【インタビュー】ドラマ「ワケあって火星に住みました~エラバレシ4ニン~」を手掛けるヒットメーカー鈴木おさむ「目標は仕事を辞めること。引退もダサいけど(笑)」

2020年1月20日 / 12:00

 5月に上演される同名舞台と連動したWOWOWオリジナルドラマ「ワケあって火星に住みました~エラバレシ4ニン~」の放送が1月24日からスタートする。人気放送作家・鈴木おさむが手掛ける本作は、実在する火星移住計画「マーズワンプロジェクト」に着想を得た、火星を舞台にしたシチュエーションコメディー。ドラマ版の脚本のほか、舞台版の演出・脚本を手掛ける鈴木に、本作の制作に至ったきっかけや、仕事に対する思いを語ってもらった。

鈴木おさむ

-今回のドラマと舞台の連動作品を制作することになったきっかけは?

 お世話になっているプロデューサーさんから、実在する火星移住計画の「マーズワンプロジェクト」をモチーフにした舞台とドラマの連動作品を作りたいという提案を頂いたことがきっかけです。初めは「そんな企画成立するのかな?」と思ったんですが、実際に詳細を聞いたら面白い作品になるんじゃないかと思えたので、ぜひ参加したい、と。

-実際には、どのように作品作りを進めていったのですか。

 そもそもその「マーズワンプロジェクト」という実在の計画が、火星に行ったら戻れないという片道切符の計画なんです。それで、まずは地球を捨てて火星に来た人たちが、実際にそこで生活をしたらどんな状況になるのかというのを想像しながら、舞台のプロットを作っていき、火星で登場人物たちが体験するハードでシビアな状況を盛り込みました。それから、次にその舞台に至るまでの物語としてドラマをどう作っていくかを考えていった形です。ドラマでは、毎話4人の移住者が登場し、火星での共同生活を会話劇で描いていくのですが、全6話、つまり24人のキャラクターが出てくるので、物語をうまく作るためにも、個性的なキャラクターにするために作り込んでいった感じです。

-確かに、登場人物のキャラクターがすごく濃いですね(笑)。

 キャラクター作りはめちゃくちゃ大変でした。斎藤工さんが演じる、ニュースで騒がれた“疑惑のある作曲家”みたいな役には、ロバートのコントライブを手伝ったときに秋山(竜次)が考えたスーパーの音楽の編曲ばかりをやっているという設定を付けたり。いろいろな役を作りました(笑)。今回の作品は、キャラクターのコントっぽさを入り口にしたいということをすごく意識しました。

-ドラマと舞台の連動企画ならではの苦労はありましたか。

 ドラマが好きな層と舞台が好きな層は全く違うと僕は思っています。なので、ドラマも舞台もそれ単独で楽しんでいただけるようにしたいとは思っていました。その上で、もちろん、ドラマと舞台の整合性を取る必要があったので、そこは苦労したところでした。この作品の前に僕はAbema TVで「奪い合い、夏」というドラマ作品を担当していて、あのドラマは筆が走ってノリノリだったんですが、今回はすごく苦戦して、長らく筆が止まってました(笑)。

-たくさんのバラエティー豊かな作品を手掛けている鈴木さんですが、普段、作品のインスピレーションはどこから得ているんですか。

 バラエティー、ドラマ、舞台といろいろな仕事をさせていただいているので、それぞれの仕事が刺激をし合って企画のヒントになっています。例えば、僕が担当している「Qさま」というバラエティー番組にYouTubeで人気の東大生クイズ王が出てくるんですが、今回の作品で要潤くんが演じるのは、彼をイメージして作りました。反対にドラマや舞台の仕事で得た経験値をバラエティーに生かすこともあって、全てが僕の中でつながっているんです。

-では、放送作家として、一番大切にしていることは?

 好奇心です。好奇心を持っていろいろな人に会って話をしたり、何にでも挑戦すること。仕事もそうですし、プライベートでも恩義がある人にももちろん会いに行きますし、興味がある人がいればどこにでも会いに行きます。

-バイタリティーがすごいですね。その原動力はどこからくるのですか。

 どこからかは分かりませんが、バイタリティーが有りすぎて、もう疲れてきちゃってヤバいです。燃え尽きちゃいそうです(笑)。自分でも、「なんで僕は燃やし続けてるんだろう?」って思っているところですよ(笑)。

 
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