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連続テレビ小説「とと姉ちゃん」で、ヒロインの常子(高畑充希)らが暮らす弁当の仕出し屋「森田屋」の板前の長谷川哲典を演じる浜野謙太はミュージシャンとしても活動している。長谷川は性格が軽いため常にいじられる愛すべき存在。朝ドラ初出演となる浜野が今回の役に懸ける思いと現場の様子を語った。
共演者の皆さん、すごくできる方ばかりなので、「リハーサルなんか面倒くさいよ!」みたいなことを言っているのですが、僕はリハーサルにかなり助けられています(笑)。
ピエール瀧さんと秋野さんが組むとパーティー族になるといいますか、撮影後に「飲もうぜ!」「食おうぜ!」みたいなパワフルな感じで(笑)。森田屋のみんなで何度か焼き肉を食べに行ったりして、すごく楽しかったです。
現場のスタッフさんとかは、多分僕がミュージシャンだというのはあまり知らないと思います(笑)。「音楽もやっているんだよね?」ぐらい。一方で、瀧さんは演技もバラエティーもやっている有名なミュージシャン。現場で瀧さんは僕の“直属の先輩”になるので、「かないません」といった感じです。また、瀧さんのおかげでみんなが、僕を知名度抜きに「ハマケン!」って呼んでくれるようになって。まさに大将の、虎の威を借るキツネですね(笑)。
長谷川という男は、常に大将にへつらっていて、空気が読めなくて、そして女好き。そういう意味では、全部、僕そのままなので役作りは大丈夫でした(笑)。ただ、その上で、板前で料理ができるという要素があったので、家ではめちゃくちゃ料理を作っていました。
もともと、僕は2児の父なので朝ご飯を作ったりはしています。でも、「森田屋」は昔の「銅板の卵焼き器」で玉子焼きを作るという設定だったので、実際に僕もそれを買って、毎朝卵を7、8個使って練習しました。子どもたちは「おいしい」って言ってバクバク食べてくれました。ただ実際は1回も卵を焼くシーンがなくて…。全部瀧さんがやってしまいました(笑)。
魚をさばくシーンがあったのですが、直前まで聞いていなかったので、もっと早くから練習したかったな、というのはありました。魚をさばくとなると、腕前が結構バレちゃうじゃないですか。その時は結局、休みの日に、料理指導の先生のお店まで行って教えてもらいました。店に行ったら本当にアジが10匹ぐらい用意されていて、ひたすらさばきましたね。
そのシーンはやったのですが、明らかにカメラが(手元を)撮っていなかったですね(笑)。そういうのが多い。朝ドラは凝縮されているので、本当にカットされまくっているんですよ。皆さん「長谷川は良いキャラ」とか言ってくれますが、本当の長谷川はもっとすごいんですよ!
まあ、朝ドラはヒロインの物語ですから。ただ、現場の時から思っていたのですが、カメラさんが「俺の顔を撮ってくれてないな」と(笑)。顔の寄りがね。この顔は、朝にはキツイのかなと思います(笑)。
はい。これまでの長谷川は軽かったり、雰囲気をぶち壊したりするキャラもあって、言っちゃえば「嫌なやつになってやる」ぐらいの気持ちで演じていましたが、終盤のその場面では「みんなに応援してもらえる長谷川になれたらな」という思いでやりました。
僕も大好きなシーンです。いつも気が小さいというか、人の背中の後ろに隠れてしまうような長谷川ですが、その弱さを押しのけて「物申す」みたいな場面が何カ所かあります。そこはどうしても決めたいなと思いました(笑)。そこではちゃんと“顔面”が映るようにカメラの前で頑張りました。
思う存分、調子に乗らせてもらいました。「森田屋」がドラマ内で唯一のコントの部分でもあるので、ひたすら楽しくやりました。現場全体が最初から家族のような感じで温かったです。また、とにかく明るい長谷川ですが、戦争に突入する時に、覚悟みたいなことを語る場面があります。明るい人たちが戦争に入っていって苦しい思いをするからこそ、何か皆さんに伝わるものがあるのかなと思います。
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