【インタビュー】『見えない目撃者』高杉真宙「日本ではあまり出会ったことのないタイプのスリラー。自分の進歩を実感できた」

2019年9月24日 / 14:15

 ある夜、視力を失った元警察官・浜中なつめが遭遇した自動車の接触事故。優れた洞察力でそれが誘拐事件だと確信したなつめは、もう一人の目撃者・国崎春馬と共に真相を追い始める。だが、その先には想像を超えた事態が待ち受けていた…。9月20日から全国ロードショーされた『見えない目撃者』は、緊迫感あふれる語り口と先読みのできない物語が見どころの本格スリラーだ。本作で吉岡里帆演じる主人公なつめに協力する春馬を演じたのは、若手演技派俳優の高杉真宙。大掛かりなアクションにも挑戦したという撮影の舞台裏を聞いた。

高杉真宙

-台本を読んだときに感じた作品の魅力は?

 日本の映画では、あまり出会ったことのないタイプの作品だと思いました。台本を読んでみたら、文字だけなのに、ものすごく追われている緊張感が伝わってきて。そういう作品に出演させていただけることが、とてもうれしかったです。

-ご自身が演じた春馬というキャラクターについて教えてください。

 一見、感情を表に出さず、周囲のことに無関心を装っていますが、実は正義感を内に秘めた高校生です。演じるに当たっては、物語の進行とともに変化していく春馬の内面をきちんと表現したいと考えました。

-演じる上で大事にしたことは?

 台本に描かれている緊張感を、お客さんにきちんと伝えられるように心掛けました。それがうそに見えてしまうと、見ている方も冷めてしまいますから。そのため、現場にも緊張感を持って臨みました。撮影初日のリハーサルで、森(淳一)監督から時間をかけて入念な指導を受けたことも、役をつかむ上で役立ちました。

-春馬は目の見えないなつめと協力して事件の真相に迫っていきますが、コンビという点で心掛けたことは?

 2人がコンビを組む意味について、ずっと考えていました。春馬がなつめさんのどこに共感して協力しようと思ったのか。目が見えないにもかかわらず、正義感を持って真っすぐに突き進んでいくのがなつめさんです。春馬も正義感はあるのに、無関心を装い、事件については見て見ぬふりをしていた。それが、なつめさんの姿を目にしたことで、内に秘めていた正義感が表に出てくる。そういうふうに、なつめさんの影響を受けたことが大きいのかなと。

-アクションにも挑戦していますが、感想はいかがでしょうか。

 今回は、かなり大掛かりなアクションに挑戦させていただきました。今までもやりたいとは思いながらも、なかなか機会がありませんでした。そんな中、今回は思い切りやらせてもらうことができたので、うれしかったです。しかも、これほど大掛かりなものは初めてで、自分で思っていた以上のことができた。「自分はまだまだできる」と知ることができたのも、よかったです。おかげで、僕にとっても進歩が実感できる作品になりました。

-初共演となった吉岡里帆さんの印象は?

 現場でも、ご自身が一番大変な役なのに、周りをよく見て、皆さんにものすごく気を使っていることがよく分かりました。僕に対しても、最初にお会いしたとき、「自分はこうしようと思っているけど、やりづらくないですか」と聞いてくださったり…。おかげで、自分がどうしたらいいのか考えることができました。そういう経験は今まであまりなかったので、うれしかったです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「光る君へ」第三十三回「式部誕生」人々を動かす「源氏物語」の存在【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年9月7日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。9月1日に放送された第三十三回「式部誕生」では、「源氏物語」の続きを執筆するため、内裏に出仕した主人公・まひろ(吉高由里子)の日常と、中宮・彰子(見上愛)との出会いが描かれた。  彰子の住まいで … 続きを読む

山口紗弥加「自分が役に乗っ取られたような感覚です」ネタバレ厳禁のミステリーで入魂の演技を披露「私の死体を探してください。」【インタビュー】

ドラマ2024年9月6日

 ベストセラー作家・森林麻美が、自身のブログに「私の死体を探してください。」と自殺をほのめかす投稿をして消息を絶つ。麻美の夫・三島正隆(伊藤淳史)や正隆と不倫関係にある麻美の担当編集者・池上沙織(恒松祐里)がその行方を探す中、次々にブログが … 続きを読む

河合優実「すごいところに羽ばたいていく予感はありました」金子大地「面白い映画になるのは間違いないと」恋人役で共演の2人が語るカンヌ受賞作の舞台裏『ナミビアの砂漠』【インタビュー】

映画2024年9月6日

 東京の片隅で暮らし、美容脱毛サロンで働く21歳のカナ。同棲中の恋人ホンダ(寛一郎)との生活に退屈したカナは、映像クリエーターのハヤシと新生活を始める。だが、まもなく2人のペースはかみ合わなくなっていき、ストレスを募らせたカナは…。  9月 … 続きを読む

【週末映画コラム】『エイリアン』の“その後”を描いた『エイリアン:ロムルス』/各国の映画祭で注目を集めた心理ホラー『映画検閲』

映画2024年9月6日

『エイリアン:ロムルス』(9月6日公開)  人生の行き場を失った6人の若者たち(ケイリー・スピーニー、デビッド・ジョンソン、アーチー・ルノー、イザベラ・メルセド、スパイク・ファーン、エイリーン・ウー)は、廃墟と化した宇宙ステーション「ロムル … 続きを読む

紅ゆずるの“ゼロ地点”は「宝塚歌劇団の公演を初めてテレビで見た日」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年9月3日

 「ミステリーの女王」と呼ばれる推理小説家アガサ・クリスティーが1944年に発表した長編小説を原作とした舞台、ノサカラボ「ゼロ時間へ」が10月3日から東京・三越劇場ほかで上演される。ミステリーを専門に舞台を制作しているノサカラボの代表であり … 続きを読む

Willfriends

page top