【映画コラム】恋愛を描いた対照的な2本の映画『アンモナイトの目覚め』と『パーム・スプリングス』

2021年4月8日 / 10:00

 続いては、映画の撮り直し(テイク~)を利用して、タイムループ(同じ時間軸を何回も繰り返す)を描いた『パーム・スプリングス』。

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 正体不明の男マイルズ(アンディ・サムバーグ)とかかわったばかりに、サラ(クリスティン・ミリオティ)は、目覚めるたびに、砂漠のリゾート地での妹の結婚式の日を繰り返すタイムループに陥る。

 過去にタイムループを描いた映画は、ビル・マーレイ主演の『恋はデ・ジャブ』(93)、ジェイク・ギレンホール主演の『ミッション:8ミニッツ』(11)、トム・クルーズ主演の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(14)などがある。

 映画学校の仲間である、監督マックス・バーバコウ、脚本アンディ・シアラが製作したこの映画が、そうした他のタイムループ物と大きく違う点は、下ネタ満載のオフビートなラブコメディーになっているところだ。やたらとビールを飲むシーンも印象に残る。

 また、「恋はデ・ジャブ」では、時の繰り返しに陥る“被害者”は主人公一人だけだったが、この映画ではマイルズとサラに、謎の男(J.K.シモンズ)も加えた3人が巻き込まれるというのが新機軸。それ故、三者三葉のドラマが楽しめるし、「ウェン・ザ・モーニング・カムズ」(ホール&オーツ)など、物語に即した挿入曲もなかなか凝っている。

 ところで、この映画は、映画学校で製作され、サンダンス映画祭に出品。Huluでネット配信され、ドライブ・イン・シアターでの上映と、コロナ禍で思わぬ変転をしながらヒットを記録したため、アメリカでは“ラッキーな映画”と称されているらしい。何だか映画の内容同様、愉快になるエピソードだ。(田中雄二)

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