【インタビュー】『インクレディブル・ファミリー』ブラッド・バード監督「仕事と家庭の両立は、綱渡りをしているような感じです」

2018年8月1日 / 08:00

 ディズニー/ピクサーのアニメーション『インクレディブル・ファミリー』が8月1日から公開される。本作は、スーパーパワーを持つヒーロー家族の平凡な日常と、悪との戦いを、ユーモアとアクション、スリル満載で描いた壮大なアドベンチャー。前作『Mr.インクレディブル』(04)に続いて本作を監督したブラッド・バードが、本作のテーマや、実写とアニメーションの違いなどについて語ってくれた。

ブラッド・バード監督

-今回は「ヒーロー家族にも悩みや日常生活がある」というのがキャッチコピーになっています。ヒーロー物なのに普通の家族として描くところがとてもユニークだと思いましたが、なぜこうした形で描こうと思ったのでしょうか。

 スーパーヒーロー物というと、どうしてもヒーローとして活動している側面に光が当てられがちで、その人たちの本来の姿や、生活が描かれることはほとんどありません。なので、それを描いたら面白いと思いました。スーパーヒーローというレンズを通して、誰もが知っている家族というコンセプトを掘り下げる。また逆に、家族を通してスーパーヒーローを描く。そのどちらもが面白いと思いました。

-ヘレンを通して、女性の社会進出や、子育てと仕事の両立というテーマも描かれていますね。

 仕事と家庭の両立というのは、男性、女性に限らず、バランスを取るのがとても難しいと思います。僕自身もまだ答えが出ていません。本当に綱渡りをしているような感じです。たとえば、1カ所はとてもバランスが取れているように見えても、常にシフトをしていかないと前には進めません。まるで手探りのようだと誰もが感じていると思います。また、キャラクターの役割を入れ替えたら面白いかもしれないということは、前作が終わった13年前に思いついたことなので、特に今の世相を意識した訳ではありません。

-本作には、監督自身の家族に関する体験も反映されていると聞きました。公開中の細田守監督の『未来のミライ』も、監督自身の体験を反映し、家族を描いたファンタジーアニメーションです。同時期に、日米で同じようなテーマを描いたアニメ映画が公開されることについて、何か感じることはありますか。

 家族のあり方や子育てについて、みんながオープンにして、いろいろと模索しながら実践していく、そうしたシフトや動きが少しずつ起きてきているのかなと思いますし、それはとてもいいことだと思います。残念ながら、その映画のことは知りませんでしたが、これから休暇が取れるのでぜひ見てみようと思います。

-『アベンジャーズ』など、他のヒーロー物も描いていますが、大衆は強大なパワーを持つものに恐怖を抱く反面、ヒーローを欲するという二律背反する思いを持っています。その点は、どう考えますか。

 恐怖心は自分が理解できないものに対して抱くものだと思います。人は自分の考えに対して異質なものに恐怖心を抱きます。また、恐怖心は攻撃性に形を変えたりもします。それらは物語を作る上でとても重要なテーマだと思います。

-では話を変えて、久しぶりに声優としてエドナを演じた感想は?

 監督はとても大変な仕事なので、エドナを演じる時間はとても楽しいのです。監督業に比べれば楽ですからね(笑)。ただ、街で会う人たちからは、僕がこの映画の監督・脚本を手掛けたことよりも、「エドナの声をやっているの!」と感心されることの方が多いので、ちょっと不満です(笑)。

 
  • 1
  • 2

関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

伊藤健太郎&GACKTの人生を変えた出会いを語る 「連続ドラマW コンサルタント―死を執筆する男―」で初共演【インタビュー】

ドラマ2026年6月3日

 韓国発のダーク・サスペンス小説を実写化したドラマ「連続ドラマW コンサルタント―死を執筆する男―」が、6月7日からWOWOWプライム・WOWOWオンデマンドで放送・配信される。本作は、ミステリー小説家志望の冴えない男・伊崎耀が謎の組織“カ … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第20回「本物の平蜘蛛」不思議な印象を残した松永久秀の最期【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年5月28日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(=羽柴秀吉/池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。5月24日に放送された第20回「本物の … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(14)梅は飛び

舞台・ミュージカル2026年5月28日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼太宰府天満宮の「梅ヶ枝餅」  前 … 続きを読む

芳根京子&渡辺翔太、ウェンディの視点から描く「ウェンディ&ピーターパン」で初の舞台共演 お互いに「心強い」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年5月27日

 芳根京子と渡辺翔太がダブル主演を務める、Bunkamura Production 2026/DISCOVER WORLD THEATRE vol.16「ウェンディ&ピーターパン」が、6月12日から上演される。本作は、世界的名作「ピーターパ … 続きを読む

佐々木蔵之介「この映画を見た後で自分の気持ちがさまようようなところがあるので、誰かと一緒に見てほしいと思います」『名無し』【インタビュー】

映画2026年5月22日

 その男が右手で触れた瞬間、相手は消え、死が訪れる。世にも奇妙な凶器なき犯行と謎に包まれた動機とは…。俳優だけでなく、脚本家、映画監督としても活躍する佐藤二朗が、初めて漫画原作を手がけたサイコバイオレンスを、自らの主演・脚本、城定秀夫監督で … 続きを読む

page top