【インタビュー】『インクレディブル・ファミリー』ブラッド・バード監督「仕事と家庭の両立は、綱渡りをしているような感じです」

2018年8月1日 / 08:00

-監督は、アニメーションだけでなく『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(11)や『トゥモローランド』(15)といった実写映画の監督もしていますが、演出する上で大きな違いはありますか。

 実写映画は自然発生的な要素がとても強いです。天候もそうですが、撮影現場で物理的にどうしてもうまくいかないことが起きてしまいます。例えば、これを撮ろうと計画していても、そこにカメラが置けないこともあります。『ミッション:インポッシブル~』のような大作の場合は、撮影時の一瞬一瞬に膨大なお金が使われているので、スタッフを待たせている間にも大変な費用が掛かってしまいます。ですから、瞬時にいろいろなことを決めなければなりません。製作費は大作になれば実写もアニメーションもそれほど変わりませんが、アニメーションの場合は屋内で作業するので、お金の使い方や環境をコントロールできるのが利点です。

-では、実写とアニメーションとでは、どちらがお好きですか。

 もちろん、どちらも大好きですよ(笑)。実写の場合は、「その瞬間に何かが起きる」という空気を察して、アドリブで何かをしてもらうことができる面白さがあります。『ミッション:インポッシブル~』では、カーター(ポーラ・パットン)が男を誘惑するシーンがあったのですが、その瞬間、はっと感じるものがあって、ポーラに「相手の横っ面をたたいて」とお願いしました。相手役もちゃんと受けてくれましたが、大変驚いた様子でした。そうしたサプライズが垣間見える瞬間というのは、アニメーションでは味わえないものです。
 逆にアニメーションは、例えば、眉を動かしたり、鼻の穴を指でちょっと閉めるというように、計画的に動きを変えることで変化を見せることができます。ただ、実写もアニメーションも最終的に目指しているのは、描いたキャラクターを、観客に共感してもらうことです。そこに至るまでの方法が違うだけなのです。

(取材・文・写真/田中雄二)

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