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『サンダーボルツ*』(5月2日公開)
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CIA長官のヴァレンティーナ(ジュリア・ルイス=ドレイファス)から命を狙われた者たちや、不遇な立場にいるならず者たちが「サンダーボルツ*」というチームを結成する。メンバーは、バッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャー(セバスチャン・スタン)、ブラック・ウィドウの義妹エレーナ・ベロワ(フローレンス・ピュー)、ジョン・ウォーカー/U.S.エージェント(ワイアット・ラッセル)、アレクセイ・ショスタコフ/レッド・ガーディアン(デビッド・ハーバー)、エイヴァ・スター/ゴースト(ハナ・ジョン=カーメン)。だが、彼らの前に謎の強敵ボブ(ルイス・プルマン)が現れる。
マーベルコミックのヒーローたちが活躍するマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の各作品で悪役やならず者として登場したキャラクターがチームを結成し、己の過去と対峙(たいじ)しながら世界の脅威に立ち向かう姿を描いたアクションエンターテインメント。これまでのMCU作品でそれぞれのキャラクターを演じてきたキャスト陣が結集した。
監督はジェイク・シュライアー。脚本は『マイティ・ソー バトルロイヤル』(17)や『ブラック・ウィドウ』(21)などのエリック・ピアソン。
ライバルであるDCコミックの『スーサイド・スクワッド』(16)を意識したような本作は、マーベル版のスーパーヴィランチーム結成の様子を描いているのだが、実は負け犬ヒーローたちの敗者復活戦であり、心の傷や暗い過去からの再生劇でもあるところが新機軸。“裏アベンジャーズ”という言い方もできる。コミカルなところもあるが、バラバラだった彼らが人助けに喜びを見いだし団結していく姿は感動的だった。
また、MCUの映画はよく懐メロを流すが、今回はスターシップの「愛はとまらない=Nothing’s Gonna Stop Us Now」だった。この曲は『マネキン』(87)の主題歌でもあった。
さて、この後は本家である『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(25)以後の世界とリンクしていくのだろうか。まさにMCUの世界は無尽蔵。楽しくはあるが、付いていくのに苦労する。
(田中雄二)