【インタビュー】『赤い雪 Red Snow』永瀬正敏「『この世界に身を置きたい』と思える素晴らしい脚本でした」菜葉菜「一生に一度出会えるか出会えないかという作品」

2019年2月2日 / 14:28

-あの場面、現場でのお二人の様子はいかがだったのでしょうか。

永瀬 僕の方から積極的に「寒いですね」みたいなことを話しかけていました。

-菜葉菜さんは役に入り込んでいたと?

菜葉菜 自分では入り込んでいたつもりはないのですが…。

永瀬 いや、入り込んでいました(笑)。

菜葉菜 本当ですか。周りが見えていませんでした(笑)。私が追い込まれて、自分のことしか見えていないことに気付いた永瀬さんが、抜くところを作ってくださったんですね。

永瀬 早百合のような役をやっていると、役者は全員が敵に見えてくるものなんです。だから、カメラのレンズの前に立ったときの孤独感と似たものを、常に感じるようになる。でも「そうじゃないよ」と。それは同業者だから分かることなので、少しずつ、少しずつ…。まあ、僕の方が少しだけキャリアも長いので…(笑)。

菜葉菜 完全に永瀬さんにリードしていただきました(笑)。今思えば、やっぱり緊張感がありましたね。雪に足跡を付けるわけにはいかないので、別の場所でテストをして、動きを付けて、本番は一発勝負、みたいな感じでしたから…。

永瀬 寒さも厳しかったですが、OKが出てもその場でじっと待たなければならず、暖を取れないような環境だったので、集中力を保つのは大変でした。ただその分、スタッフの方はできるだけ時間を掛けず、機敏に動くようにしてくれました。無事に乗り切ることができたのは、監督をはじめ、全員のチームワークのおかげです。

-事件の被害者の兄・一希と加害者の娘・早百合の複雑で曖昧な関係が物語の軸になりますが、見どころはどんなところでしょうか。

永瀬 2人とも、その種類こそ異なりますが、幼い頃の体験が原因で闇を抱えているという点では近いものがあります。だから、一歩間違えれば、お互いの立場が逆転していたかもしれない。そんな2人が、物語が進む中で遠ざかったり、近づいたりする様子を、絶妙なバランスで描いているあたりが見事です。

菜葉菜 脚本を読んでまず気に入ったのは、対峙する関係でありながらも、2人にはどこか共通するものがあるということです。初めて顔を合わせたときも、言葉は交わさないけど、互いに何かを感じている。そういう2人の関係を言葉で語らず、お芝居で見せていく辺りが、映画らしいなと。そこが一番の見どころです。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)2019「赤い雪」製作委員会

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