「現場では芳根ちゃんと一緒にトマトを食べています」高良健吾(野上潔) 【べっぴんさん インタビュー】

2016年10月25日 / 14:48

 戦後の焼け跡の中、娘のため、女性のために、子ども服作りにまい進するヒロインとその仲間を描く連続テレビ小説「べっぴんさん」。連続テレビ小説は「おひさま」以来の出演となる高良健吾が主人公・坂東すみれ(芳根京子)の幼なじみ・野上潔を演じている。潔は、カリスマ性があり、頼れる兄貴的存在で、第2週では、すみれから思いを寄せられながらも、すみれの姉ゆり(蓮佛美沙子)と結婚。戦後は父が取締役を務めていた「坂東営業部」を再興させるため、あらゆる手を尽くす。高良が役への思いを率直に語った。

 

野上潔役の高良健吾

野上潔役の高良健吾

-2011年の「おひさま」以来となる連続テレビ小説への出演ですが、オファーを受けた時の思いは?

 うれしかったです。「おひさま」に出たことで、自分の中で変われた部分があったので、連続テレビ小説にはすごく感謝をしています。また出られるとなった時に、もしかしたら今回も変われるんじゃないかなと思って。

-変われたとは具体的には?

 「おひさま」に出るまでは映画ばかり出ていて、自分の中で大切にしているものもたくさんあって、それを曲げられなくて…。でも「おひさま」の時に、それを曲げたわけではないけれど、新しい感覚で仕事ができたんです。それまではどこか個人プレーの部分もあったと思います。でも、3.11があり、ちょうどドラマが戦後の復興の話だったというのもあって、視聴者の皆さんからのリアルタイムの反応がものすごく大きかったので本当に多くの人に、多くのものが届いているという感覚が大きくて、自分の中でも何かが変わった気がしました。

-今回演じる、野上潔の魅力はどこにあると思いますか。

 人を信じられるところだと思います。 “人の良いところ”を見ることができる人物。集中したり、こうだ!と思った時にはガっと視野が狭くなっちゃうこともあるけれど、そこには“人を信じる強さ”が真ん中にあるし、自分のことも信じている。とても誠実な人だと思います。

-役作りで気を付けているポイントは?

 “野上潔としてちゃんとこのシーンに居ること”というのは何より大切にしています。後は関西ことばの難しさですね。撮影の最初のころは、自分になじまなくてそれがすごく大変だったのですが、最近はだんだんなじんできています。今も意識しながらの芝居ではありますが、最初とはだいぶ変わってきました。

-すみれからもゆりからも思いを寄せられる潔ですが、女性から見た魅力はどこにあると思いますか。

 やはり愚直に誠実に生きているからじゃないでしょうか。目の前の人に対して手を抜かない。それは登場から最後まで変わらずにやりたいです。

-潔は第2週でゆりと結婚しました。失恋したすみれが気の毒な部分もありましたが、潔はゆりのどんな部分に引かれたのでしょう。

 2人とは、子どものころから一緒にいて、すみれに好かれているなんて潔はまず思っていない。鈍感なところがあるんです。後は、あの時代に、女性であるゆりが「自分は英語を習って社会で活躍したい」と言ったことは、今の時代とは全く違う意味を持つと思うんです。そこに対しての面白さ、そこに引かれるところがあるのではないでしょうか。

-ヒロインのすみれを演じている芳根さんの印象を教えてください。

 とにかく一生懸命。ちゃんと“連続テレビ小説のヒロイン”として現場に立っています。自分が19歳の時には、絶対にあんなことはできなかったし、本当に頼もしい。とても目がきれいで意志が強そう。現場では、いつもトマトを食べています。トマトばかり(笑)。好きなんでしょう。だから僕もトマトを食べています。芳根ちゃんみたいに、心がきれいになるかなと思って。現場ではみんなで食べています。体にいいらしいので(笑)。

-現場での盛り上げ役は誰ですか。

 それも芳根ちゃんです。ヒロインがやっています。控室に戻らず、必ず前室にいて、常に現場にいる。(「おひさま」の時の)井上真央さんもそうだったけど、必ず月曜のリハーサルの時には、その週のせりふが全部入っているんです。関西ことばを完璧にしてやってくるので、相当やり込んでいるんだろうなと思います。ヒロインは土日も休みではないし、それを見て、みんなも“この子のために頑張ろう”と思います。芳根ちゃんは、一人一人に声を掛けて常に笑顔です。

-高良さんにとって、連続テレビ小説ならではの心境というのはありますか。

 連続テレビ小説も大河もそうですが、NHKの長いスパンでやるドラマというのは、なぜか自分が落ち込んでいたり、自分が苦しい時にやってくるんです。それが自分にとっては救いになっているというか。常に自分のやりたいことができているわけではないし、自分の芝居に対して嫌なときもあったりして…。大河(「花燃ゆ」)をやる前も苦しかったし、これをやる前も自分の中でちょっと苦しかった。だけど、これをやると自分がちょっと変われる気がする。そのタイミングは不思議だし、(この縁は)大切にしたいです。

-常に模索しながら演技をされている印象ですが、今はどんな時期だと捉えていますか。

 自分は27歳ぐらいの時から“30歳になる準備をしなければ”と思ってやってきました。実際に新しくいろいろなことを試したり、意識を変えてやっているつもりです。以前は、自分に対しても“おいおい”と思うこともあったりして、26歳の後半あたりから“このまま30になったらちょっとまずいな”と思ったんです。

-実際にご自分の中で変化は起こりましたか。

 だんだん見えてきた気がします。まずは、勉強するようになったということだと思います。いろんな人の話をよく聞いたり、本を読んだり…。自分はこれまで、どこか勢いとか感覚でやってきたけれど、いろんな考えに触れると“これやっていなかった”“これは嫌いだったけど、この人がやっているならありかもしれない”と変化も起こる。その中で、だんだんと自分の実力が分かってくるし、その時に自分に何もないことが怖く感じたりもします。

-2016年、現在の立ち位置は。

 そう考え始めて、1年、2年しての2016年。まだ、自分の中では“できていないな”と思っている1年です。だけど、あとちょっとで29歳。後1年ちょっとしたら30歳。それまでにはもしかしたら…という気持ち。30歳になったらまた新たな課題は出てくるのでしょうが、その前の段階の準備はやっているのかなと思います。今回、ドラマでお父さん役をやれるというのもすごくプラスになっていると感じています。


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