エンターテインメント・ウェブマガジン
フランスの作曲家モーリス・ラベルによる不朽の名曲「ボレロ」の誕生秘話を描いた音楽伝記映画『ボレロ 永遠の旋律』が、8月9日から全国公開される。日本公開を前にアンヌ・フォンテーヌ監督に話を聞いた。

(C)2023 CINÉ-@ – CINÉFRANCE STUDIOS – F COMME FILM – SND – FRANCE 2 CINÉMA – ARTÉMIS PRODUCTIONS
ラベルの音楽には、以前からとても興味を持っていました。こんなに素晴らしい曲を作るのは一体どんな天才なんだろうと好奇心をそそられていました。彼の曲は「ボレロ」に限らず、他の作品も素晴らしいですから。ただ、今回「ボレロ」という曲を通してシナリオを書くに当たって、ラベルのとても繊細で脆弱(ぜいじゃく)な部分や、簡単に曲の着想が浮かんでいたわけではなく、スランプになったりして、創作でとても悩む姿やそのプロセスも描きたいと思いました。
もちろんです。それを知ってもらいたいからこそこのテーマを選びました。ラベルは天才だと思われていますが、この映画では、インスピレーションが枯れてスランプになって…というところから始めました。意識的にそういう設定にしました。せっかく作曲の依頼が来たのに、それをきちんと受け止められない。内なる緊張感がどんどん高まっていく。そんな中で、生み出した曲が20世紀を代表するような傑作になった。そうした矛盾を描きたいと思いました。実は「ボレロ」はラベルにとっては、最も自信があったり、大好きな作品ではなかったのです。だから、成功と失敗、あるいは個人的な好き嫌いが合致しなかったところまで描きたいと思いました。
時代を行き来したりする自由さというのは、音楽の持つ自由さとも通じるものがあると考えました。「ボレロ」もそうですし、ラベルの他の作品もそうです。これはこうあるべきだという制約から逃れて、期待を覆すようなところも彼の音楽にはあったと思います。しかも私自身、時系列に合わせた伝記映画があまり好きではありません。どこか夢の中にいるような感じの方が詩情が出ると思うので、今回は彼の人生の断片的なものを夢のように組み合わせていきました。本当に真面目に時系列を追ったら何か映画が貧しくなると思いませんか。
今回、イダ・ルビンシュタインの「ボレロ」のダンスを演出するに当たって、当時の写真を参考にしました。イダの衣装はもちろん、大衆酒場的なところに丸いテーブルがあってその上で踊ったという。ベジャールもその写真を基に振り付けを考えたというのは有名な話です。ただ、イダの初演は表現主義的というか、ダンスはあまりうまくはなかったけれど、とてもキャラの立つ人で、自分の考えを押し通すタイプだったようです。私も『愛と哀しみのボレロ』は見ていますし、ジョルジュ・ドンのバレエもライブで見ています。
映画2026年10月1日
大腸がんによって24歳で他界した遠藤和(のどか)さんが亡くなる10日前までつづり続けた手記を映画化した『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』が、10月2日から全国公開される。本作で、主人公の和と夫の将一を演じた、川口春奈と高杉真 … 続きを読む
映画2026年10月1日
余命1年の音楽教師・京香(広瀬アリス)と、喜び以外の感情を失った高校生・沖晴が織りなす、切なくも温かい感動の人生賛歌『沖晴くんの涙を殺して』が10月2日から全国公開される。本作で、訳あり高校生の沖晴を演じた木戸大聖に話を聞いた。 -沖晴の … 続きを読む
舞台・ミュージカル2026年9月30日
小瀧望が主演する舞台「ロックンロール」が、11月6日から上演される。本作は、世界的な劇作家トム・ストッパードが祖国チェコスロバキアを舞台に、20年以上にわたる歴史のうねりを描きながら、自由の尊さをうたう物語。愛するロックンロールと母親を守 … 続きを読む
映画2026年9月30日
10月2日から全国公開となる『時給三〇〇円の死神』は、累計発行部数36万部を突破した藤まるの同名小説を原作にしたファンタジーだ。生きる希望を失った大学生・佐倉真司(西畑大吾)が、謎めいた同級生・花森雪希(福本莉子)に誘われ、この世に未練を … 続きを読む
2026年9月29日
K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り口に、知ってい … 続きを読む