エンターテインメント・ウェブマガジン
11月1日公開の『42~世界を変えた男~』の主人公は、1947年、史上初の黒人メジャーリーガーとしてブルックリン・ドジャースに入団したジャッキー・ロビンソン。映画は幾多の差別を乗り越え、野球界に新たな扉を開いたロビンソンの不屈の半生を、ドジャースのやり手GMブランチ・リッキーとの関係を中心に描く。
ロビンソンが入団するまでメジャーリーグは白人だけで構成されていた。そんな孤独な状況下で、何にも屈せず、ひたすらプレーをし続ける彼の姿は、やがてチームメート、観客、そして社会全体の認識を変えていく。
タイトルの42はロビンソンの背番号。現在は彼の功績をたたえ、メジャーリーグの全30球団で永久欠番となっている。ロビンソンを演じたのはテレビを中心に活躍するチャドウィック・ボーズマン。特殊メークでリッキーに成り切ったハリソン・フォードの姿も見ものだ。
同じく1日公開のスティーブン・ソダーバーグ監督の『恋するリベラーチェ』の主人公は、ピアニストのリベラーチェ。日本ではあまり知られていないが、アメリカでは派手な衣装やパフォーマンスで絶大な人気を誇ったエンターテイナーだ。映画はリベラーチェ(マイケル・ダグラス)の晩年(77~87年)にスポットを当て、彼の“恋人”となったスコット(マット・デイモン)との生活を描く。
2人のほかにも、リベラーチェのマネジャー(ダン・エイクロイド)、整形外科医(ロブ・ロウ)ら、怪しい連中ばかりが登場するが、グロテスクさの中から滑稽味や悲しみがにじみ出てくるところがある。ダグラスとデイモンというスター同士が同性愛のカップルを演じたことにも驚くが、こうした映画が堂々と登場してきたことに時代の変化を感じさせられる。
このほか、アップル社の創業者スティーブ・ジョブズをアシュトン・カッチャーが演じた『スティーブ・ジョブズ』も同日から公開される。また、三谷幸喜監督の『清須会議』(11月9日公開)も一種の伝記物と言えるかもしれない。
伝記映画は、演じる俳優たちのそっくりさんぶりを楽しみながら、興味深い史実の一端を知り、彼らの人生から何かを学ぶこともできる。深まる秋、映画を通してさまざまな人生に触れてみてはいかが。(田中雄二)
『ハンナ・アーレント』
配給・宣伝:セテラ・インターナショナル 宣伝協力:テレザ+VALERIA
10月26日(土)から岩波ホールほか全国順次公開。
オフィシャルサイト:http://www.cetera.co.jp/h_arendt/
『42~世界を変えた男~』
配給:ワーナー・ブラザース映画
11月1日(金)から全国公開。
オフィシャルサイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/42movie/
『恋するリベラーチェ』
配給:東北新社
11月1日(金)から新宿ピカデリーほか全国ロードショー。
オフィシャルサイト:http://liberace.jp/