映画『俺俺』の公開直前イベントが１４日、東京都内で行われ、主演するＫＡＴ－ＴＵＮの亀梨和也が出席した。
本作は、星野智幸による同名小説を映画化。成り行きでオレオレ詐欺をしてしまった主人公・均の前に同じ顔の“俺”が次々と現れる。好みも考え方もまったく同じ“俺”が集まる最高のパラダイスに心地よさを感じるも、次第にその輪が乱れ始め、増殖していく“俺”同士の削除が始まっていくというストーリーが描かれる。
念願の三木聡監督作品への出演とあり、亀梨は「よく笑いの神が降りてきたって言うけど、それを作り上げていく作業がとても緻密で、刺激的な時間でした」としみじみ。すでに映画を５、６回見たといい「マニアです。かなり詳しいです。やっと俺、三木ワールドに出てるっていう自己満足ですね」と得意げに語った。
さらに「自分が演じたのに、役のキャラクターを捉えるのは１回見ただけでは不可能だった」と振り返り、三木監督も「最初の試写会を見たときの亀梨くんの顔が忘れられない。パニック顔でした」とニヤリ。亀梨は「その後も一人ぼっちで誰にも会いたくなくなって。不思議な体験でした」とすっかり役に入り込んでいた様子。
撮影中の亀梨は、３３役という仰天の演じ分けからストイックに役に向き合っていたという。共演した加瀬亮からも「トースターを持って僕の前を通っていって、お餅を焼いてて。みんな普通のことのように捉えてるんですけど、どう考えても普通じゃない」と楽屋での珍妙な行動を明かされるほど。
当時のことは覚えているようで、亀梨も「止まるのが嫌で、ランナーズハイじゃないですけど、アクターズハイみたいな。５時間とか空いちゃうとハンモックを買って作ってみたり」と苦笑。内田有紀も「ハンモックの時点で怖かった。そんなことやってないで早く寝なさいよって思った」と振り返った。
ひとしきりイジられまくったところで、亀梨はステージ上に閉じられた幕の裏に向かって聞き耳を立てると「ちょっと後ろがざわざわしていて３３人分ぐらいの足音が聞こえるから、チェックしてきていいですか？」とけげんな表情。いったんステージを降りると、ＫＡＴ－ＴＵＮの５人が主題歌「ＦＡＣＥ ｔｏ Ｆａｃｅ」を歌いながら会場後方から登場した。
ファンにとっては完全サプライズで、大歓声を上げて総立ちでお出迎え。代表して田中聖が一言求められると、すかさず亀梨が「“た”って言うから田口かと。びっくりした」と安堵（あんど）の表情を浮かべ、田中も「一番増殖しちゃいけない人間でしょ」とポツリ。田口淳之介も自ら「駄目だよ。この会ぶち壊しちゃうから、俺は喋らない方がいい」と爽やかな笑顔で応じるやりとりでファンを喜ばせた。
あらためてＫＡＴ－ＴＵＮとしてステージに立った亀梨は「ＫＡＴ－ＴＵＮのときはたいてい調子に乗ってますからね。加瀬さんに、『今日はいつもと違う』って言われた」と苦笑い。加瀬もアイドル・亀梨を「俺の知ってる亀梨くんと違う。すごく近づきにくい」と笑わせつつ、「亀梨くんが精神（に支障を）をきたすまで頑張った映画なので、ぜひ広めていただければと思います」とアピールしていた。
映画は２５日から全国で公開。