【インタビュー】『アリータ:バトル・エンジェル』ロバート・ロドリゲス監督「この映画は、アメリカ人にインスピレーションを与え続けてくれた日本の漫画やアニメに対するラブレターです」

2019年2月21日 / 09:00

-『シン・シティ~』も、今回も漫画が原作でした。漫画の映画化について、また日本の漫画についてはどう思いますか。

 日本の漫画は幾つか読みました。私がこの映画の原作で好きなところは、アジアの街には限定せず、地球で最後に残った都市が舞台になっているところです。そこは人種のるつぼで、いろいろな文化や言葉が共存しているので、これを映画にすれば、多様性のあるキャストを組むことができるし、普遍的なテーマを描くこともできると思いました。キャメロンも、原作のストーリーやテーマが、漫画やSFというジャンルを超えているところが気に入ったようです。私も木城さんが書いた物語には、とても共感できると思いました。

-ローサ・サラザール、クリストフ・ヴァルツにはどんな印象を持ちましたか。

 どちらも本当に素晴らしい俳優でした。最初に脚本を読んだときに思い浮かべたのがクリストフ・ヴァルツでした。彼と初めて会ったときに、いきなり3時間以上も話し込んでしまいました。彼は悪役を演じることが多いのですが、彼自身はとても温かく、すてきなお父さんだと感じたので、イド役にはぴったりだと。悪役ではない彼を見て観客は驚くはずだとも思いました。
 私は、その俳優がどんな役を演じてきたかよりも、その人がどんな人なのかを見てキャスティングすることが多いのですが、ローサもそうでした。彼女はとても表現力が豊かで、反抗的なところもあり、楽しいところもあるという、アリータの性質を持っていました。アリータはCGのキャラクターで、目がとても大きい。その見た目で観客を引き込んだ後、ローサがアリータに人間味を与えてくれるはずだと思いました。

-では最後に、日本の観客に一言お願いします。

 この映画を、早く日本の皆さんに見てほしいと思います。この映画は、長い間アメリカ人に大きなインスピレーションを与え続けてくれた日本の漫画やアニメに対するラブレターです。そして、原作にリスペクトをし、原作の心を大切にしながら作りました。あらゆる人に楽しんでもらえる映画になっていますので、ご家族、友だちなど、いろんな人と一緒に見に行ってください。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C) 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

  • 1
  • 2
 

関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】映画は原作を超えたか 沖縄の現代史を背景に描いた力作『宝島』/純文学風ミステリーの趣『遠い山なみの光』

映画2025年9月18日

『遠い山なみの光』(9月5日公開)  1980年代のイギリス。日本人の母とイギリス人の父との間に生まれロンドンで暮らすニキ(カミラ・アイコ)は、大学を中退し作家を目指している。ある日、彼女は執筆のため、異父姉の景子が亡くなって以来疎遠になっ … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】レジェンドたちの「朝鮮の旅」たどった写真家の藤本巧さん

2025年9月18日

▼新しい美の概念  志賀直哉や武者小路実篤らと文芸雑誌『白樺』を創刊し、西洋美術を紹介していた柳宗悦(1889-1961)は、浅川兄弟との関わりで初めて朝鮮に興味を持つことになる。  「(彫刻家を目指していた)伯教さんは『白樺』を読み、柳先 … 続きを読む

エマニュエル・クールコル監督「社会的な環境や文化的な背景が違っても、音楽を通して通じ合える領域があるのです」『ファンファーレ!ふたつの音』【インタビュー】

映画2025年9月18日

-劇中に流れるさまざまな曲は、全て監督のチョイスですか。  音楽は全て私のチョイスです。こういうシーン、こういう状況だったらこの音楽は意味があるかなと考えながら一つ一つ選んでいきましたが、いろんな人たちの意見も聞きましたし、私自身もたくさん … 続きを読む

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

-お芝居に悩んだり、難しさを感じたりすることはありませんでしたか。 前田 たくさんあります。でもその都度、松井監督と相談しながら進めていきました。迷ったときは、松井監督を信じればいい、という信頼関係が出来上がっていたので。 窪塚 松井監督は … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

-ルンメイさん、夫・賢治役の西島秀俊さんの印象はいかがでしたか。 ルンメイ 今回西島さんと一緒にお仕事ができたことはとても光栄でした。西島さんは経験豊かな方なので、私は現場でとても安心して演技をすることができました。西島さんがいろんなエネル … 続きを読む

Willfriends

page top