染谷将太 天才絵師・歌麿役は「今までにない感情が湧きあがってきた」 1年間を振り返る【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

2025年12月15日 / 11:04

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語も、残すは12月14日放送の最終回「蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)」のみとなった。この1年、蔦重の相棒的存在として物語を盛り上げてきたのが、天才絵師・喜多川歌麿だ。演じる染谷将太が、最終回前(※取材当時)に歌麿役に没頭した収録を振り返ってくれた。

(C)NHK

-1年間、視聴者を魅了してきた「べらぼう」。まずは、収録を終えたときの心境をお聞かせください。

 とにかくホッとしました。1年近い収録の間、とても濃密な時間を過ごしていたので、無事に終えられたという安心感もあって。僕のクランクアップも、キャストの皆さん勢ぞろいで、(織田信長役で)燃える炎の中で孤独に終えた「麒麟がくる」(20~21)のときとは違ったお祭り感がありました。

-振り返ってみると、染谷さんの演じた歌麿は人間的魅力にあふれ、物語を大いに盛り上げました。お芝居について歌麿の実際の絵からインスピレーションを得た部分も多かったと聞きますが、役作りはどのようにされたのでしょうか。

 最初にお話をいただいた時点では、まだ台本がなかったので、“人となり”を感じ取ろうと歌麿の絵を見て想像を膨らませていました。そうしたら、平面なのに非常に奥行きの感じられる絵で、それぞれの作品からものすごく想像力をかきたてられて。しかも、「この女性は寂しいのかな?」、「この人はうれしいのかな?」などと、描かれている人の感情まで想像できたんです。だからきっと歌麿は、人の気持ちを自分の中に落とし込める、人を見る才能のある繊細な方だったんだろうなと。

-その後、台本を読んだときの印象はいかがでしたか。

 絵だけで想像していたときは漠然としていたものが、台本を読むことで、自分の中で点と点が結ばれていくような感覚になりました。台本でも歌麿は繊細で複雑な感情を秘めた人間として描かれていたので、それまで絵を見て想像していたものと、違和感なく結びつけることができました。

-実際のお芝居では、蔦重役の横浜流星さんと相対する中から引き出されるものもあったのでしょうか。

 蔦重と目を合わせることで引き出される感情も多く、とても有意義で楽しい時間でした。逆に感情をかき乱されることも多かったのですが、歌麿はそうやって蔦重とかかわる中で成長していくので、流星くんからエネルギーをもらっていた感じもあって。だから、流星くんのお芝居を素直に受け止めることは、自分の中で大事な作業の一つでした。2人で相談しながらお芝居を作っていくことも多かったですし、流星くんは常にベストな表現を考え抜いていたので、本当に助けられました。

-横浜さんとの共演で特に印象的だったシーンを教えてください。

 僕にとって「べらぼう」のスタートラインとなった、成長した唐丸(=歌麿)が蔦重と再会するシーン(第18回)です。少年時代の唐丸(渡邉斗翔)と蔦重のシーンはオンエアで見ていましたが、実際に自分が蔦重と対峙(たいじ)することで、一筋縄ではいかない2人の微妙な関係性を肌で感じることができて。だから、その後も演じる上では、そのときの気持ちを忘れないようにしていました。

-歌麿を演じる上で特に苦労したことはありますか。

 やっぱり、絵です。今回、絵師役の皆さんはそれぞれ練習を重ね、吹き替えなしで描いていますが、歌麿は特に量が多く、要求されるレベルも高くて。有名な絵を実際に描かせていただくという緊張感も大きかったですし。しかも、筆は扱い方が難しく、少しでも手が震えると、それが筆先に出てしまうんです。だから、体重のかけ方などにも気を遣う必要があり、描きながらお芝居するのは、本当に苦労しました。中でも、子どもの頃から教科書で見ていた『ポッピンを吹く娘』を描いたときと、写楽の絵を自分で清書したときは、とても感慨深かったです。

(C)NHK

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「豊臣兄弟!」第16回「覚悟の比叡山」“守られる側”の農民から“守る側”の侍になった小一郎と藤吉郎の覚悟【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年4月28日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=木下小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(=木下藤吉郎/池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの奇跡を描く物語は快調に進行中。4月26日に放送された第16回「 … 続きを読む

ゆうちゃみ「るり子が現実にいたらめっちゃ親友になれそうやなっていう感じでした」『アギトー超能力戦争ー』【インタビュー】

映画2026年4月28日

 仮面ライダー生誕55周年記念作『アギトー超能力戦争ー』が4月29日から全国公開される。本作で主要キャストの1人である葵るり子を演じたゆうちゃみに、映画初出演への思いなどを聞いた。 -出演が決まった時の心境は?  「マジ、ドッキリ?」みたい … 続きを読む

千葉雄大、「映像の人」「舞台の人」という「垣根をなくしたい」 友近と挑む二人芝居・リーディングドラマ「老害の人」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年4月25日

 内館牧子によるベストセラー小説『老害の人』が、リーディングドラマとして舞台化される。出演者は、友近と千葉雄大の二人だけ。登場人物のすべてを、二人が自在に演じ分ける。  物語の主人公は、小さな玩具屋を大企業に育てた元社長の福太郎。老いてなお … 続きを読む

小手伸也、「映像ではテンションの7割しか出していない」 リミッターを解除して臨む舞台初主演作「コテンペスト」

舞台・ミュージカル2026年4月25日

 小手伸也が舞台初主演を務める「俺もそろそろシェイクスピア シリーズ『コテンペスト』」が、6月27日から上演される。公演に先立ち、小手が取材に応じ、本作への思いを語った。  本作は、シェイクスピアの最後の作品「テンペスト」の設定を現代に置き … 続きを読む

【映画コラム】4月後半公開の映画から『人はなぜラブレターを書くのか』『今日からぼくが村の映画館』『ソング・サング・ブルー』

映画2026年4月24日

『人はなぜラブレターを書くのか』(4月17日公開)  2024年、千葉県香取市で定食屋を営む寺田ナズナ(綾瀬はるか)は、ある青年に宛てて手紙を書く。  24年前、当時17歳だったナズナ(當真あみ)は、いつも同じ電車で見かける高校生の富久信介 … 続きを読む

page top