが、今回はその中間的な位置付けになるのでしょうか。

 以前から、本作のような、PG-13指定の映画(13歳未満の鑑賞には、保護者の同意が必要)を作りたいと思っていました。『スパイ・キッズ』シリーズはとても小さい子どもが、『デスペラード』や『フロム・ダスク・ティル・ドーン』は“大きな子ども”(笑)が対象でしたから。実はキャメロンも『ターミネーター』シリーズや『トゥルーライズ』(94)といったR指定(年齢制限)の映画を作ってきました。『アバター』あたりからPG-13になったのだと思います。年齢制限の基準を下げると、幅広い観客に見てもらえるようになります。今回は、PG-13でも強烈なアクションを入れることは可能なのだと実感できました。

 
  • 1
  • 2

関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

尾上松也「金田一耕助を演じる喜びがふつふつと」奥智哉「今の時代にふさわしい作品に」名作ミステリー映画で共演『八つ墓村』【インタビュー】

映画2026年9月18日

 横溝正史原作の名作ミステリーが、令和の時代によみがえる!これまで繰り返し映像化されてきた『八つ墓村』が装いも新たに映画化され、9月18日から全国公開となる。  岡山県の山奥にひっそりとたたずむ八つ墓村で起きる連続殺人の謎に、名探偵・金田一 … 続きを読む

有村架純、石田ひかり、姫野花春「見終わった後ですごく幸せな気持ちになれる映画です」『さとこはいつも』【インタビュー】

映画2026年9月18日

 沖田修一監督が、年齢も育った環境も異なる3人の「さとこ」という女性の人生が交差していく様子をオリジナルストーリーで描いた『さとこはいつも』が、9月18日から全国公開。本作で、35歳の沙都子を演じた有村架純、55歳の里子を演じた石田ひかり、 … 続きを読む

見上愛「樹里ちゃんは周りを安心させる空気感を持っている」上坂樹里「愛さんが私を直美にしてくれました」主演の2人が撮影を振り返る【連続テレビ小説「風、薫る」インタビュー】

ドラマ2026年9月17日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「風、薫る」。田中ひかるの著書『明治のナイチンゲール 大関和物語』を原案に、明治時代、当時まだ知られていなかった看護の世界に飛び込んだ一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)という2人のナースの冒険物語 … 続きを読む

丸山隆平「きっと誰も見たことがないものになる」 舞台「water」で挑む半自伝的作品【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月14日

 丸山隆平と、演劇団体マームとジプシーの主宰を務め、劇作家・演出家として注目される藤田貴大が企画し、作り上げる舞台「water」が9月27日から上演される。本作は、丸山の記憶の断片を散りばめながら、藤田の視点で見つけた京都という土地、そして … 続きを読む

倉悠貴 豊臣兄弟を支える軍師・黒田官兵衛を好演中「最後までしっかり演じ切りたい」【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年9月13日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(総合 毎週日曜 夜8:00~ほか)。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=羽柴秀長/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中だ。劇中、軍師 … 続きを読む

page top