「『ばかと話すと疲れる』というせりふ、めっちゃ、耕史っぽいよねって」山本耕史(石田三成) 【真田丸インタビュー】

2016年4月12日 / 06:00

 NHKの大河ドラマ「真田丸」の主人公、真田信繁(堺雅人)が人質として入った大坂城で豊臣秀吉(小日向文世)政権の実務を握る石田三成を演じる山本耕史。義にあつい一方、横柄で融通の利かない人物として描かれることの多い三成に向けられた三谷幸喜脚本の新たな視点を語る。

 

石田三成役の山本耕史

石田三成役の山本耕史

-いよいよ大坂編が始まりました。

 視聴者の方にとっては、がらっと世界観が変わり、一気に世界が広がると思います。名だたる武将が次々に出てくるので、歴史好きの人にはたまらないでしょうね。演じている僕らがわくわくしているぐらいだから、たぶんご覧になる方々にはもっと楽しんでいただけるんじゃないかな。

-石田三成はファンの多い武将ですね。

 滋賀県に行くと、地元の方は400年以上昔の人物である三成のことを、さっき会ったばかりの人のようにお話しされるんです。それだけ愛されている人なんだと分かって、身も心も引き締まる思いでいます。

-三谷さんが描く三成はどういう人物ですか。

 三谷さんが言うには「今までの三成は敵役とか嫌なやつとして描かれることもあったが、今回は今までの三成像の中では一番熱い男だ」と。頭も良くて理屈でものを考えるが、実は自分でもコントロールできないだけの熱さを持っていて、とっても人間的だと。関ヶ原の戦いに敗れて三成が散る時は、大河を見ている日本中の人から「殺さないでくれ」とNHKに手紙が届くようにしたいと言われていたので、やはり愛される三成像になるんではないでしょうか。でも、今回いろんなことに反応しない、表情も変えないというように三成役を作っているので、そこに熱さをプラスするわけですから大変です。ロボットみたいだけど、実はすごく人間らしいという人物になれればいいですね

-あて書きをされていると感じる点は?

 加藤清正(新井浩文)と福島正則(深水元基)が三成にやーやー言うシーンがあるんですが、相手にされなかった彼らが出て行った時、三成が「ばかと話すと疲れる」というせりふがあるんです。それをリハーサルでやったら、「めっちゃ、耕史っぽいよね」って(徳川家康役の)内野聖陽さんに言われました。でも僕はそんなこと言ったことないんですけどね(笑)。

-信繁との関係性も変化していきますね。

 出会いの時は目もくれないが、癒やされる感じとカリスマ性を持った信繁に周りの者が目を向け始めると三成も敏感に気づいて、彼の視線にも引っかかってくるんです。信繁が大坂城に来たことで、三成もいろんなことが柔軟になった気がしていると思います。

-堺さんとは三谷脚本の「新選組!」でも共演していますが、関係は変化していますか。

 「新選組!」は(メンバーと)忘年会をやっていて、毎年会ってはいるんですけど、三成と信繁で会うことで、接し方も変わったりします。時が経ってまた現場で会えるのはとても幸せなことです。

-小日向さんの秀吉はいかがですか。

 ちょっと何日間か見ただけで、小日向さんの秀吉が僕の秀吉像になってしまうぐらい、自由で大胆でチャーミングで、人を引き寄せるものを持っています。そして時にはすごく鋭くて、ぞっとするような人物で目が離せません。

-大河ドラマへの出演は4回目ですが、「真田丸」の面白いところは?

 結末が分かっていることをどう膨らませるのかという点です。三谷さんは、なるほど、あり得なくはないなという部分をぎゅっと膨らませます。歴史のストーリーからは脱線せずに、一本の線をふくよかにしていく感じです。

-三成ゆかりの地には行きましたか。

 たくさん行きました。地元には「配下にするなら三成~」みたいな、すごい武将CMもありますしね(笑)。なかなか盛り上がっていましたよ。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

 東日本大震災から10年後の福島を舞台に、原発事故で引き裂かれた家族と青春を奪われた若者たちの姿を描いた『こんな事があった』が9月13日から全国順次公開中だ。監督・脚本は、『追悼のざわめき』(88)などで日本のみならず世界の映画ファンから支 … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

 ニューヨーク・ブルックリンで暮らすアジア人夫婦を主人公に、息子の誘拐事件をきっかけに夫婦の秘密が浮き彫りとなり家族が崩壊していく姿を、全編NYロケで描いた『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』が、9月12日から全国公開され … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(3)無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力

舞台・ミュージカル2025年9月12日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力 … 続きを読む

北村匠海 連続テレビ小説「あんぱん」は「とても大きな財産になりました」【インタビュー】

ドラマ2025年9月12日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルにした柳井のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)夫婦の戦前から戦後に至る波乱万丈の物語は、ついに『アンパンマン』の誕生にたどり着いた。 … 続きを読む

中山優馬「僕にとっての“希望”」 舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~の再始動で見せるきらめき【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年9月11日

 中山優馬が主演する舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~が10月10日に再始動する。本作は、天藤真の小説「大誘拐」を原作とした舞台で、2024年に舞台化。82歳の小柄な老婆が国家権力とマスコミを手玉に取り、百億円を略取した大事件を描く。今 … 続きを読む

Willfriends

page top