ベストセラー作家・髙村薫のデビュー作で、日本推理サスペンス大賞を受賞した『黄金を抱いて翔べ』(新潮文庫刊)が、豪華キャスト・スタッフにより完全映画化された。大阪の街を舞台に繰り広げられる金塊強奪作戦を、『岸和田少年愚連隊』『パッチギ!』などの鬼才・井筒和幸監督が濃密に描き出す。
主演の強奪実行犯・幸田役は妻夫木聡、強奪チームのリーダー・北川には浅野忠信、さらに、桐谷健太、溝端淳平、チャンミン(東方神起)、西田敏行といった豪華キャストが集結。15日、東京・丸の内ピカデリーで行われた完成披露試写会にキャスト6人が登場すると、集まったファンから歓声が沸き起こった。
【舞台あいさつ】
――ごあいさつをお願いします。
妻夫木 『黄金を抱いて翔べ』、出来上がりました! 本日は集まっていただき、ありがとうございます。格好いい映画に仕上がったと思います。監督もおっしゃっていましたが、ハードボイルドな作品です! 6人の男の生きざまをまじまじと感じられると思いますので、最後まで楽しんでください。
浅野 今日はありがとうございます。自分でも気に入っている作品を見てもらえるのはうれしいです。ま、今日はチャンミンもいますから、それだけでいいよね(笑)。俺のこともちょっとだけ見ていただければ(笑)。
桐谷 (客席に投げキッス)(6人の中で一番普通の役という説明を受け)普通の男の投げキッスはどうですか? どっしりした格好いい映画になりました。ぜひ劇場で見てほしい映画です!
溝端 井筒監督の作品に出演することが夢だったので、今日、この場に立てて幸せです。皆さん楽しんでください。
チャンミン 素晴らしい監督、俳優たちとご一緒できて楽しかったです。勉強にもなりました。今日は来てくれて本当にありがとうございます。
西田 ありがとう。この歓声が聞けただけでここに来たかいがありました。隣は東方神起のチャンミン、そして私は西方浄土の西田敏行です(笑)。
井筒監督 ありがとうございました。
(客席から「えーー!」)
――監督は高村先生の小説が掲載された22年前の“小説新潮”をお持ちで、映画化をずっと望まれていたとお聞きしました。あらためて、この作品に込めたお気持ちを。
井筒監督 いきなりかい! 普通に言ってもテレビに映してくれないからなー(笑)。最初に読んだとき、これは映画になると思ったんだけどね。そのときは力量が足りないからできないと思ったの。今も至らないんだけどね(笑)。他の人が撮りにくるのをなんとか阻止しようと思って、今になってしまったわけ。今回素晴らしいプロデューサーに恵まれて、こんな大きな劇場で自分の映画がかかるなんて…。腰が揺れてしまうわ!
――井筒組に参加することを懇願されていたとお聞きしました。初めての井筒組はいかがでしたでしょうか。
妻夫木 毎日が刺激的でした。厳しい監督だと聞いていたので、びびっているところもありました。細かく演技指導されて、映画って簡単に作れるものではないとあらためて実感しました。期待した以上に新しい物が生まれたと思います。監督は現場でOKって言わないんですよね。いつも「今の、いけてたよなー」ってはぐらかすんです(笑)。
――役作りのために撮影前から丸刈りにされ、気合十分だったとお聞きしました。役に込めた思いをお聞かせください。
井筒監督 角刈りだよ!
浅野 台本を読んで…。(他のキャストがなにやらささやき合っていると)話聞いてくれないの? 聞くような話ではないと(笑)? (少し投げやりに)怖いけど愉快な現場だったということで、角刈りにしました!
――桐谷さんは井筒組の常連で、西田さんとも別作品で共演されていますよね。今回の現場はいかがでしたか。
桐谷 『ゲロッパ』『パッチギ』では若い人が多くて…、あ、『ゲロッパ』は違いますね! 西田さんごめんなさい!(客席爆笑)『パッチギ』では怒号がすごかったんですよ。この映画はもっと大人なので、クールでシックでジャジーと言いますか(笑)。あ、西田さんパクッてしまい申し訳ないです。
西田 パクるのうまいなー。
桐谷 怒号のない新鮮な現場でした。監督が穏やかだったというか…。色気のある映画だと思うんで、それに沿って演出されたんやと思っています。
――親分肌の兄やクールな幸田に憧れる役柄ということで、妻夫木さんや浅野さんとの共演シーンが多かったと思いますが、お二人との撮影中のエピソードをお聞かせください。
溝端 待ち時間も勉強になる現場でした。妻夫木さんは役に入っているのに話し掛けてしまったときも丁寧に答えてくれて。浅野さんには「ハリウッド映画ってどういう感じなんですか?」って質問したりしていましたね。
浅野 聞かれたのは女の子のことばっかりだったけどなー。
溝端 すみません、7割は女の子の話でした(笑)。それも勉強の一つってことで。
――本作品が映画初出演、それも邦画ということで、現場で苦労もされたと思いますが、いかがでしたか。
チャンミン 撮影のとき、実は東方神起のライブを同時にやらないといけなかったので…。ライブでは、明るくて輝いている自分を見てもらえるから自信になるんですけど、映画の現場では、演技も難しいしモモという陰のある静かなキャラクターだったので、モモの内面をどう演じたらいいか、心配でした。日本語で話そうとすると緊張しますし。でも自分なりには一生懸命頑張ったので、後悔はないです。
――井筒監督とは『ゲロッパ』以来約10年ぶりの作品ですが、久しぶりの井筒組はいかがでしたか。
西田 井筒監督は、映画を撮るときは幸せそうなんです。いっしょにやっていると、物を作っているという実感が沸くんですよね。日本を代表する映画監督だと思っています。『ゲロッパ』ではロッケンロールが聞こえました。『パッチギ』ではソウルミュージック、そしてこの作品はジャズなんです!って言いたかったのに、先に健太がしゃべっちゃったので(笑)。実は先ほどからチャンミンさんの横顔をずっと見ているんですけど、完璧な顔だね。ここには年代さまざまなイケメンがいて、私も60代のイケメンということで、この喜びをすぐに持ち帰って妻に伝えたいです(笑)。
――最後に、作品を代表して妻夫木さんから一言お願いします!
妻夫木 すみません、俺で! 監督と話をしていたときに「ジャパン・ノワールができた」とおっしゃられたのが心に響いて、今までに見たことのない日本映画ができたと思います。「格好いい日本映画があったよ!」と広めていただけたらうれしいです。
『黄金を抱いて翔べ』11月3日全国ロードショー
札束は信用できないが、金塊は永遠だ。だからやるんだ
過激派や犯罪者相手の調達屋をしている幸田(妻夫木聡)は、大学時代の友人・北川(浅野忠信)から、大阪市の住田銀行本店地下にあるという240億円相当の金塊強奪計画を持ち掛けられる。北川が幸田とともにメンバーに選んだのは、システムエンジニアの野田(桐谷健太)、北川の弟・春樹(溝端淳平)、爆破工作のエキスパートで国家スパイの裏の顔を持つモモ(チャンミン)、元エレベーター技師でチームの相談役でもあるジイちゃん(西田敏行)。
だが、計画が進むにつれて彼らの周囲で謎の事件が次々と発生。次第に見え始める彼らの過去、裏切り、陰謀…。それぞれの思惑が交錯する中、強奪計画は思いも寄らぬ方向へと進んでゆく。大阪の街を舞台に繰り広げられる、想像を超えた命懸けの金塊強奪作戦。大胆不敵な計画の裏に隠された<衝撃の真実>とは――。
原作:『黄金を抱いて翔べ』 髙村薫 著(新潮文庫刊)
監督:井筒和幸
脚本:吉田康弘、井筒和幸
出演:妻夫木聡、浅野忠信、桐谷健太、溝端淳平、チャンミン(東方神起)、西田敏行
配給:松竹
(c)2012「黄金を抱いて翔べ」製作委員会
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