エンターテインメント・ウェブマガジン
そんな苦しい状況の中、自分たちの窮地を救った株式資本の存在を、栄一はどれほど心強く感じ、勇気づけられたことだろうか。そのインパクトの大きさは、私たちの想像を遥かに超えていたに違いない。
そして帰国する間際、「こうなっては、ここで得たことも、日本に戻って生かせるかどうかも分からねえ。しかし、どんなことになっても、この手で日本のために尽くします」とエラールに語った栄一の姿は「災い転じて福となす」、「人間万事塞翁が馬」という格言を思い出させてくれた。
それは、コロナ禍によって先の見えない不安な日々を過ごす私たちを、大いに勇気づけるメッセージとなったのではないだろうか。(井上健一)