【インタビュー】ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」黒羽麻璃央「舞台上で自分が芝居をして目の前のお客さまに何かを伝えている瞬間が一番好き」

2021年4月27日 / 08:00

 ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」が5月21日から開幕する。本作は、2001年にフランスで生まれ、世界20カ国以上で上演されてきた大ヒットミュージカル。日本では、小池修一郎の潤色・演出で、10年に宝塚歌劇団が初演。11年に日本オリジナルバージョンとして上演されて以降、再演を重ねてきた。今回は、19年以来2年ぶりに新キャストで上演される。主人公のロミオを甲斐翔真と共にダブルキャストで演じる黒羽麻璃央に、作品への思いや意気込みを聞いた。

ロミオ役の黒羽麻璃央

-19年の公演ではマーキューシオを演じましたが、今回はロミオ役での出演になります。出演が決まったときの心境から教えてください。

 世界的に有名な戯曲「ロミオとジュリエット」のロミオという役は、選ばれた人間にしかできない役だと思っていますし、俳優として一度は演じてみたかった役なので、夢がかなってうれしく思います。前回、僕はマーキューシオとしてこの世界に生きさせていただきましたが、(19年公演で)ロミオを演じられたお二方は尊敬できる先輩方だったので、今度は僕自身がロミオとして後輩たちのお手本になれたらいいなと思っています。

-この作品の魅力は?

 愛の形は時代が変わっても変わらないことを感じられる作品だと思います。愛する人と一緒にいたい気持ちや、友人たちに対する愛情といったものが深く描かれています。今、僕たちにとっては、この物語に出てくるような争いごとはあまり身近ではないかもしれませんが、世界を見渡せば、戦争が続いている国があったり、いつ命を落とすか分からない日常を送っている人もいます。だからこそ、僕は(本作を通して)いとおしいと思う人と一緒にいる時間を大事にしたいと改めて感じました。

-ロミオを演じるに当たって、どういったところに黒羽さんらしさを出していきたいと考えていますか。

 僕が表現したものがそのまま「黒羽ロミオ」になると思うので、今はこうしようということはあまり考えていません。ただ、ロミオは、ジュリエットへの思いだけでなく、モンタギュー家への愛情や、ベンボーリオをはじめとした友人たちへの愛も強く持っている愛情深い人間だと思うので、そこは意識して演じたいと思います。

-ロミオに共感できるところはありますか。

 平和主義なところは共感できます。ただ、いざ争いが起こったら、ロミオのように決闘の中に割って入っていって止めることはできないかな。そんな度胸はありません(笑)。

-では、もし目の前で決闘が行われていたら、どうしますか。

 警察を呼びます(笑)。

-今回、ダブルキャストの甲斐翔真さんとは初共演ですが、甲斐さんの印象は?

 彼のイメージはゴールデン・レトリーバーです(笑)。ただかわいいだけじゃなく、しっかりと野生的なところも内に秘めている。いい意味で、野心や向上心を持っている人で、泥くさくやっていく人なのかなと感じました。

-ジュリエット役の伊原六花さんと天翔愛さんの印象は?

 お若いなあ、と(笑)。なので、僕自身がジュリエットと並んでもおかしくないように、若くならないといけないなって思っています。別の現場で、「おじいちゃんみたい」って言われたんですよ(笑)。多分、実年齢よりも年上の役を演じる機会が多いので、自然と表現の仕方が年齢よりも上に見られるんだと思いますが、今回は、お芝居の中で若々しさを出していきたいと思います。

-映像の世界でも活躍されながら、ここ数年は本作をはじめ、ミュージカル「エリザベート」(公演中止)のルキーニ役など、グランドミュージカルにも積極的に挑戦されている印象があります。今現在、黒羽さんの中で、グランドミュージカルに出演したいという思いが大きいのでしょうか。

 そうですね。数年前まで、映像作品への進出を自分の中で目標にしていました。テレビというものは、すごく大きな力を持っていると思うので、やはりメディアに出たいという思いがあったんです。ですが、2019年にこの作品に出演したことで、改めて舞台も好きになりました。やはり生に勝るものはないし、舞台上で自分が芝居をして目の前のお客さまに何かを伝えている瞬間が一番好きだということに気付いたのが、この作品でした。(演出の)小池(修一郎)先生と稽古をしたり、スタッフ・キャストの皆さんと一緒にお芝居を作り上げていくのが楽しくて仕方なかった。そこからは、グランドミュージカルにも出てみたいと思うようになりましたし、ミュージカルの世界に足を踏み込んでいきたいと改めて思うようになりました。2019年の「ロミジュリ」で考え方が大きく変わったと思います。なので、今回も本当に全力を尽くして頑張りたいと思っています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

堤真一、三宅唱監督「実はこういうことも奇跡なんじゃないのということを感じさせてくれる映画だと思います」『旅と日々』【インタビュー】

映画2025年11月6日

 三宅唱監督が脚本も手掛け、つげ義春の短編漫画『海辺の叙景』と『ほんやら洞のべんさん』を原作に撮り上げた『旅と日々』が11月7日(金)から全国公開される。創作に行き詰まった脚本家の李(シム・ウンギョン)が旅先での出会いをきっかけに人生と向き … 続きを読む

【映画コラム】俳優同士の演技合戦が見ものの3作『爆弾』『盤上の向日葵』『てっぺんの向こうにあなたがいる』

映画2025年11月1日

『爆弾』(10月31日公開)  酔った勢いで自販機を壊し店員にも暴行を働き、警察に連行された正体不明の中年男(佐藤二朗)。自らを「スズキタゴサク」と名乗る彼は、霊感が働くとうそぶいて都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告する。  やがてその言葉 … 続きを読む

福本莉⼦「図書館で勉強を教え合うシーンが好き」 なにわ男⼦・⾼橋恭平「僕もあざとかわいいことをしてみたかった」 WOWOW連ドラ「ストロボ・エッジ」【インタビュー】

ドラマ2025年10月31日

 福本莉⼦と⾼橋恭平(なにわ男⼦)がW主演するドラマW-30「ストロボ・エッジ  Season1」が31日午後11時から、WOWOWで放送・配信がスタートする。本作は、咲坂伊緒氏の⼤ヒット⻘春恋愛漫画を初の連続ドラマ化。主人公の2人を軸に、 … 続きを読む

吉沢亮「英語のせりふに苦戦中です(笑)」主人公夫婦と関係を深める英語教師・錦織友一役で出演 連続テレビ小説「ばけばけ」【インタビュー】

ドラマ2025年10月31日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「ばけばけ」。明治初期、松江の没落士族の娘・小泉セツと著書『怪談』で知られるラフカディオ・ハーン(=小泉八雲)夫妻をモデルに、怪談を愛する夫婦、松野トキ(髙石あかり)とレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ) … 続きを読む

阿部サダヲ&松たか子、「本気でののしり合って、バトルをしないといけない」離婚調停中の夫婦役で再び共演 大パルコ人⑤オカタイロックオペラ「雨の傍聴席、おんなは裸足・・・」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年10月31日

 宮藤官九郎が作・演出を手掛ける「大パルコ人」シリーズの第5弾となるオカタイロックオペラ「雨の傍聴席、おんなは裸足・・・」が11月6日から上演される。本作は、「親バカ」をテーマに、離婚を決意しているミュージカル俳優と演歌歌手の夫婦が、親権を … 続きを読む

Willfriends

page top