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「“イケメン芝居”と言われないように気持ちで演じたい」竹内涼真(島谷純一郎)【「ひよっこ」インタビュー】

 高度成長期の日本を舞台に、名もなき一人の少女・谷田部みね子(有村架純)の成長物語を描いたNHKの連続テレビ小説「ひよっこ」。中盤に入って新たな展開を見せる本作で、みね子が暮らす「あかね荘」に住む大学生・島谷純一郎役で新加入した竹内涼真が、朝ドラ初出演の喜びと意気込み、そして役者として今後の目標を語った。

 

島谷純一郎役の竹内涼真

-本作の男性オーディションに挑戦したそうですが、合格した時の感想をお聞かせください。

 この仕事を始めて4年がたったんですけど、芸能界に入って仮面ライダー(「仮面ライダー ドライブ」)をやって、次の目標を尋ねられた時に「朝ドラに出たい」と言っていたので、決まった時はうれしかったです。

-なぜ朝ドラを次の目標に掲げていたのでしょうか。

 多くの方に自分を知ってもらうチャンスになると思ったからです。

-実際に初めて朝ドラの撮影に臨まれていかがですか。

 正直、最初はビビリました。1話からすでに完成されていたので、そこに途中から入ると思った時に、不安というか緊張しました。でも今は、キャストの方々のお芝居が素晴らしいので、自分のスキルを伸ばしながら食らいついていかないと存在感がなくなる…と思いながらやっています。

-島谷は大会社の御曹司というキャラクターですが、どういう役づくりをされていますか。

 頭が良くて冗舌なんですが、そういう人ってキツイ印象を与えることもあるから、ベースは笑顔で、楽しいから良くしゃべる人に見られるように気をつけています。監督からも「柔らかく爽やかに」と言われたので、そこは意識しています。

-島谷役の見どころは?

 裕福な家に生まれて真面目に育ってきた人間が、あかね荘の濃いキャラクターの人たちと一つ屋根の下で暮らしていく中で、心にある壁が崩れて新しい一面が引き出され、人間味が広がっていくところは面白いし、見応えがあると思います。

-ご自身にも自分が変わるような出会いがありましたか。

 ありました。二十歳までサッカーしかやってこなかったので、芸能界に入っていろいろな方とつながることで自分の人間性が徐々に見えてくるようになりました。作品ごとに違う現場で新しい人たちと出会い、良い刺激をもらっています。

-その中でも特に刺激を受けた人はどなたでしょうか。

 最近だと、映画『帝一の國』で共演した菅田将暉くんです。細かい描写で表現するし、表情のバリエーションが多くて圧倒されました。僕らの世代でトップを走っている方と一緒に仕事をすると、そのすごさが分かります。僕も早く追いつきたいと思います。

-有村さんとは初共演ですが、どのような印象を持たれましたか。

 架純ちゃんも同じで、表情のバリエーションが多く、毎回リハーサルからすごいなと思います。最後までやり切るモチベーションは生半可なものではないし、命を懸けないとできないと思うので、頑張っている姿は素晴らしいと思います。

-島谷はみね子と再会した時に彼女のことを覚えていませんでしたが、そういう経験はありますか。

 意外と覚えている方です。僕、よくファンイベントをするんですけど、その中でファンの方たちとハグするんですね。僕、すごい記憶力が良くて、よく来てくれる方はもちろん初めての方でもわかるんですよ。

-島谷には同じお金持ちの友人との付き合いを好まないという一面もありますが、竹内さんは苦手なタイプの人はいますか。

 基本的に苦手だと思う人はいないです。大体みんなウェルカムです。一緒にいて楽しいと感じる人は、何でも素直に話してくれる人です。人見知りの人だと仲良くなるタイミングをうかがいますけど、苦手というわけではないです。

-みね子のような女性はどうでしょうか。

 (出稼ぎや父親探しといった)大きなものを抱えて上京しながら、何事にも全力で、笑顔で周りの人たちを明るくしたり、気持ちで人と接したりしている部分が好きです。一生懸命なところを見たら、それ以上に何かしてあげたい、守ってあげたいと思います。

-そんなみね子と島谷は、互いに“気になる存在”になっていくようですが。

 朝ドラにはこういう立ち位置の人って毎回出てくると思うんですが、そういう役をやらせてもらえるんだ…と重く受け止めています。視聴者の方々も恋の部分は期待して下さっていると思うので頑張りたいです。

-近年は朝ドラに登場する格好いい男性役は“イケメン枠”とも呼ばれていますが…。

 皆さんにそう思っていただけるなら『イケメン枠』って言ってもらってもいいですけど…。『イケメン』だから、ここにいると思われたくはないですね。ちゃんと物語のターニングポイントとして盛り上げて行きたいし、“イケメン芝居”と言われないような気持ちで演じたいと思います。

-「仮面ライダー」「朝ドラ」と目標を達成してきましたが、次なる目標は。

 日本の俳優としてアジアやあるいは世界で通用できるようになりたいです。それに、この仕事をしているからには“国民的俳優”と言われるようになりたいです。朝ドラも1回だけじゃなく、また戻って来られたらうれしいし、他のドラマでも主演を張れるようになりたいです。まだ24歳なので、やりたいことはたくさんあります。

-具体的にこういう作品に出たいというビジョンを持っていますか。

 全国の皆さんに「どういうドラマを見たいか?」というアンケートを取った時に上位に上がるような作品に出たいです。“王道”って呼ばれる、みんなが見たいと思えるもの、そこに応えられる俳優になりたいです。

(取材・文/錦怜那)

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