X


北川悦吏子さんに感謝。清楚なイメージを覆す“ぶっ飛びキャラ”を「楽しみながら演じています」小西真奈美(加藤恵子)【「半分、青い。」インタビュー】

 これまでの清楚(せいそ)なイメージを覆し、頭のてっぺんから足のつま先まで全身緑色という奇天烈なビジュアルで、「ちゅらさん」以来17年ぶりに朝ドラに帰ってきた小西真奈美。演じる加藤恵子は、大好きな緑色と手触りの良さに特化した商品を開発している会社「グリーングリーングリーン」を一人で立ち上げたエネルギッシュな女性で、鈴愛(永野芽郁)のモノづくりの人生に影響を与える。自身にとって「挑戦的」と話すキャラクターに挑む思いを聞いた。

加藤恵子役の小西真奈美

-全身緑色というインパクトのあるビジュアルを見たときは、「これが小西さん!?」と確認してしまいましたが、ご自身ではどう思われますか。

 お話しを頂いたときは、ビジュアルで驚くし、エネルギッシュなところに圧倒されるし、生きる原動力にあふれて言葉も心に突き刺さるので、(脚本の)北川(悦吏子)さんには「(内面も外見も)ぶっ飛びましょう」と言いましたが、想像以上に緑でびっくりしました(笑)。でも、ここまで何かを突き詰めて愛して、強く生きている人だから、相手の心も動かすのでしょう。北川さんが、私の今までに見たことのない部分を見せたいと思って書いてくださったこともすごくうれしいです。

-具体的にどのような役作りをされましたか。

 「よく通る高い声で、早口で、アニメのキャラクターみたい」というお話しだったので、それは意識しました。他にも、「ドアを“どべし”と開ける」「ダーッと走る」というところから、全力で走って、全力でドアを開けて、全力で生きる人なんだと、台本から自分の中に落とし込んで消化して出しています。でも、衣装を着て、ウイッグを着けることでふに落ちて、加藤恵子が100パーセントになった気がします。

-とてもユニークで、かなり挑戦的な役柄のようですね。

 こういうタイプの役は全くなかったですし、とても挑戦的です。ただ、やってやろう!と意気込むのではなく、楽しみながら演じています。

-役に共感できるところもあるのでしょうか。

 好きなところを語り始めると熱くなって止まらなかったり、空気が読めなかったり…(笑)。でも、そういうところが鈴愛ちゃんの人生にいい意味で影響を与えるのであれば、半分は反省、半分はこのままでいいのかな…と勇気づけられます。

-撮影で苦労したことはありますか。

 恵子が出てくる最初のシーンは、まだ役をつかみ切れていない中での早口の長ぜりふだったので大変でした。最後も恵子の内面から湧き出るものが見える感じが、今までにないようなシーンだったので、突然キャラが変わったと思われないように、より自分の中で消化する時間が必要でした。

-恵子は緑色に愛着がありますが、小西さん自身が愛しているものを教えてください。

 仕事では、昨年から音楽活動を始めて、作詞作曲をしていますが、その面白さにはまってからは、気付いたら曲を作るというペースになって、いつの間にか朝になっていることもあります。プライベートでは、5~6年前から始めたバレエが熱冷めやらぬで、レッスンに行けるときは週に何回も行ったり、同じ趣味の方と会うと話が盛り上がったり、海外ではオープンクラスに参加したりしています。

-ちなみに、なぜ緑なのでしょうか。小西さんの一番好きな色なんですか。

 私も、何でだろうと思ったんですよ。北川さんとご一緒したときに緑色の服を着ていたかもしれないです。そうだとしたら北川さんのキャッチ力はすごいですよね。個人的に好きな色は春だったらピンク、夏だったら青や白とか、季節で変わりますが、好きな色の中に緑は絶対に入っています。

-北川さんとはドラマ「オレンジデイズ」(04)でご一緒されていますが、北川作品の魅力とは何でしょうか。

 文字にすると詩的に見えることもあるけれど、それを口に出すと体温を感じて心に刺さるところですね。このドラマも、リアルな日常の物語だけど、独特のエッセンスはなくならず、詩的な要素がありながら、視聴者との距離感が近いせりふやシーンが描かれているところが好きです。

-話題性の高いドラマですが、現場での様子はいかがですか。

 初回から感情移入しながら見ていたドラマの撮影現場は、すでにチームワークも完全に出来上がっていて、最初はすごく緊張しました。でも、皆さん優しいし、明るいし、あっという間に打ち解けることができました。だからこそ、こんなに愛情に包まれて温かい作品ができるんだなと思いました。

-17年ぶりの朝ドラですが、懐かしさなどもありましたか。

 皆さんが温かくていい方だったので、久しぶりという感覚もないぐらい、スムーズに入っていけました。ただ、月曜日のリハーサルは台本を持たずに動いてやりたいから、そのために週末はせりふ覚えを頑張ったな…というデジャブは感じました。

-お笑いコンビ・くりぃむしちゅーの有田哲平さんが兄の津曲雅彦を演じますが、共演しての印象は?

 以前、有田さんのバラエティー番組に出演して以来だったので、お会いするときはドキドキしましたが、現場で初めて顔を合わせたときに、全身緑だった私に「似合ってるね」と言ってくれて安心して、そこからいろいろ話すようになりました。本当にお兄ちゃんのように接してくれて楽しいです。

-津曲はうさんくさい男だそうですが、兄妹の仲はどうでしょうか。

 うさんくさいなぁと感じるけど、根本ではお兄ちゃんが大好きで、愛らしくて憎めないと思っています。有田さんに、そんなふうな気持ちで演じていると話したら「そうなんだ。じゃあそう思いながらやる!」と言っていました(笑)。有田さん自身にそういうかわいらしさがありますよね。

-最後に、ラストスパートに向かって疾走するドラマの見どころをお願いします。

 鈴愛ちゃんの怒濤(どとう)の人生が、恵子とお兄ちゃんが出てきて、全く違う展開になります。いろんな経験をして大人になった鈴愛ちゃんが、さらに一段階上の経験をして違うエネルギーを発するし、周りの個性的な人間も鈴愛ちゃんにパワーを与えるし、与えられるので、最終週に向かってパワーと深みを感じながら楽しんでください。

(取材・文/錦怜那)

加藤恵子役の小西真奈美

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

海宝直人&村井良大、戦時下の広島を舞台にした名作漫画をミュージカル化 「それでも生きていこうというエネルギーをお見せしたい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年5月9日

 太平洋戦争下の広島県呉市に生きる人々の姿を淡々と丁寧に描いた、こうの史代氏による漫画「この世界の片隅に」がミュージカル化され、5月9日から上演される。主人公の浦野すず役をWキャストで務めるのは、昆夏美と大原櫻子。すずが嫁ぐ相手の北條周作を … 続きを読む

「ジョンは初恋の人、そしてかけがえのない友達」『ジョン・レノン 失われた週末』メイ・パン【インタビュー】

映画2024年5月9日

 ジョン・レノンとオノ・ヨーコ夫妻が別居していた「失われた週末」と呼ばれる、1973年秋からの18カ月の日々。その時ジョンは、彼とヨーコの元・個人秘書で、プロダクション・アシスタントを務めていた中国系アメリカ人のメイ・パンと恋人関係にあった … 続きを読む

北村匠海「長谷川博己さんのお芝居は、やっぱり迫力がすごい」 日曜劇場「アンチヒ-ロ-」【インタビュ-】

ドラマ2024年5月8日

 長谷川博己が主演を務める日曜劇場「アンチヒーロー」(TBS系)が放送中だ。本作は殺人犯をも無罪にしてしまう“アンチ”な弁護士・明墨正樹(長谷川)の姿を描き、視聴者に“正義とは果たして何なのか? ”“世の中の悪とされていることは、本当に悪い … 続きを読む

玉置玲央「柄本佑くんのおかげで、幸せな気持ちで道兼の最期を迎えられました」強烈な印象を残した藤原道兼役【「光る君へ」インタビュー】

ドラマ2024年5月5日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。5月5日放送の第十八回で、主人公まひろ/紫式部(吉高由里子)にとっては母のあだに当たる藤原道長(柄本佑)の兄・藤原道兼が壮絶な最期を迎えた。衝撃の第一回から物語の原動力の一つとなり、視聴者に強烈 … 続きを読む

「光る君へ」第十七回「うつろい」朝廷内の権力闘争の傍らで描かれるまひろの成長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年5月4日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。4月28日に放送された第十七回「うつろい」では、藤原道長(柄本佑)の兄である関白・藤原道隆(井浦新)の最期が描かれた。病で死期を悟った道隆が、嫡男・伊周(三浦翔平)の将来を案じて一条天皇(塩野瑛 … 続きを読む