香港映画の光と影が浮かび上がる『カンフースタントマン 龍虎武師』/“家族”を追い求める人々の姿を描く『ファミリア』【映画コラム】

2023年1月6日 / 07:00

『カンフースタントマン 龍虎武師』(1月6日公開)

(C)ACME Image (Beijing) Film Cultural Co., Ltd

 香港映画界が生み出した数々のアクション作品を支えたスタントマンと、彼らが活躍した時代を振り返るドキュメンタリー映画。

 1970年代から90年代にかけて、カンフーアクションからポリスアクション、香港ノワール、そして時代劇など、数多くのアクション映画を生み出し、世界中の映画界に大きな影響を与えた香港映画。

 膨大な数の作品群を支えたのは、危険も顧みず、武闘、格闘、落下、爆発、衝突といった、すさまじいアクションシーンで代役を務めた武師(スタントマン)たちの存在だった。

 この映画で、証言をするのは、武師たちのほか、武術指導者でもあるサモ・ハン、ドニー・イェン、そして『帰って来たドラゴン』(74)で倉田保昭と死闘を繰り広げた懐かしのブルース・リャン、また、監督のユエン・ウーピン、ツイ・ハーク、アンドリュー・ラウら。

 『ドラゴン怒りの鉄拳』(72)『ドラゴンへの道』(72)『ドラゴンロード』(82)『プロジェクトA』(83)『ファースト・ミッション』(85)『イースタン・コンドル』(87)などの本編シーンや、メーキングなどのアーカイブ映像を交えながら、彼らの仕事ぶりを紹介し、「ブルース・リーが香港映画のアクションに革命を起こした」「ジャッキー・チェンのアクションコメディーがトレンドになった」といった、現場の声も披露する。

 だが、「サモ・ハンが『やれ』と言うんだからやるしかない」「あいつは8階から落ちたから、俺は9階から落ちてやる」といった、武師たちの心意気はあっぱれだが、「金はかなりもうかったが、全て酒と賭けに消えた」というような、「宵越しの銭は持たない」的な生き方が、本土返還後、香港映画が衰退した今となっては寂しさを感じさせる。

 彼らは高齢化と後継者不足にも悩まされているし、製作会社のゴールデン・ハーベストやショウ・ブラザーズも、今は様変わりしているのだ。

 この映画がユニークなのは、「昔はよかった」と、過去の栄光を懐かしむばかりではなく、現在と未来が抱える問題をきちんと見つめている点だろう。そこから、香港映画の光と影が浮かび上がってくるところがある。

 「中国本土には優れたカンフーマスターはたくさんいるが、スターはいない」という言葉に、彼らの誇りがにじむ。

 
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