中川晃教&相葉裕樹&木内健人、初演から「どう“進化”させていくのか」 ミュージカル「CROSS ROAD」2年ぶりの再演に挑む【インタビュー】

2024年4月2日 / 08:00

 劇作家・藤沢文翁によるオリジナルミュージカル「CROSS ROAD~悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ~」が4月22日から上演される。本作は、2012年に朗読劇として上演された作品を2022年にミュージカル化し、壮大な世界観と口ずさみたくなるダイナミックな音楽で話題を呼んだ作品の再演。音楽の悪魔アムドゥスキアスを初演に続き演じる中川晃教、パガニーニをWキャストで演じる相葉裕樹と木内健人に公演への思いを聞いた。

(左から)木内健人、中川晃教、相葉裕樹 (C)エンタメOVO

-中川さんと相葉さんは初演に続いて出演、木内さんは今回から参加となります。改めて、再演が決まったときの心境を教えてください。

中川 この作品は、朗読劇からとても丁寧に進化させてきました。そして、さらに多くの方に届けたいという思いで、こうして最速で再演が決まったことは、勢いを感じてすごくうれしく思います。僕は、悪魔役を演じていますが、この悪魔は誰の心にも潜んでいるもので、怖いだけではなく、どこか温かさがあって、憎めないところもある。この作品から僕はそういう悪魔像を読み取っていて、またこの役を演じられることにとても喜びを感じています。

相葉 初演のときから、このパガニーニという役もこの作品も大事に育てていきたいと思っていたので、また再挑戦できることは大変ありがたく思います。初演の時にはできなかったことや理解しきれなかったことも、もう一度この本から読み取って、文翁さんの思いや作りたかったものを理想の形にしていけたらと思います。とにかく楽しみですし、今回、どこまで自分自身を追い込んで、ステージでパフォーマンスできるかというのが課題だと思っています。

木内 いつか音楽家を演じてみたいと思っていたものの、音楽の知識があるわけでもないので、こうして音楽家を演じる機会をいただけたことはとてもうれしかったです。体当たりで、これまで培ってきた俳優としての技術を駆使して向かっていきたいと思います。僕は再演からの参加なので、作品の知識はまだお二人に比べたら足りないところもあると思いますが、知らないからこその新鮮な気持ちでお二人に追いつけるよう頑張っていきたいと思っています。

-中川さんと相葉さんは、初演を経てどんな感想を持ちましたか。

中川 藤沢さんが満を持してミュージカル化したいと思った“種”を形にしていく作業がこのミュージカルの最初のスタートでした。音楽を村中俊之さんという作曲家の方が作られていますが、僕はコンサートでご一緒したことがあり、波長が合うことを感じていたので、この作品でお名前を見たときに、これも一つの巡り合わせだとすごく感じました。オリジナルミュージカルを作るにあたって、そうした僕が尊敬する方たちが集結されているということで、僕の中では最初から手応えはありました。藤沢文翁さんもそうですが、皆さんミュージカルに対してとても柔軟な方ばかりです。なので、今回の再演では、演出も変わりますし、初演を“ブラッシュアップ”するということではなく、どう“進化”させていくのかだと思います。今回出会うキャストを含め皆さんと稽古をしていく中で、どのような進化をするのか、答えが見えてきたらいいなと思います。

相葉 僕は手応えよりも、これを形にするということに全力を傾けていたように思います。村中さんの楽曲もとても難しく苦戦しましたし、いただいたものを自分のものにしていくことに時間と労力がかかり、ミュージカルとしてお客さまの前で演じることに必死でした。オリジナルミュージカルということもあって、お客さまがどう評価してくださるかは、やってみないと分からない部分があったので、そういう意味でも必死だったんだと思います。ただ、僕たちの団結力はとても高く、お客さまに届けるんだという確固たる意志やエネルギーが生まれた稽古場でしたし、このカンパニーならきっと思いが届くだろうという気持ちでやっていました。そうした稽古、そして初演を乗り越えた今回は、より柔軟にチャレンジし、より楽しく、見やすく、すてきなミュージカルをお届けできればと思っております。

-木内さんは、今回、脚本を読んでどんな感想を持ちましたか。

木内 (原作・脚本・作詞の)藤沢文翁さんは、すごく言葉を大事にする方なのだなと感じました。これは僕がいつも思っていることなのですが…ミュージカルってすごく曖昧なものなのではないかと思うんです。音楽があってダンスがあってお芝居があるのがミュージカルなのかというと、きっとそうではない。じゃあ、何が正解なのかと言われると、作り手や書き手、演出家さんそれぞれに答えがあって、それを作品の中で提示しているのだと思います。役者はそれを受け入れ、一緒に作り上げていくものがミュージカルになっていくのだと、僕は漠然と思っています。そうした考えがありながら今回の脚本を読んだとき、藤沢さんの中のミュージカルの定義を強く感じました。言葉を大事にされる方だからこそ、明瞭に「ミュージカルを作りたい」という思いを感じる脚本だと思いました。俳優から出てきたものと演出家さんから提示されたものをドッキングして作り上げていけば面白い作品になるなと僕は思っています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「ボブの歌に込められたメッセージと愛を感じてほしいと思います」『ボブ・マーリー:ONE LOVE』レイナルド・マーカス・グリーン監督【インタビュー】

映画2024年5月21日

 ジャマイカが生んだ伝説のレゲエミュージシャン、ボブ・マーリーの波瀾(はらん)万丈な生涯を映画化した『ボブ・マーリー:ONE LOVE』が、5月17日から全国公開された。本作のプロモーションのために来日したレイナルド・マーカス・グリーン監督 … 続きを読む

上白石萌歌&森田想&加藤拓也監督「8人の個人的なお話を楽しんでもらえたら」 ドラマ「滅相も無い」【インタビュー】

ドラマ2024年5月21日

 突如7つの巨大な“穴”が現れた日本を舞台に、穴に入るか悩む8人の男女が会合に参加し、お互いの人生を語り合うドラマ「滅相も無い」(MBS/TBSドラマイズム)が放送中だ。本作はドラマ「きれいのくに」(2021年)や映画『ほつれる』(2023 … 続きを読む

松本穂香&犬飼貴丈&関口メンディー ドラマ「95」主演の高橋海人は「唯一無二の魅力的な人」【インタビュー】

ドラマ2024年5月20日

 高橋海人が主演するドラマ「95」がテレ東系で放送中だ。早見和真氏の青春小説が原作の本作は、大人の作った社会の仕組みにあらがい、大切なものを守りながら1995年の渋谷をがむしゃらに駆け抜けた高校生たちの熱き青春群像劇。  本作で高橋が演じる … 続きを読む

市村優汰、憧れは父・市村正親のような俳優 「プリンス・オブ・マーメイド」で舞台初主演に「死ぬ気で頑張る」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年5月19日

 俳優・市村正親の長男で、ミュージカル「オリバー!」で本格俳優デビューを果たした市村優汰が、8月8日から上演される海の音楽劇「プリンス・オブ・マーメイド~海と人がともに生きる~」で舞台初主演を果たす。市村が演じるのは、人魚の王子タリク役。石 … 続きを読む

「光る君へ」第十九回「放たれた矢」華やかな宮廷劇の傍らで巧みに描かれたまひろの父の出世劇【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年5月18日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。5月12日に放送された第十九回「放たれた矢」では、権力の頂点に立った藤原道長(柄本佑)の活躍を軸に、藤原伊周(三浦翔平)・隆家(竜星涼)兄弟との確執や、図らずも実現した主人公まひろ(吉高由里子) … 続きを読む

Willfriends

page top