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全体的に、いささか、策士策に溺れたようなところもあるが、3編とも、シュールなブラックユーモアに満ち、一筋縄ではいかない展開を見せる。趣味性が強く、万人受けはしないと思われるが、アンダーソン監督はそんなことははなから狙ってはいないだろう。
まさしく、くせ者監督の面目躍如の一作だが、意外や、編集長とスタッフたちとのやり取りにほろりとさせられるところもある。
長く雑誌作りを経験した者としては、表紙、記事、イラスト、レイアウトはもとより、記者の仕事(文章)まで映像化するアイデアには大いに興味を引かれた。隅から隅までぜいたくにキャスティングされた、個性的な俳優たちによる“演技に見えない演技”も刺激的だった。
(田中雄二)