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4月4日から始まるNHKの連続テレビ小説「とと姉ちゃん」。戦後、一世を風靡(ふうび)した生活総合誌『暮しの手帖』の創業者たちの軌跡をモチーフに、“父親代わりの長女”小橋常子(高畑充希)が家族を守るべく奮闘する姿を描く。常子たち三姉妹の父・竹蔵は仕事も家庭も大事にするが、常子が11歳の時に結核で死去。竹蔵が残した言葉は終生常子の指針となる。竹蔵を演じた西島秀俊が、竹蔵の伝えたかった思いや人柄について語る。
無理する必要はないと思いつつも、もしできたら本当の家族のような関係になれたらと思っていたのですが、浜松のロケに行った初日から、待機している車の中でじゃれあうような関係になれまして…(笑)。とにかく子どもたちと毎日、毎日、控室にも帰らずにワイワイ過ごしました。幸せな思い出です。
三人共全然キャラクターが違いました。役のキャラクターともちょっとずれていて…。実は、琥珀のほうが未来よりも活発で、未来ちゃんは他の二人よりもすごく照れ屋さんでした。また凛ちゃんは天才的な子で…。すごい子なんです(笑)。三人それぞれ個性がありました。実際の物語の中では、深い愛情で自分の家族を大きく守っている竹蔵さんですが、実際の撮影現場では、僕は三人の娘に翻弄(ほんろう)されっ放しでした。
一緒に遊んだ空気のままで撮影に入ったりすると、子どもの方がせりふもばっちり入っていてしっかりしていたりする。僕が吹き出してNGを出すこともあり、子どもたちによく怒られました(笑)。三人の娘に日々、いい意味で引っ張ってもらった感じです。
竹蔵という人物は、当時の一般的な父親像からはかなりかけ離れた人だと思います。当時の父親というのは家族の中に君臨していて、奥さんや子どもが何かおかしいと指摘することは本当に許されない存在だったはず。でも、竹蔵という人は相手が奥さんでも、娘でも、丁寧な言葉で話して、自分が間違っていた時は「すまなかった」と素直に謝るような人物。男女や家族といった固定観念から外れて、娘とも一人の人間として接しています。男性の生き方として、理想の一つではありますね。
また「日々の生活を丁寧に生きることに価値がある」という思想を子どもに伝えようとしていた人で、子どもたちがまさにそのバトンを受け取っていく。ゆくゆくは才能を開花させていく彼女たちですが、その彼女たちの種が育まれる最初の土壌となる存在だと思います。
西田征史さんの脚本が本当に素晴らしくて、竹蔵の「こら」というせりふ一言でも、平仮名で絶対に感嘆符が付いていない。決して高圧的ではないんです。ただ、子どもが危険なことをしたり人に迷惑を掛けたりした時はきっちり怒る。その場合も頭ごなしに怒るのでなく、その行動の動機となったことは丁寧にくみ取って、そのことはむしろ認めてあげたりする。そういった厳しさと優しさの両方を持っている父親なので、そういう部分を大切に演じたいなと思いました。
そうですね。自分がこの道に入るため、家を出ることになった時に、父親からは「とにかく食事をきちんと取れ」ということを言われました。苦労をしたら、恐らく食費から切り詰めがちですが「服はボロを着てもいいから、心が貧しくならないように、栄養のあるものをきちんと食べなさい」と言われて…。実際に、若い時の一人暮らしでは実践できませんでしたが、その言葉は自分の中に残っていて、できる範囲でそれを守っていこうと心掛けていました。
うちの父は、どちらかというと僕にとってちょっと怖いといいますか、古いタイプの近寄り難いような父だったので…。独り立ちしてからもなかなか話せませんでした。最近は、ちょっとは認めてもらえたのか、仕事の話をしたり助言をしてくれたりもしますが、それも僕が40代になってからですかね。
特には無いですけど…。ルールがあるかといえば、ないです(笑)。
基本的に家が好きであまり外に出るタイプではありません。とにかく家の中でのんびり快適に過ごせることが大事。個人的には、外ですごく刺激的な仕事をさせていただいているので、逆に、仕事を離れた時には、日常の何でもないことを丁寧に大切にしたいと思っています。
「純情きらり」の時もそうでしたが、朝ドラの現場って、朝から晩まで実際に一緒に生活する様子を撮るので、他のドラマでは感じられない“家族の幸福感”があるんですよ。個人的には「幽霊としてでも出してもらいたい」という思いがあったので、1カ月で撮影が終わってしまうのは非常に残念。でも、いなくならないと話が始まらない役なので…(笑)。
竹蔵はないですよ(笑)。竹蔵は、丸眼鏡を掛けたちょっとぼんやりした人。娘たちにもいろんなことを突っ込まれて、「すまん」っていつも謝っているような人ですから。そんな、ちょっと抜けたお父さんを温かく見守ってほしいなというのが個人的な感情ですね。
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