【インタビュー】映画『犬部!』大原櫻子「ワンちゃんたちのお芝居を見るのが、とても楽しかったです」

2021年7月20日 / 06:10

 大学に動物保護サークル「犬部」を設立した獣医学部の学生・花井颯太(林遣都)。彼と「犬部」のメンバーたちの熱い思いと奮闘を、笑いあり、涙ありで描いた『犬部!』が、7月22日から公開される。「犬部」のメンバーで後に研究者となる佐備川よしみを演じた大原櫻子に、動物たちとの共演の様子や撮影の裏話を聞いた。

佐備川よしみを演じた大原櫻子(ヘアメーク・木内真奈美(OTIE)/スタイリスト・米原佳奈)

-今回、獣医学部の学生から研究者を演じた感想は?

 私が演じた佐備川よしみは、「犬部」のネコ担当ということで、学生時代は紅一点というか、女性が少ない環境だったので、元気で明るく「犬部」を盛り上げたいという思いで演じていました。それから、30代になった研究者としてのよしみは、後輩もいて、ネコ用のワクチンの開発を進めているという、責任のある立場なので、学生時代の弾けた感じとはちょっと違う、責任を持って仕事をしている一人の女性として、成長した姿を見せたいと思って演じていました。

-メークや髪形も変えていましたね。

 そうですね。メークさんとも「元気いっぱいの女の子にしたいね」と話していて、学生時代は髪形もポニーテールにしました。30代はハーフアップにして、ちょっと大人になった感じを表現したりしました。衣装も、(篠原哲雄)監督やスタッフさんと話し合いながら進めていきました。学生時代は、かわいらしさを出したいと思って、結構脚が出ていたり、肌が見える衣装が多かったのですが、大人になったときは落ち着いた感じのものにしました。

-学生時代と社会人になったときとの演じ分けはどのようにしましたか。

 髪形などで外見的な変化がつけられたことは、役を演じる上でとても大きなものがありました。学生時代のよしみは、いつもわくわくしていてかわいいという感じで、動物への愛情もダイレクトに出せると思っていたので、幸せ感をたっぷり出したいと思いました。とにかく元気に明るくということを意識していました。研究者になったときは、あまり浮き浮きした感じはなく、動物の命を扱う大変さを自覚して、一生懸命に仕事をしているという真面目な表情を意識しました。

-16年後の研究室で「10年以上たってもワクチンが作れない」と嘆くシーンが印象的でした。

 私自身も仕事をしているときに、悔しいと思ったことや、悲しい出来事がバネになったりすることがあります。なので、私もあのシーンはとても大事に思っています。なぜ、よしみが大変なワクチンの開発をここまで一生懸命にやっているのかが分かるような、重みのあるシーンで、ここがよしみの真髄だと思ったので、私自身の仕事に対する思いと重ねてせりふを言っていたような気がします。

-演じるに当たって、篠原監督から何か注文はありましたか。

 台本を読んだときに、等身大に近いキャラクターだと思いました。監督からは、役柄へのオーダーよりも、「とにかく動物を扱う撮影になるので、いろいろと芝居の中でうまくいかないことが多くて大変だろうけど、頑張ろう」と言われました。

-動物が相手の撮影は、やはり苦労が多かったのでしょうか。

 大変でしたけど、「よくこんなお芝居をしてくれるなあ」という驚きもありましたし、楽しかったです。ただ、本番のカメラが回るまでどんなお芝居をするのかが分からなかったので、「お願いだからこっちを向いて」(笑)みたいなところもありました。大変でしたけど、癒やされました。

-では、動物が相手で楽しかったことは?

 やっぱり動物たちは純粋にすごくかわいいと思いましたし、林遣都さんが演じた颯太さんに寄り添っているワンちゃんたちが、指導の方が合図をすると、ほえる、待つ、近付くなどのお芝居が完璧にできたので、「すごいな」と。ワンちゃんたちのお芝居を見るのが、とても楽しかったです。

-特に印象に残っているシーンはありますか。

 たくさんありますが、颯太さんが、ワンちゃんにシャワーを浴びせて、ワンちゃんがブルっと身震いするのがきっかけになって、ほほ笑ましい空気が流れるというシーンで、なかなかブルっとしてくれなくて、何度もテークを重ねて、すごく格闘したなあと。やっぱり犬の芝居がないと出てこないせりふもあるので、遣都さん頑張っていたなあと思いました。

-よしみは等身大に近いキャラクターということですが、ご自身との共通点や、似ていると感じたところはありましたか。

 特に精神的に強いわけではないのですが、よしみが颯太さんに対してちゃんと自分の意見を言うところや、ネコを助けたいという強い思いを持って行動し、ワクチンの開発に励んでいるところなどは、ある意味、男っぽいというか…。何かそういうところが自分と似ているのかなあと思いました。

-演じながら、主人公たちの行動をどう思いましたか。

 学生なのに、ここまでの行動力がある人ってすごいなと思いました。どの時代でも、ゼロから1を生み出すには強いエネルギーが必要だと思いますが、それを学生がやっていたわけですから。颯太さんのモデルになった太田快作先生は、実際に今でも動物を助けています。こういう方がいるからこそ、動物たちも幸せに生きられるんだろうなあと思います。感謝しなければと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

南沙良「人間関係に悩む人たちに寄り添えたら」井樫彩監督「南さんは陽彩役にぴったり」期待の新鋭2人が挑んだ鮮烈な青春映画『愛されなくても別に』【インタビュー】

映画2025年7月4日

 第42 回吉川英治文学新人賞を受賞した武田綾乃の小説を原作にした鮮烈な青春映画『愛されなくても別に』が、7月4日公開となる。浪費家の母(河井青葉)に代わってアルバイトで生活を支えながら、奨学金で大学に通う主人公・宮田陽彩が、過酷な境遇を受 … 続きを読む

紅ゆずる、歌舞伎町の女王役に意欲「女王としてのたたずまいや圧倒的な存在感を作っていけたら」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年7月4日

 2019年に宝塚歌劇団を退団して以降、今も多方面で活躍を続ける紅ゆずる。7月13日から開幕する、ふぉ~ゆ~ meets 梅棒「Only 1,NOT No.1」では初めて全編ノン・バーバル(せりふなし)の作品に挑戦する。  物語の舞台は歌舞 … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】異領域を融合する舞台芸術、演出家イ・インボの挑戦

舞台・ミュージカル2025年7月3日

 グローバルな広がりを見せるKカルチャー。日韓国交正常化60周年を記念し、6月28日に大阪市内で上演された「職人の時間 光と風」は、数ある韓国公演の中でも異彩を放っていた。文化をただ“見せる”のではなく、伝統×現代、職人×芸人、工芸×舞台芸 … 続きを読む

毎熊克哉「桐島が最後に何で名乗ったのかも観客の皆さんが自由に想像してくれるんじゃないかと思いました」『「桐島です」』【インタビュー】 

映画2025年7月3日

 1970年代に起こった連続企業爆破事件の指名手配犯で、約半世紀におよぶ逃亡生活の末に病死した桐島聡の人生を、高橋伴明監督が映画化した『「桐島です」』が、7月4日から全国公開される。本作で主人公の桐島聡を演じた毎熊克哉に話を聞いた。 -桐島 … 続きを読む

磯村勇斗&堀田真由、ともにデビュー10年を迎え「挑戦の年になる」 ドラマ「僕達はまだその星の校則を知らない」【インタビュー】

ドラマ2025年7月2日

 磯村勇斗主演、堀田真由、稲垣吾郎が出演するカンテレ・フジテレビ系“月10ドラマ”「僕達はまだその星の校則を知らない」が7月14日から放送スタートする。本作は、独特の感性を持つがゆえに何事にも臆病で不器用な主人公・白鳥健治(磯村勇斗)が、少 … 続きを読む

Willfriends

page top