【インタビュー】『美人が婚活してみたら』黒川芽以、30代は変化の時「受動から能動へ」 芝居への新たな欲求も生まれる

2019年3月27日 / 14:21

 仕事にも容姿にも恵まれるも、気づけば32歳・独身のタカコが、死ぬ気で挑んだ婚活を通して自らと向き合い、もがき苦しみながらも自分の足で歩き出すまでを爽快に描いた映画『美人が婚活してみたら』。等身大のヒロインを演じた黒川芽以が、結婚や婚活に対する素直な気持ちや、同作で素の魅力を引き出されたことで生まれた女優としての新たな欲求、30代になって変化した仕事の向き合い方などを語ってくれた。

死ぬ気で婚活に向き合う32歳・独身のタカコを演じた黒川芽以

―タイトルから気になりますが、原作を読んでの感想は?

 婚活を真剣ながらポップに描いているのでクスクス笑えたり、私も30代になって結婚相手にどんな人を選んだらいいかを考えるようになったので、女子“あるある”が心に刺さったりしました。

―31歳・独身の黒川さんとタカコは重なりますが、ご自身でも似ていると感じますか。

 そうですね。私もそんなに器用に生きているわけではないし、恋愛に対して不器用で突っ走っちゃうところも似ています(笑)。

―「美人」というワードは意識されましたか。

 最初は私がやっていいのかな…とプレッシャーでした。ただ私は、美人といえば“ピンヒールを履いて、風を切りながら歩くキャリアウーマン”を思い浮かべるけど、タカコは抜けているとこもあるから「美人」をフィーチャーしているわけではないと感じました。大九監督からも「美人を演じようとしないで。黒川さんのままでいいから」と言われたので、女性同士の会話をいかにリアルにできるか、迷っている女性に何を伝えられるかを考えるようになったら楽になりました。

―親友ケイコ(臼田あさ美)との友情や本音トークは見どころですね。

 二人の会話は面白いですよね。女性は恋愛トークだと彼氏のせりふを交えながらリアルに細かく話すから、居酒屋シーンでグラスを婚活中に出会った二人の男性に見立てて説明しているところなどは「わかるわ~」と唸りました。

―「婚活」についてはどう思われていますか。

「ネガティブ」「焦っている」というイメージでしたが作品を通して変わりました。婚活のために綺麗にしよう、可愛く思われたいと努力することで女性はキラキラ輝くし、結果的に婚活が上手くいかなくても自分を見つめ直せるから、「ポジティブ」と捉えるようになりました。

―黒川さんも結婚願望は持っていますか。

 中学生の時からずっとあります。今は35歳までにしたいです。でも、恋愛に対してはアクティブな方だけど、30代でほどよくブレーキをかけるようになったので、40歳になるかもしれませんね(笑)。

―どのような男性がタイプですか。

 信念があって熱い目をしている人です。普段はバカできる関係でも、ここぞという時に熱くなったり、真剣に仕事の話をしたりしていると魅力を感じます。その時に目線を外さない人が好きです。

―では、タカコの婚活相手であるオクテの園木(中村倫也)、女たらしの矢田部(田中圭)は厳しいですね。

 もう30代なので、矢田部さんみたいな人に行ってはいけないと重々承知しています(笑)。園木さんには、もうちょっとスパイスが欲しいです。

―中村さんとは「連続テレビ小説 風のハルカ」(05)、ドラマ「キャリア〜掟破りの警察署長〜」(16)で共演していますが、ご一緒していかがでしたか。

 朝ドラのメンバーとは今でもたまに会っているので、むずがゆいです。倫也くんは10代の頃から知っていて、戦友でもあり尊敬もしているから、芝居中はどんなカードを出してくるの?試されるんじゃない?とドキドキしながらも、いいセッションをしたいと臨みました。

―濃厚なラブシーンが話題になっている田中さんはどうでしたか。

 田中さんもドラマ「所轄魂」(15)で夫婦役として共演したことがあるので、どの現場もとても和気あいあいとしていました。

―ドラマ「ああ、ラブホテル」(WOWOW/14)でもタッグを組んだ大九明子監督は黒川さんの笑いのセンスを信頼されていたようですね。

 大九(明子)監督からは「男性が思い描くヒロインを演じることが多いけど、素の黒川さんはもっと面白いし、おきゃんで、女性に好かれるタイプだから、そこを引き出したい」と言っていただきました。なので、アドリブでせりふやポーズを求められることが多く、最初は恥ずかしかったけど、チャレンジで楽しかったです。

―ほんわかした気分になれるエンディング曲「手のうた」もチャレンジでしたか。

 CDを出したこともありますが10代の頃ですし、今回は急に歌うことになったので驚きました。映画はエンディング曲次第で印象が変わるので、主演よりも大事な任務かもしれませんね(笑)。曲が流れている時間は聴いているような聴いていないような感覚で、見終わったばかりの作品について考える時間だから、そこにふわっと寄り添える歌になれば嬉しいです。

―いろいろな挑戦があった同作を通して何を得られましたか。

 シリアスな作品に携わることが多いので、こういうポップな作品を増やして、笑いのセンスをもっと磨きたいと思うようになりました。普段は「クールで近寄りがたい」とか、逆に「ふわふわして可愛い」という印象を持たれますが、「ハキハキさばさば」した“素”でできるものや、ギャグっぽいものをやりたいです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

高橋克典「これは吉良の物語でもあるのだと感じていただけるような芝居をしたい」 堤幸彦「『忠臣蔵』は、演劇的に言えば1丁目1番地的な作品」 舞台「忠臣蔵」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月10日

 元禄時代に実際に起こった仇(あだ)討ちを題材に歌舞伎などで取り上げられて以来、何度もドラマ化、映画化、舞台化されてきた屈指の名作「忠臣蔵」が、上川隆也主演、堤幸彦演出によって舞台化される。今回、吉良上野介を演じるのは、高橋克典。高橋はデビ … 続きを読む

生田斗真が驚きの一人二役!「最初から決まっていたわけではありません」制作統括・藤並英樹氏が明かす舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月8日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。謎の絵師“写楽”が、蔦重の下で歌麿(染谷将太)ら当 … 続きを読む

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

 戦争がもたらす狂気を圧倒的なリアリティーで描き、第46回日本漫画家協会優秀賞を受賞した武田一義の戦争漫画をアニメーション映画化した『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』が12月5日から全国公開された。太平洋戦争末期、激戦が繰り広げられたペリリ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(8)百年ぶりの復活へ 四代目が掲げた三つの大願

舞台・ミュージカル2025年12月4日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。    2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 WOWOWで毎週(日)午後10時より放送・配信中の「連続ドラマW シャドウワーク」は、佐野広実の同名小説を原作にしたヒューマンミステリー。  主婦の紀子は、長年にわたる夫の暴力によって自己喪失し、すべて自分が悪いと考えるようになっていた。 … 続きを読む

Willfriends

page top