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そもそも渋沢栄一(吉沢亮)は、「みんながうれしいのが一番」と親から教えられ、「思いやり」の心を持って育った人物。そんな栄一を主人公にした物語であればこそ、「思いやり」が作品の根底にあるのは必然ともいえる。
もちろん、全てがそうとは限らない。第四回で御用金を届けた栄一を雨の中に放置した代官・利根吉春(酒向芳)の冷淡さは忘れられないし、第13代将軍・徳川家定(渡辺大知)の慶喜に対する嫌悪感にも、やや共感しづらいところがある。
だが、それらを踏まえてなお、本作が「思いやり」を忘れずに、これから激動の幕末をどのように描いていくのかに興味が湧く。もしかしたら、そこから今までにないドラマが生まれるのかもしれない。そんな期待を込めて、今後の展開を見守っていきたい。(井上健一)