【芸能コラム】連続テレビ小説「おちょやん」を深掘り 関連本はこれを読むべし!

2020年12月29日 / 15:12

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「おちょやん」。日々泣き笑いを繰り返しているうちに、早くも放送開始から1カ月が過ぎ、ヒロインの竹井千代(杉咲花)が、芝居茶屋で奉公に励む大阪編が終了。1月からは京都編がスタートし、いよいよ千代が女優の道へ向かって歩き始める。そんなドラマをより深く楽しむための本が各社から出版されているが、ここではそれをまとめて紹介したい。

 まずは、何を置いても外せないのが、『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 おちょやん Part1 (1)』(NHK出版刊)。ドラマ本編に基づく内容で、出演者インタビュー、撮影の舞台裏に迫った記事、千代のモデルになった女優・浪花千栄子の解説、第12週までのあらすじなどが満載された、朝ドラ定番の一冊だ。

 個人的には、「『おちょやん』の美術セットはコントラストで魅せる!」と題したセットの解説記事が興味深かった。当時を忠実に再現するだけでなく、「映像としてどう見せるか」を考慮した上で、さまざまな工夫が施されていることが分かり、ドラマを見る際、隅々まで気になってしまいそうだ。

 続いては、こちらも必須の1冊、浪花千栄子の自伝『水のように』(朝日新聞出版刊)。唯一の著書ということで、壮絶な幼少期から、大阪の奉公時代、女優になった経緯、その後の人生などが、つぶさに記されている。幼少期の貧しさや、奉公時代の苦労は、ドラマで描かれた以上に過酷で衝撃的。と同時に、ドラマではその辺をうまくアレンジしていることがよく分かる。

 長谷川一夫、京マチ子、溝口健二、緒形拳といった映画人から、実業家・松下幸之助まで、幅広い交友関係や、自宅で飼っていたペットの話なども盛り込まれており、浪花本人の謙虚な人柄もよく伝わってくる。ただ、本人の主観で書かれているので、時系列的なことが分かりにくかったり、当時の社会状況など、客観的な情報に関して、詳しい記述がなかったりするのは、やむを得ないところだろう。

 そういった情報を補ってまとめたのが、各社から出版されている文庫本やムックだ。まずは、『大阪のお母さん 浪花千栄子の生涯』(葉山由季/潮出版社刊)と『浪花千栄子 昭和日本を笑顔にしたナニワのおかあちゃん大女優』(青山誠/KADOKAWA刊)の2冊の文庫本(電子書籍版もあり)。いずれも『水のように』をベースに、独自の取材や調査で肉付けしてあるので、併せて読むと、より立体的に浪花の人生を知ることができる。

 また、どちらも幼少期から亡くなるまでの生涯をたどっているが、それぞれ執筆スタイルが異なる。前者は浪花を主人公にした小説(事実に基づくフィクションで、一部、登場人物の名が事実とは異なる)で、後者は一歩引いた視点のノンフィクション。感情移入しやすいのは前者だが、正確性を期すなら後者、といった印象か。書かれている内容もやや異なるが、どちらを選ぶかは、お好みで。

 
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