「この映画は、自分を形成してくれたさまざまな映画へのラブレター」ザック・スナイダー監督『REBEL MOON - パート1:炎の子』
【インタビュー】

2023年12月20日 / 07:00

 巨万の富と強大な軍事力を持つ帝国マザー・ワールドが支配する銀河。過去を捨てたコラ(ソフィア・ブテラ)は、宇宙の辺境にある小さな惑星の平穏な村でひそかに暮らしていた。しかしある日突然、帝国の軍勢が村を襲撃。コラは村人たちを守るため、そして自身の過去と向き合い償うために立ち上がることを決意する。

 ザック・スナイダー監督が構想に20年以上を費やして完成させたSFスペクタクル2部作の第1部『REBEL MOON - パート1:炎の子』が、22日からNetflixで世界独占配信スタートとなる。配信に先駆けて来日したスナイダー監督に話を聞いた。

ザック・スナイダー監督 (C)エンタメOVO

 

-監督は自ら撮影も兼任しますが、人に任せるのと自分で撮影をするのとでは、どういう違いがあるのでしょうか。

 最近は、カメラマンとして撮影もしていますが、もともとコマーシャルの仕事を12年間していた時は、監督兼カメラマンでした。だから、両方の仕事は一つだと自分では感じていましたが、大作を手掛けるようになるに連れ、そうした自分の手で作っている感覚からは遠ざかりました。今は、テントが立てられ、そこにモニターがあって、スタッフの動きもよく見えないし、俳優にも大きな声でなければ話し掛けられません。それでモニターを見ながらやっていると、自分の映画なのにちょっと遠くなったような気がしたので、撮影してみたら、自分の映画を作っているという感覚が戻ってきました。だから、今回もやりたいと思いました。

-今回はコラが主人公でしたが、彼女以外のキャラクターもとても魅力的でした。スピンオフのようなものを作る予定はありますか。

 シリーズとして話が出ているのが、今回のラスボスのバリサリウスです。彼がどうして宇宙の「キングダディ・バッドガイ」になったのかを描くという話は出ています。それは、パート2を見た後で、多分皆さんも興味をかき立てられる話題ではないかと思います。彼のオリジンストーリーはまるでナポレオンのようです。移民的なバックグラウンドを持ち、それが皇帝になっていくみたいな。そういう話ができるかもしれません。

-次の質問をする前にちょっと聞きたいのですが、監督によっては、影響を受けた作品を聞かれるのを嫌がる人もいますが、監督はいかがですか。

 それはうそです。監督が影響を受けたと言いたくないというのは、多分うそ(笑)。突然穴から出てきた天才みたいな人はいませんから。

-では遠慮なく聞きますが、今回の映画は『スター・ウォーズ』(77)の影響を強く感じさせますが、もともと『スター・ウォーズ』は黒澤明監督の『隠し砦の三悪人』(58)の影響を受けています。それと同じように、今回は『七人の侍』(54)の影響が大きいと感じましたが。

 その通りです。この映画を見れば、皆さんもお分かりになると思います。それで、自分がどんなふうに進化してきたかと言えば、やっぱりアメリカ人である自分が最初に触れたのは西部劇のアイコンである『荒野の七人』(60)で、その後、日本の『七人の侍』がベースになっていることを知って、文化的な覚醒というか、概念やアイデアには普遍性があるというシンプルなことに気付いたんです。今回もオリジンではありませんが、物語の背骨の部分、核の部分を作るとしたら、それは『七人の侍』なのかなと思いました。そもそも多くの映画作家が、あの映画から影響を受けています。僕たちもそういったことを十分に意識した上で、あえてこういう形にしました。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

玉城ティナ「今回はベネチアでオールロケができたこともポイントだと思います」『岸辺露伴は動かない 懺悔室』【インタビュー】

映画2025年5月23日

 荒木飛呂彦の人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズのスピンオフ「岸辺露伴は動かない」を高橋一生主演で実写化したテレビドラマの映画版第2作『岸辺露伴は動かない 懺悔室』が5月23日(金)から全国公開された。邦画初となる全編ベネチアロケを敢 … 続きを読む

【週末映画コラム】トム・クルーズにアカデミー賞を贈ってもいい『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』

映画2025年5月23日

『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』(5月23日公開)  1996年の第1作から続く、スパイ組織「IMF」に所属するイーサン・ハントをトム・クルーズが演じるスパイアクション「ミッション:インポッシブル」シリーズの第8作。 … 続きを読む

大地真央 コシノ三姉妹の母役で映画初主演「コシノアヤコさんの生涯には人生のヒントが詰まっている」『ゴッドマザー~コシノアヤコの生涯~』【インタビュー】

映画2025年5月22日

 日本のファッション界に革命を起こし、昭和から平成を駆け抜けたコシノ三姉妹(コシノヒロコ、ジュンコ、ミチコ)。その母で、日本のファッションデザイナーの草分けとして活躍したコシノアヤコの生涯を、ユーモアと人情たっぷりに描いた『ゴッドマザー~コ … 続きを読む

河合優実「少しでも戦争について考えるきっかけになれば」戦争で大切な人を失った蘭子役への思い 連続テレビ小説「あんぱん」【インタビュー】

ドラマ2025年5月21日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルに、何者でもなかった朝田のぶ(今田美桜)と柳井嵩(北村匠海)の2人が、数々の荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『アンパ … 続きを読む

稲垣吾郎、ハリー・ポッター役で「新しい風が吹かせられれば」 舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年5月21日

 稲垣吾郎が、現在、ロングラン上演中の舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」にハリー・ポッター役で出演する。本作は、小説「ハリー・ポッター」シリーズの作者であるJ.K.ローリングらが、舞台のために書き下ろした「ハリー・ポッター」シリーズの8作目 … 続きを読む

Willfriends

page top