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風間俊介、岡本玲、伊礼彼方が出演する、KOKAMI@network vol.22「トランス」が4月28日から上演される。1993年に初演された本作は、3人の登場人物たちによる妄想と現実が入り乱れた物語。鴻上尚史の代表作のひとつである本作を、鴻上自身の演出で上演するのは、日本国内では21年ぶりとなる。フリーライターの立原雅人を演じる風間に、本作への意気込みを聞いた。

風間俊介【ヘアメーク:清家めぐみ/スタイリスト:手塚陽介】 (C)エンタメOVO
鴻上さんが大好きなので、「鴻上さんから誘っていただけた。そして『トランス』だ!」とすぐにお引き受けしました。大変なことをやるという感覚はないですが、人生の中で特別な時間が刻まれるのだという体感はあります。
世の中にはこうあるべきだという固定観念がありますが、鴻上さんは、そこに疑問を持っていて、その定義に当てはまらない人たちや、世の中の社会的価値観では違和感を感じる人たちも優しく包み込んで、ピックアップしてくださる。本当の意味で優しい方なんだと思います。
それから、この「トランス」もそうですが、情報を知らずに見に来たら、書き下ろしだと思うと思います。今の時代にハマりすぎているんですよ。そうなると、初演したときは、社会を先取りしていたのかと言われたら、きっとそれも違います。当時も「今の時代の作品だ」と感じたはずです。それは、古くならない作品だからなのだと思います。人間はいつも同じことを繰り返しているから、という考え方もありますが、きっとそれだけではない。それはすごいことだなと思います。
僕は、この物語の中でこのキャラクターがどう動いたら、物語の大切な部分が伝わるのかを客観的に見るところからスタートします。風間俊介という人間もこの社会において歯車の一つだと思っているので、それと同じように、作品の中の歯車として、このキャラクターがどう動くのが良いのかを考えるんです。ただ、この「トランス」の雅人は、その定義に当てはまらないのではないかと思います。雅人は「こういう人です」という説明ができない人物なんですよ。あらすじには「フリーライターの立原雅人」と書いてありますが、決してその一言で説明できるキャラクターではない。なので、この人物を理解するというよりは、自分と向き合う作業が必要になる役なのではないかと思っています。
このお仕事は、全てが挑戦だと思うので、今回も同じく挑戦だと思っています。挑戦的だからとピックアップしているわけではないんです。なので、今回もいつも通り、変わらずに、新しい挑戦です。
岡本さんは、ドラマ(連続テレビ小説「純と愛」)でも共演していましたし、鴻上さんの「イントレランスの祭」という舞台でもご一緒しています。女優さんの中でも3本の指に入るくらい、身近に感じている方です。すごく真面目で誠実で、「こんなところでアクセルを踏むんだ」と驚くような爆発力もあって。どんな爆発をしたとしても、それが良いと思わせてくれる安心感も持ち合わせている方です。
伊礼さんとは今回、初めてご一緒しますが、すごく大きな方だなと感じました。こちらの話をしっかりと咀嚼(そしゃく)して、興味を持ってくれて、その上で「僕はこうなんだ」と話をしてくださる。いろいろなことを話してみたいと思わせてくれるし、きっと否定されないんだろうなという安心感を与えてくれる方だと思っています。
この作品は、コミュニケーションとディスコミュニケーションが交錯する作品なので、そのスタンスに近い人が近くにいるというのは、作品にもすごく良い影響があるのではないかと思います。
なると思います。3人のコミュニケーションが大事ではありますが、どこまでいっても一人だということもこの作品の核の1つなのかなと考えると、ステージ上では一人一人が個々で立つことになるのかなと。一人芝居が3つ繰り広げられているという瞬間もあるのかなと思います。
難しい質問ですね(苦笑)。一言では言えないです。個人的には、演劇には深く共感する瞬間を作り出す力があると思っています。よく自分探しと言いますが、人間は、自分に本気で向き合うことはなかなかできることではないと僕は思っています。自分の嫌なところを認めなければいけないので、それはとんでもなく怖いことです。でも、どうしても向き合わなければいけない瞬間はある。そうした怖さへの勇気を持って帰っていただけたらうれしいです。ただ、これは僕の答えなので、見終わったときに全く違うことを思ってもらってもいいんです。全員が違って当たり前ですから。そもそもこの作品は、見た人全員が違うことを思う作品なのだとも思います。
僕の出演した作品を、5年後、10年後に「あの作品を見ました」と言っていただくことです。もちろん、見たときに反響や感想をいただけることもうれしいのですが、年数を経て「実はあの作品を見ていて…」と、投げた球が時を経て返ってくるということがあって。しかも、その作品がずっとその方の中に残っていたことを伝えてくださったときは、「このときのために仕事をしているんだな。この仕事をやっていて良かったな」と実感します。
そう言っていただけることもあるんですよ。「あの作品を見て、この仕事を目指しました」と。普段から全ての作品に全力で臨んでいますが、そうした言葉を聞くと、より真摯に向き合っていかなければいけないなと思います。
社会の中で生きていて、ふと一人だなと感じたり、人とのコミュニケーションの中で「自分って何なんだろう」ともがいたことのある方には、きっと刺さる物語だと思います。ただ、これまで一度も壁にぶつかったことがない方には、あまり必要のない作品かもしれません。
普段であれば、「この作品はこうでこうで」と冗舌に語るのですが、この作品に関しては、「こういう話です」と決めること自体がナンセンスなんです。しかも、それはあくまで僕から見た「トランス」であって、あなたから見た「トランス」はきっと違う。そういう前提で成り立っている物語なんです。だからこそ、あらすじとして言い切ることができない。見に来てくださらないとあらすじが書けない物語です。ぜひ、そんな作品を見に来てみませんか?
(取材・文・写真/嶋田真己)
KOKAMI@network vol.22「トランス」は、4月28日~5月10日に都内・本多劇場ほか、静岡、岡山、大阪、愛媛、石川、新潟、神奈川、広島、兵庫、北海道(札幌、帯広、北見)で上演。
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