エンターテインメント・ウェブマガジン
ベートーベンの音楽から生まれた舞台「Op.110 ベートーヴェン『不滅の恋人』への手紙」が11月28日から上演される。「ピアノソナタ作品第31番 Op.110」は、ベートーベンが愛した、一人の女性に捧げた曲だと言われている。本作では、その逸話を基に、ベートベンと不滅の恋人アントニーとの禁断の恋、真の芸術を巡る物語を、時間と記憶をさかのぼりながら作り上げる。本作でアントニー・ブレンターノを演じる一路真輝に、ベートーベンやアントニーへの思いを聞いた。
史実的には、ベートーベンとアントニーが実際に恋人だったのかも確定されているわけではなく、いまだにミステリーな点も多いのですが、今回は、小熊節子さんが原案を出されて、不滅の恋人であったという前提で作られています。小熊さんはウィーンの作品を日本で上演される際にコーディネーターもされている方で、以前から親しくさせていただいています。私は(2000年から2006年にかけて上演されたミュージカル「エリザベート」で)オーストリアのエリザベート皇后を6年間にわたって演じていたのですが、そのときには年に1回はウィーンを訪れ、小熊さんにウィーンを案内していただいていました。そういったご縁もあって、今回、アントニーを演じさせていただけることは何かの巡り合わせを感じていて、すごく幸せに思います。
台本を読んで「こうきたか!」と思いました(笑)。ベートーベンが出ないことは事前に聞いていたのですが、どうやって作るのだろうという疑問もありました。でも、実際に台本を読んだらワクワクしました。ただ、演じる上では、アントニーの情熱や、盛り上がる恋心をどこに向けたらいいのだろうという不安はあります。愛を語る相手がその場にはいないわけですから。(稽古前の)今、夜寝られないぐらいです(笑)。なので、そこは(本作の演出の)栗山(民也)さんのお力を存分にお借りして、まずは栗山さんが作ろうとされていることに身を委ねてみようと思っています。
なると思います。台本では、1台のピアノを役者たちが囲むと書いてあるので、新垣さんがベートーベンであるかのような立ち位置になるのではないかと、私も想像しています。それに、今回はベートーベンの音楽に歌詞を付けて歌うというシーンもあるんです。なので、お芝居と音楽の融合、その間に役者が歌うという新しい世界をお見せできると思います。今回、私も歌わせていただきますが、田代(万里生)くんが「第九」を歌うシーンも出てきます。きっと彼は素晴らしい歌声を聞かせてくれると、私も楽しみにしています。
アントニーは、貴族の家庭から実業家に政略結婚によって嫁ぎ、子どもを産む道具と言われて、心が乾いてしまったところでベートーベンと再会します。アントニーにとってベートーベンは、心を埋めてくれる大きな存在ですが、恋にまい進せず、ベートーベンを、そして家族を守ろうと、冷静さを持ち続ける姿には、彼女の強さを感じてすてきだなと思いました。
台本の中では、アントニーが17歳のときに、初めてベートーベンと出会います。そのときに、お互いにほのかな恋が芽生えていたのだとしたら、10年たって再会したときに、燃え上がってしまったのも仕方ないことなのかなと思います。アントニーにとって、ベートーベンとの恋は人間同士というより、魂の恋だったと思います。芸術というフィルターを通して2人の魂が引かれ合っていた。そこにはもう現実は見えていなかったような。心の安らぎと刺激の両方を、お互いに強く求めたのだと思います。
現代の感覚からすると「どうしてそうなるの?」と思うような展開もありますが、当時の貴族社会ではあり得たことなのかなとも思います。例えば、エリザベート皇后も夫の相手をしたくないという理由で愛人をあてがったりしていました(苦笑)。うがった見方ですが、体裁が一番大事だという価値観があったのかなとも想像します。そこも含めて、今回、栗山さんがどのように作るのか、ドキドキワクワクしています。
舞台・ミュージカル2025年7月4日
2019年に宝塚歌劇団を退団して以降、今も多方面で活躍を続ける紅ゆずる。7月13日から開幕する、ふぉ~ゆ~ meets 梅棒「Only 1,NOT No.1」では初めて全編ノン・バーバル(せりふなし)の作品に挑戦する。 物語の舞台は歌舞 … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年7月3日
グローバルな広がりを見せるKカルチャー。日韓国交正常化60周年を記念し、6月28日に大阪市内で上演された「職人の時間 光と風」は、数ある韓国公演の中でも異彩を放っていた。文化をただ“見せる”のではなく、伝統×現代、職人×芸人、工芸×舞台芸 … 続きを読む
映画2025年7月3日
1970年代に起こった連続企業爆破事件の指名手配犯で、約半世紀におよぶ逃亡生活の末に病死した桐島聡の人生を、高橋伴明監督が映画化した『「桐島です」』が、7月4日から全国公開される。本作で主人公の桐島聡を演じた毎熊克哉に話を聞いた。 -桐島 … 続きを読む
ドラマ2025年7月2日
磯村勇斗主演、堀田真由、稲垣吾郎が出演するカンテレ・フジテレビ系“月10ドラマ”「僕達はまだその星の校則を知らない」が7月14日から放送スタートする。本作は、独特の感性を持つがゆえに何事にも臆病で不器用な主人公・白鳥健治(磯村勇斗)が、少 … 続きを読む
ドラマ2025年7月1日
ドラマ「私があなたといる理由~グアムを訪れた3組の男女の1週間~」が、7月1日からテレ東系で放送がスタートする。本作は、グアムを訪れた世代が違う男女3組のとある1週間を描いた物語。30代の夫婦(蓮佛美沙子、溝端淳平)、20代の大学生カップ … 続きを読む