【インタビュー】映画『Daughters』三吉彩花「お互いの存在が大きかったことを実感しながら撮影に臨めました」 阿部純子「どのように生きたいかを考えるきっかけになりました」

2020年9月17日 / 06:20

 東京・中目黒でルームシェア生活を送る小春(三吉彩花)と彩乃(阿部純子)。同じ速度で歩んでいくと思っていた2人だが、彩乃が妊娠したことによって人生が大きく変化していく…。四季折々の風景とともに、女性たちの心情を丁寧につづった映画『Daughters』(9月18日公開)で、親友同士を演じた三吉と阿部に撮影の裏話を聞いた。

阿部純子(左)ヘアメイク:DAISHI/スタイリスト:小林洋治郎(Yolken)、三吉彩花 ヘアメイク:牧野裕大/スタイリスト:藤本大輔

-最初に感じた互いの印象を教えてください。

三吉 純ちゃんとは、会社ですれ違ったことがあったぐらいで、それほど面識があったわけではなかったです。なので、最初は緊張したんですが、すぐに打ち解けることができて、一緒にいると安心感がありました。彩乃と小春にとっても、お互いの存在が大きかったことを実感しながら撮影に臨めましたし、彩乃を演じたのが純ちゃんでよかったと思っています。

阿部 撮影前に「(撮影現場の)アパートに一緒に行って過ごしてみよう」と三吉さんが提案してくれたんです。そのときに、ランチをして一緒に時間を過ごしてみて、自然と居心地のいい空間が出来上がっていたので、役作りに苦労することはありませんでした。最初から三吉さんといる空間は居心地がよかったです。

-ランチをしたというお話がありましたが、ほかにはどのようなことをして仲を深めたのですか。

阿部 表参道から渋谷まで、一緒に歩いたこともありました。途中で「おなかすいたね」って言ってお店に入ったりして(笑)。特に何かをしようと思ったわけではなく、彩乃と小春がしているのと同じような感覚で過ごすことができたと思います。

-それぞれの役を作り上げていく上では、どんなところを意識しましたか。

阿部 親友である彩乃の妊娠によって、小春の気持ちが揺れ動くというのがこの作品の大きなポイントだと思ったので、私自身は彩乃としてライフステージが変わる瞬間をどう演じればいいのかということを、いつも頭に置きながら演じていました。そのために、例えば、出産を体験された方のお話を聞いたり、妊娠中の方向けの本を彩乃目線で読んでみるということはしていました。

三吉 私は、純ちゃんが彩乃と向き合っている緊張感を現場で感じていたので、小春が綾乃をどう支えたらいいのかを考えるのと同じように、私自身もどういうふうに純ちゃんを支えてあげたらいいのだろうと考えていました。映画やドラマの撮影では、リハーサルをして、テストをして、それから本番になるので、同じ演技を最低でも数回は行いますが、純ちゃんは、彩乃のことを深く考えているからこそ、毎回、少しずつお芝居が違ったり、ニュアンスが違いました。なので、彩乃が発する言葉や表情をちゃんと受けて、自分もきちんと返そうという気持ちで、必死になって演じていたように思います。

-向き合って演技をしてみて、女優として互いのどんなところに魅力を感じましたか。

阿部 三吉さんは、うそのない言葉で思ったことを伝えてくれる方なので、その分、とても繊細なところを持っていると思います。役とのシンクロ率がとても高い方だとも感じました。お芝居をしている三吉さんを、隣でじかに感じられる立場だったからこそ、一緒に作り上げていく感覚を強く感じながら撮影できました。けんかのシーンは特に印象的で、小春が怒れば怒るほど私は悲しくなり、小春の存在の大きさを感じました。実際には、三吉さんから怒られることってないと思いますし、あくまでも役として怒っているのですが、三吉さんが私を怒っているような気持ちにもなってきてしまって…(笑)。役と同化していたということなのかもしれません。

三吉 私は台本を最初に読んだときに、小春に共感できるというわけではなかったです。妊娠した方のそばに寄り添った経験もありませんし…。どうなるかは演じてみないと分からないなと思っていました。ですが、撮影を重ねていき、純ちゃんが演じる彩乃の「女性としての情」や「不安」を小春としてそばで感じていたら、だんだんと、役と自分の境界線が分からなくなるような感覚がありました。それは、私にはなかなかない経験だったんです。今まで、私はオンとオフがはっきりしていて、撮影が終わり次第すぐに自分に戻っていましたが、この作品においては、ずっと小春と一緒にいるような感覚でした。それはやはり、純ちゃんが彩乃と一緒になって現場に現れている感じがあったからなのだと思います。純ちゃんは、役とずっしりと向き合うタイプの方なので、いい意味で純ちゃんのペースに巻き込まれていいものができたのだと思っています。

-互いに高め合っていたんですね。では、本作を通してどんな気付きがありましたか。

阿部 私自身がこれから生きていく上で、どのように生きたいかを考えるきっかけになりました。女性の生き方や子育て、家庭のあり方は多様化していると思うので、絶対にこうだという考え方に縛られずに、自分らしくあるよう生きたいと思います。

三吉 私も同じことを思っていました。これから先、私は誰と支え合って生きていくんだろうと、自分の人生を楽しみに感じられるようになりましたし、自分の女優としてのあり方や今後のお芝居についても考える機会になりました。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【週末映画コラム】『六人の嘘つきな大学生』/『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)

映画2024年11月22日

『六人の嘘つきな大学生』(11月22日公開)  大手エンターテインメント企業「スピラリンクス」の新卒採用の最終選考に残った6人の就活生への課題は「6人でチームを作り、1カ月後のグループディスカッションに臨むこと」だった。  全員での内定獲得 … 続きを読む

生駒里奈が語る俳優業への思い 「自分ではない瞬間が多ければ多いほど自分の人生が楽しい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年11月20日

 ドラマ・映画・舞台と数多くの作品で活躍する生駒里奈が、ストーリー性のある演劇的な世界観をダンスとJ-POPで作り上げるダンスエンターテインメント集団「梅棒」の最新作、梅棒 19th GIFT「クリス、いってきマス!!!」に出演する。生駒に … 続きを読む

史上最年少!司法試験に合格 架空の設定ではないリアルな高校2年生がドラマ「モンスター」のプロデューサーと対談 ドラマ現場見学も

ドラマ2024年11月17日

 毎週月曜夜10時からカンテレ・フジテレビ系で放送している、ドラマ「モンスター」。趣里演じる主人公・神波亮子は、“高校3年生で司法試験に合格した”人物で、膨大な知識と弁護士として類いまれなる資質を持つ“モンスター弁護士”という設定。しかし今 … 続きを読む

八村倫太郎「俊さんに助けられました」、栁俊太郎「初主演とは思えない気遣いに感謝」 大ヒットWEBコミック原作のサスペンスホラーで初共演『他人は地獄だ』【インタビュー】

映画2024年11月15日

 韓国発の大ヒットWEBコミックを日本で映画化したサスペンスホラー『他人は地獄だ』が、11月15日から公開された。  地方から上京した青年ユウが暮らし始めたシェアハウス「方舟」。そこで出会ったのは、言葉遣いは丁寧だが、得体のしれない青年キリ … 続きを読む

「光る君へ」第四十三回「輝きののちに」若い世代と向き合うまひろと道長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年11月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。11月10日に放送された第四十三回「輝きののちに」では、三条天皇(木村達成)の譲位問題を軸に、さまざまな人間模様が繰り広げられた。  病を患い、視力と聴力が衰えた三条天皇に、「お目も見えず、お耳 … 続きを読む

Willfriends

page top