【インタビュー】ミュージカル「チェーザレ 破壊の創造者」中川晃教「この作品で、日本ミュージカル界に爪痕を残したい」

2020年3月17日 / 12:00

 15世紀のルネッサンス期イタリアを舞台に、全ヨーロッパ統一の野望を抱いたチェーザレ・ボルジアの戦いを描き、大ヒットを記録している歴史漫画『チェーザレ 破壊の創造者』(惣領冬実、監修:原基晶、講談社刊)を原作としたミュージカル「チェーザレ 破壊の創造者」が4月13日から上演される。この新たなオリジナルミュージカル作品で主役のチェーザレを演じる、ミュージカル界のトップスター中川晃教に、役柄やオリジナルミュージカルへの思いなどを聞いた。

チェーザレ役の中川晃教(スタイリスト:KAZU/ヘアメイク:松本ミキ)

-本作への出演が決まって、どのような心境ですか。

 一つの節目であり、2020年という年にどんな形でお客さまに喜んでいただけるか、自分の役割を全うできるのか。まずそこを考えて、台本や膨大な歴史の時間の中に自分の身を投じています。頭の中にいろんな言葉が出てきて、まとまらないような状態ですが、そんな時間が楽しくて、この作品に携わることができて本当にうれしく思っています。

-チェーザレという役柄について教えてください。

 チェーザレという人物はスペイン出身ですが、ローマでボルジア家の一人として教皇のいすを狙うために、いろいろな手段を画策しながら政治と宗教の世界に入っていって、いろいろな形で有名になる人間です。一般的にチェーザレは聡明で、武芸に秀でていて、若くして司教になり、そして目的のためならば手段を選ばないという考え方を持ち、後にマキャベリが君主論を書く上でのモデルになっていく人物として知られています。この冷徹さがチェーザレという人間を表していると思います。

-実在の人物ですが、日本人にはあまり知名度が高くない人物ですね?

 どういう人物なのかということをネットで調べても、そんなに情報が出てくる人じゃないです。なので、僕自身も、最初は「チェーザレって何者なの?」という疑問がありました。でも、惣領さんのインタビューを拝見したときに、惣領さんはチェーザレを描くに当たって、そのミステリアスなところを、謎のままではなくて、ご自分なりのチェーザレ像というものにしっかりとした歴史的背景や、裏付けも兼ね備えて、描き始めたんだなということを感じることができました。

-本作のストーリーはどのあたりが描かれるのでしょうか。

 本作では原作の1巻から10巻ぐらいまでをまとめていて、チェーザレたちの大学生活を中心に、メディチ家のジョヴァンニが枢機卿になっていくところまでが描かれています。今回は、学生間でのやり取りを通して純粋なチェーザレというものが見えてくると思います。そして、16歳でありながら、大人たちとの関わりの中で、父親のロドリーゴが教皇の座を自分のものにしようとするために、どんな動きをしていたのか。そこにはフランス、スペイン、イタリア、いろんな国の枢機卿たちとの関わりというものも描かれています。

-制作発表会見でも楽曲を披露されましたが、ミュージカルとしてどんなチェーザレを演じようと考えていますか。

 制作発表会見のときに歌わせていただいた楽曲の中に「欺瞞(ぎまん)と堕落にまみれたバビロン」という歌詞があります。それは「神と神の世界である教会というものを本当は信じたいけど、実情として政に明け暮れている教会ははたして教会なのか」と疑問を抱く1人の青年が、確実に頭角を現していくことを描いていると感じました。本作では、この歌詞に描かれているようなチェーザレ像を持って演じていくことになると思っています。

-明治座で初のオーケストラピットを稼働させるなど、話題がありますが、どのようなオリジナルミュージカルになるか、と期待しているところはありますか。

 僕は長い間、ミュージカルをやらせていただいていますが、つねづねオリジナルミュージカルを作っていかないと駄目だということを感じてきました。そんなときに、本作の企画を聞きました。もしかすると、この作品は僕にとってのターニングポイントになるのかもしれないと思っています。お客さんにも、オリジナルのミュージカルが生まれる瞬間を、実感を伴って感じていただければうれしいです。

 
  • 1
  • 2

関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

富田望生「とにかく第一に愛を忘れないこと」 村上春樹の人気小説が世界初の舞台化【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月30日

 今期も三谷幸喜の「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」に出演するなどドラマや映画で注目を集め、舞台やさまざまなジャンルでも活躍する富田望生。その富田が、2026年1月10日から上演する舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダ … 続きを読む

【映画コラム】実話を基に映画化した2作『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』『栄光のバックホーム』

映画2025年11月29日

『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』(12月5日公開)  太平洋戦争末期の昭和19年。21歳の日本兵・田丸均(声:板垣李光人)は、南国の美しい島・パラオのペリリュー島にいた。漫画家志望の田丸はその才能を買われ、亡くなった仲間の最期の雄姿を遺族 … 続きを読む

氷川きよし、復帰後初の座長公演に挑む「どの世代の方が見ても『そうだよね』と思っていただけるような舞台を作っていきたい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月29日

 氷川きよしが座長を務める「氷川きよし特別公演」が2026年1月31日に明治座で開幕する。本作は、氷川のヒット曲「白雲の城」をモチーフにした芝居と、劇場ならではの特別構成でお届けするコンサートの豪華2本立てで贈る公演。2022年の座長公演で … 続きを読む

岸井ゆきの「夫婦の“切実さ”が描かれている」宮沢氷魚「すごくやりがいがありました」すれ違っていく夫婦役で初共演『佐藤さんと佐藤さん』【インタビュー】

映画2025年11月28日

 大学で出会った佐藤サチと佐藤タモツはたちまち意気投合し、一緒に暮らし始める。ところが卒業後、弁護⼠を⽬指すタモツは司法試験に失敗。独学を続けるタモツに寄り添うため、サチも司法試験に挑むが、数年後、合格したのはサチだった。結婚、出産を経て弁 … 続きを読む

28歳で亡くなった阪神タイガースの元選手の実話を映画化! 松谷鷹也「横田慎太郎さんのことを知っていただきたい」前田拳太郎「誰かの背中を押す作品になるはず」『栄光のバックホーム』【インタビュー】

映画2025年11月28日

 プロ野球、阪神タイガースの将来を担う選手として期待されながらも、21歳で脳腫瘍を発症して引退、その後も病気と闘いながら講演会活動などを続け、2023年に28歳で亡くなった横田慎太郎の生きざまを描いた『栄光のバックホーム』が、11月28日か … 続きを読む

Willfriends

page top