エンターテインメント・ウェブマガジン
一方、2月23日に『007』シリーズの監督を務めたルイス・ギルバートの訃報が伝えられたが、その監督作の一つ、『007は二度死ぬ』(67)の主な舞台は日本。シリーズ第5作に当たるこの作品では、初代ジェームズ・ボンド役のショーン・コネリーが来日し、東京、神戸、鹿児島など、日本各地で大々的なロケ撮影が行われた。
東京の地下鉄・丸ノ内線が諜報機関の秘密列車となり、姫路城で忍者が訓練するなど、日本人には思いもつかない奇抜な描写がユニークだ。“トンデモ日本”的な描写も、時代による日本に対する見方の変化として楽しんでほしい。アカデミー賞撮影賞を三度受賞したフレディ・ヤングが撮影監督を務め、ところどころに息をのむような美しい風景が挿入されているのも見どころだ。
さらに時代をさかのぼれば、戦前の1937年に製作された日独合作映画『新しき土』や、昭和30年代の広島を舞台にしたフランス映画『ヒロシマモナムール(二十四時間の情事)』(59)といったシリアスなドラマでも、当時の貴重な風景を目にすることができる。
反対に最近の作品として有名なのが、『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(06)、『ウルヴァリン:SAMURAI』(13)などのハリウッド映画。東京や広島など、なじみのある風景の中で大掛かりなアクションやカーチェイスが楽しめるのも、ハリウッド作品ならでは。
4月13日にはハリウッド大作『パシフィック・リム:アップライジング』が公開されるが、日本のロボットアニメに影響を受けたこの作品では、クライマックスの舞台が東京になる模様。CG主体の作品だけに、実景が収められているかどうかは不明だが、現在のハリウッドから見た東京の風景がどのような形でスクリーンに再現されるのか、期待して待ちたい。(井上健一)