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第69回NHK紅白歌合戦に登場し、華麗な殺陣を披露しながら歌う姿を見せて大きな反響を集めたミュージカル『刀剣乱舞』の“刀剣男士”たち。これまで2.5次元ミュージカルを知らなかったという人たちにも、その存在は広く知られることとなった。とはいえ、刀剣男士が何者なのか、「刀剣乱舞」とは何なのかが分からないという人もまだまだ多いはず。今回は、改めて刀剣男士、さらに刀剣男士が登場するミュージカル『刀剣乱舞』についてご紹介したい。
ミュージカル『刀剣乱舞』(以下、刀ミュ)は、名だたる刀剣が戦士の姿となった“刀剣男士”を収集・育成・強化し、歴史改変をもくろむ敵を討伐していく、PCブラウザ・スマホアプリゲーム「刀剣乱舞‐ONLINE‐」を原案にしたミュージカル。2015年秋に上演された「トライアル公演」から現在までシリーズを重ね、高い人気を誇っている。
刀ミュの公演は、歴史を守るために戦う刀剣男士の姿を描くミュージカルと、刀剣男士がオリジナルの衣裳で華やかな歌と踊りを見せるライブの2部構成で展開される。さらに、刀剣男士が一堂に会して歌い踊る大型ライブお祭り「真剣乱舞祭」なども開催されている。
ちなみに、原案のゲーム「刀剣乱舞‐ONLINE‐」は、ミュージカルだけでなく、映画、アニメと幅広いメディアミックス展開をしており、舞台作品もここで紹介しているミュージカルのほかに、「刀ステ」と呼ばれるストレートプレー作品の舞台『刀剣乱舞』もある。紅白に出場したのは、刀ミュの刀剣男士たちだ。
さて、ここまで説明してきたが、刀ミュの魅力を知るには、そのステージを生で見ることに尽きる。そこで、今後上演される刀ミュの公演についてもご紹介していこう。
まず、現在絶賛公演中の「加州清光 単騎出陣 アジアツアー」に触れたい。この公演は、刀ミュに出演している刀剣男士、加州清光のソロライブだ。加州清光は、「新撰組の沖田総司が使用していたとされる打刀で、貧しい環境で生まれたせいか、きれいにしていれば主にかわいがってもらえると思っている」という刀剣男士。「単騎出陣」では、美しく情熱的に歌い、踊り、戦う姿が堪能できる。加州清光を演じるのは、2015年のトライアル公演から刀ミュシリーズに出演し、絶大な人気を誇る佐藤流司。17年、18年に続く3度目の「単騎出陣」となる今回は、さらに磨き上げたステージングで熱いステージを見せる。
刀ミュシリーズのほとんどの作品で振り付けを担当し、この公演では振り付けのほかに構成・演出も手掛ける本山新之助氏に、開幕前にお話を伺ったところ、今回の公演について「2017年、2018年の単騎出陣の良いところを集めた集大成となるステージを作ろうと思っています。曲の構成も少し変えて、より質を高めた作品をお見せしたいと思います」と構想を明かしてくれた。
刀ミュ史上初のアジアツアーとなった今回の「単騎出陣」は、上海、マカオ、バンコクで上演。本山氏はアジア各国での公演に「どれぐらいの評価をいただけるのかを楽しみにしています。『単騎出陣』は、お芝居で見せるのではなく、感情や踊り、歌といったパフォーマンスで見せようとしている作品です。だからこそ、言葉が違うアジアの方たちにも受け入れてもらえるんじゃないかなと思っています」と期待を寄せており、その言葉通り、ここまでの公演で見事な成功を収めている。
また、全力のパフォーマンスを見せ、観客を沸かせる加州清光を演じる佐藤の魅力について、本山氏に尋ねると「やってほしいことや要望したことをどんどん吸収する。さらに、彼自身が自分の持っているものを出し惜しみすることなく、自分の色で出してくれるので、僕が振り付け、演出したことも彼のものになり過ぎるというぐらい自分のものにできること」だと話してくれた。それに加え、「役者でありながらアーティストに負けないぐらいの歌って踊れるスキルを持っていて、なおかつ曲の中で楽曲のイメージを演じたり、言葉で表現したものをお客さんに伝えるという役者としてのスキルも持っているので、振り付けるのもめちゃくちゃ面白い」という。
多くのアーティストの振り付けを担当し、自身もダンサーとして活躍している本山氏から見ても、「トライアル公演(初演)の刀剣男士キャストの中には、歌って踊る経験をしてきた子もいたので、最初から難しい振りが多かった」そうで、「そこに、流司がいたからさらに周りを引っ張っていって、お互いに切磋琢磨(せっさたくま)して、みるみる良くなった」と刀剣男士を演じるキャストたちのレベルを評価する。それだけに、「単騎出陣」での佐藤への要求も17年当初から高いものだったようで、「今は、何か新しく要望している段階ではなく、それぞれの踊りや歌の精度を高めています。今回は、太鼓もまた一つレベルが高いことを加えています」と完成度に自信をのぞかせた。